土器接合破片の分布・出土層準からきわめて重要な情報が導き出されることに気が付きましたのでメモします。
1 395土器について
土器接合破片の分布・出土層準から導き出される重要情報
1 破片4より高い場所で廃用土器(395)が破壊され、周辺にばら撒かれたとその分布から考えられます。最初にどこかに破片の山があり、それが自然営力で散らばったとは全く考えられません。加曽利EⅢ式期の縄文人が北斜面貝層あるいはその近くの斜面で廃用土器を破壊し、それを手で投げたとしか考えられません。
破片4以外は自然営力(流水)による移動を受けたものもあるとは思いますが、その影響は微弱であるように観察できます。
2 破片4は表土出土であり、二次的な移動(斜面落下)で堆積したものであると考えられます。従って395土器が破壊された場所はそれより上の場所になります。
3 破片4を除く全破片は、それが出土した貝層の形成時期同時性をピンポイントで対比している可能性が高いと考えます。
例えば、8つの土器片が出土する貝層(地層)は加曽利EⅢ式期(暦年較正4660年前~4540年前頃)として一般的に対比されるのではなく、暦年較正4590年前頃(値は架空)として対比されるべきものです。貝層(地層)の対比にきわめて正確な指標が導入されたことになります。
2 67土器について
土器接合破片の分布・出土層準から導き出される重要情報
1 破片2より高い場所で廃用土器(67)が破壊され、周辺にばら撒かれたと、その分布から考えられます。
2 破片2、3、5の出土層準は同時として考えて矛盾はありません。(破片がばら撒かれた頃、貝層下部の混貝土層(黄色)、砂層(水色)、砂層上の土層(茶色)が同時に存在していたと考えて矛盾はありません。)
逆に破片の存在から地層の同時異相が明らかになります。
例えば、3つの土器片が出土する貝層(地層)は中峠式期(暦年較正4970年前~4950年前頃)として対比されるのではなく、暦年較正4560年前頃(値は架空)として対比されるべきものです。
3 破片1と4は明らかに破片2、3、5よりも新しい貝層に含まれています。従って、破片1、4は二次的な移動により堆積したことが確実です。(破片1、4はピンポイント同時性の指標としては使えません。)
3 感想
加曽利EⅢ式土器で接合破片の分布・出土層準が判っているものが多数あります。それらのデータを比較すると、貝層(地層)の詳細な順番が離れた場所の間で可能になります。これにより詳しい貝層(地層)の空間対比が可能になります。このような情報は発掘調査報告書では掲載されていません。北斜面貝層発達の様子を知るうえで、意義の大きな重要情報が生まれ出る可能性があります。
逆に、貝層(地層)の上下関係から、同じ加曽利EⅢ式土器でもその廃棄順番を正確に知ることができます。そのデータから土器型式の詳細情報の順番精緻化に寄与できるような情報を得られるかもしれません。
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