花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.116 遺跡文献の悉皆閲覧活動の途中感想
花見川-平戸川筋の古代(古墳、奈良、平安時代)遺跡(全部で300遺跡程)の発掘調査報告書の悉皆閲覧活動を展開しています。2015.01.18記事「遺跡文献の悉皆閲覧計画」参照
その途中の感想をメモしておきます。
1 遺跡文献検索方法の見立てを誤る
遺跡文献検索方法の最初の見立てを誤りました。
最初は次の遺跡文献検索方法が正道であると確信していました。
・ふさの国文化財ナビゲーション(千葉県教育委員会の遺跡情報データベース公開WEBサイト)で入手した古代遺跡情報に掲載されている文献情報(文献番号)を知る。(ふさの国文化財ナビゲーションでは文献番号がでているだけで、文献名称等の諸元はわかりません。)
・ふさの国文化財ナビゲーションの文献番号を「千葉県埋蔵文化財分布地図(改訂版)」(平成11年3月、千葉県教育委員会)の「文献」ページの文献リストの番号と照合して文献諸元情報を入手する。
・その文献諸元を使って図書館サイトで検索して、文献が所在する図書館に出かけて閲覧する。
実際にこの方法を実施してみると、とてつもなく非効率なうんざりする作業でした。
さらに元資料(「千葉県埋蔵文化財分布地図(改訂版)」(平成11年3月、千葉県教育委員会))に多数のケアレスミスがあり、非効率の2乗、3乗という状況になっています。
非効率の状況をブログ記事にしたほどです。(2014.12.25記事「玄蕃所遺跡発掘調査報告書を閲覧するまでの顛末」参照)
結局、この方法で遺跡文献を検索することは断念しました。
2 現在の検索閲覧方法
地元図書館(千葉市、八千代市など)のホームページで遺跡名称で検索して、ヒットする報告書を図書館に出かけ閲覧・コピーあるいは帯出しています。
この方法で漁りつくしたと感じるまで検索閲覧すると、大体ほとんどの資料を閲覧できることを体験的に知ることができました。
ふさの国文化財ナビゲーションには掲載されていない最新報告書も図書館では検索することができます。
この方法で花見川流域筋は大体終わり、平戸川筋の途中で現在は白幡前遺跡の報告書を閲覧しています。
3 図書館の制約に閲覧が大きく制約される
文献閲覧という場面では図書館の運営特性に大きく制約されてしまうことが問題です。
重要で興味をそそられる遺跡の文献は図書館で簡単にコピーできるようなものはそれでよいですが、大冊報告書になると自宅に持って帰らなければ閲覧(利用)できません。
報告書の情報をGISに転記したりする作業は図書館ではできません。
上ノ台遺跡は報告書を図書館から借り出し、延長を含めて約4週間借りて、その間にブログ記事を書きました。ラッキーです。
現在取り組んでいる八千代市白幡前遺跡の報告書(「八千代市白幡前遺跡-萱田地区埋蔵文化財調査報告書Ⅴ-本文編、図版編、図面編」(1991、住宅都市整備公団首都圏都市開発本部・財団法人千葉県文化財センター)3冊は千葉県内の公共図書館では千葉県立中央図書館、千葉市立中央図書館、八千代市立大和田図書館にしかありません。
そしてその3館ともに禁帯出本に指定されています。
さらに、私が奥の手で使う「一夜貸し」(※)の制度もこの3館にはありません。
※「一夜貸し」制度とは、禁帯出本を閉館間際時間に借りだし、翌日開館直後に返却する制度。多くの図書館で採用している。
結局、近隣の八千代市立大和田図書館で本編の古代部分をコピーしました。(2回に分けて130枚のコピーをとったのですが、そのコピーにもドラマがありましたが省略します。)
また、図版編や図面編を利用しようと思い、本日八千代市立大和田図書館に出かけたところ、図書館移転のため図書搬送中で7月まで利用できませんとのことでした。図書館ホームページにはそのような告知はなく、館長が「広報もしないで、すみません」とのことでした。
このような強い制約を受けるくらいなら、もしWEB古書店にあるなら購入したいと思いますが、残念ながら白幡前遺跡報告書の商品は以前から見つかっていません。
また、博物館等の専門機関で図書を貸し出しているところもないようです。
文献閲覧という場面で、図書館の運営特性に大きく制約・規制された状況下で活動しているのが現状です。
4 遺跡文献の共通特徴に気がつく
多数の遺跡発掘調査報告書を閲覧して、次のような共通特徴に気がつきました。
・遺構、遺物の観察と記述は時代を経るに従って精緻を極める。
・遺構、遺物の意義考察は想像以上に「控え目」である。
精緻を極める観察、記述は情報量が多いということです。その情報を使って分析しがいがあるということです。
一方、意義考察が「控え目」であるということも、分析考察の残り代が膨大であるということです。
5 情報を分析すれば宝の山
ようするに、遺跡発掘調査報告書は総じて、それを能動的に分析すれば豊かな情報源になるということがわかりました。
能動的に分析しないで、直接的に情報を得ようとすると、大した成果を得ることが出来ない代物です。
このブログでは次の情報操作(分析)を行い、有用情報を引き出そうとしています。
・情報の地図化…見える化
・地形情報と重ねる
・地名情報と重ねる
6 遺跡文献の電子化と公開の必要性
遺跡及びその文献についてその情報が電子化されてデータベースとなり、情報公開されれば、地域の考古歴史についての市民の認識が深まり、地域づくりの質が高まると思います。
社会として、次のような公共事業が必要であると考えます。
・遺跡データベースの公開、メンテナンス
・遺跡発掘報告書の電子化、データベース化、公開
20150422 今朝の花見川
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