花見川流域の小崖地形 その95
シリーズ「花見川流域の小崖地形」も記事が増え、出発点の趣旨とも離れてきていますので、一度このブログの地形趣味遍歴をまとめ、これからの方向を考えます。
1 花見川河川争奪の検討
このブログを始めてすぐのころ、花見川の水系パターン異常に気がつき、花見川河川争奪仮説を持ちました。
その仮説の検討を永らく行いました。花見川河川争奪現象を調べる中で、地形に対する興味が深まり、自分の趣味として成立しました。
このアーカイブブログは2011.01.15から2013.01.07までの記事のうち、地形に関するものを抽出し、掲載順に並べ直して、かつ動的ビューで表示したものです。
2 シリーズ「花見川流域の小崖地形」の取組
シリーズ「花見川流域の小崖地形」の記事は前回で94本となりました。
当初のシリーズの目論見と離れていますので、その経緯を説明します。
第1ステージ 花見川流域の小崖地形検討
記事番号001(2013.04.12)~046(2013.10.26)
花見川流域にある3つの顕著な小崖(断層)について体系的に検討してみようと思い、地域を分割して、逐一検討を始めました。
途中で、平坦面と小崖(断層)の組み合わせという地形の捉え方では、地形を十分に説明できなくなり、無意識的ですが地形専門書の学習を始め、ステージ2に突入してしまいました。
従って、花見川流域の小崖地形の地域分割での逐一検討は現在途中で中断しています。(将来再開する予定です。)
第2ステージ 褶曲変位地形としての認識と強力な検討ツール獲得
記事番号047(2013.10.27)~061(2013.11.24)
専門書の学習の結果、花見川流域の地形を褶曲変位地形として認識して捉える(検討する)ことが大切であることに気がつきました。
同時にその検討のために5mメッシュ(標高)を広域(千葉県北部)に活用できるようにしました。
5mメッシュ(標高)のGIS活用は、検討の強力ツールとなり、興味深い地形を次から次へと発見できるようになりました。
第3ステージ レーキ状水系パターン検討
記事番号062(2013.11.25)~075(2013.12.14)
褶曲変位地形という認識と広域地形を扱えるツールの二つを獲得したことにより、自分の興味の地平が一挙に拡がりました。
印旛沼流域など千葉県北部の広域地形について、その理解を優先することにしました。
というのは、広域の地形を理解できれば、おのずと花見川流域の小崖地形の意義が明白になり、より深く理解できるようになると感じるからです。
手始めにレーキ状水系パターンに興味を持ち、検討を始めました。
ところが、より興味のある事象(印旛沼筋河川争奪)を発見してしまったため、現在レーキ状水系パターンの検討は中断しています。
残された検討及びそれ以外の褶曲変位地形の検討も将来再開する予定です。
第4ステージ 印旛沼筋河川争奪検討
記事番号076(2013.12.16)~093(2014.01.08) 継続中
レーキ状水系パターンの一環として「印旛沼レーキ」の検討に入ったのですが、単純にレーキ状水系パターンとして解釈できないことが判るとともに、印旛沼筋に大規模な河川争奪(河道逆行争奪)があったことがすぐにわかりました。
また、その河川争奪は、専門家レベルでも、これまで検討されていない(認識されていない)こともわかりました。
強く趣味心を刺激されました。
そこで、レーキ状水系パターンの検討から離れて、より高次の興味を感じる印旛沼筋河川争奪の検討に移行することにしました。
手始めに印旛沼筋の地形面の対比等を行っています。
印旛沼筋地形発達に関連する既存資料(学術文献)をGIS上で5mメッシュ(標高)と照らし合わせながら学習すれば、印旛沼筋河川争奪の姿を浮き彫りにできると見立てて、趣味作業を進めています。
特設サイト紹介
サイト「花見川流域の小崖地形」のトップ画面
3 これからの地形趣味の方向
当面は印旛沼河川争奪仮説を構築することを目指して、次のような点について興味を持って活動を進めて行こうと思っています。
ア 5mメッシュのGIS活用高度化による地形面区分
5mメッシュ(標高)をGISで活用して印旛沼流域、花見川流域の地形面区分を徹底して行ってみたいと思います。
下総上位面を穿つ浅い谷や、谷地形に沿って分布する小さな地形面にも着目して検討したいと思います。
地形投影断面図(ある幅を持ったゾーンの投影断面図)を作成する方法を開発するなども行いたいと思います。
5mメッシュ(標高)を高度利用して地形面区分することによってこれまでに踏み込めなかった地形のディテールを解明できる可能性を感じています。
このブログでは、5mメッシュのGIS活用高度化を一つの売りにしたいと思っています。
5mメッシュ(標高)の整備範囲を北関東まで広げたいと思います。
下総上位面を穿つ浅い谷や、谷地形に沿って分布する小さな地形面にも着目して検討したいと思います。
地形投影断面図(ある幅を持ったゾーンの投影断面図)を作成する方法を開発するなども行いたいと思います。
5mメッシュ(標高)を高度利用して地形面区分することによってこれまでに踏み込めなかった地形のディテールを解明できる可能性を感じています。
このブログでは、5mメッシュのGIS活用高度化を一つの売りにしたいと思っています。
5mメッシュ(標高)の整備範囲を北関東まで広げたいと思います。
イ 地形の現場観察
印旛沼流域及び花見川流域を地の利を活かして地形の現場観察をじっくりしたいと思います。
ウ 文献学習
文献学習をある程度体系的に学習する必要性を感じています。
また、公表されている研究成果をデータとしてGISに取り込み活用することも考えたいと思っています。
エ ボーリングデータの活用
公表されているボーリングデータから印旛沼筋河川争奪に関する有用情報を得られる可能性があるならば、そのデータを自分のパソコンに取り込み、データベース的に検討に活用できるようにしたいと思っています。
オ 露頭観察の可能性検討
露頭観察可能なポイントの調査を行い、露頭観察から得られる可能性のある情報について検討してみます。
露頭観察できる場所が少なくなっている現状から、過去文献の露頭観察データの再利用の可能性について検討してみます。
露頭観察により印旛沼筋河川争奪の決定的な証拠が得られる可能性があるならば、老骨に鞭打って一から露頭観察技術を習得することも検討したいと思います。
露頭観察により印旛沼筋河川争奪の決定的な証拠が得られる可能性があるならば、老骨に鞭打って一から露頭観察技術を習得することも検討したいと思います。
4 付 感想
花見川河川争奪を調べて、また印旛沼河川争奪に気がついて、次のような感想を持っています。
これまで、花見川流域とか印旛沼流域とかについて詳しく現地を調べた地学関係研究者の方は多くいらっしゃると思います。しかしこれらの方々の興味の焦点はあくまで関東平野全体の地史や地学現象、あるいは海面変動や地殻変動全般の解明にあったと思います。
従って、河川争奪というローカルな現象(特殊な地域現象)はたとえ気がついても(感じても)素通りした研究者が多かったのではないかと思います。
逆に言うと、花見川河川争奪や印旛沼河川争奪仮説がこれまで話題にならなかったのは、花見川流域とか印旛沼流域とかの地域そのものに興味を持つ方が、地学現象に併せて興味を持つということがほとんど無かったということだと思います。
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