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2020年7月22日水曜日

拷問で苦しむ地母神?

縄文土器学習 431

加曽利貝塚博物館で開催中の「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で中空土偶が2点展示されています。1点は2020.07.18記事「巨大な中空土偶」で観察しました。この記事では残りの1点について3Dモデルを作成して観察しました。

1 中空土偶(君津市三直貝塚)2 観察記録3Dモデル

中空土偶(君津市三直貝塚)2 観察記録3Dモデル
縄文後期~晩期
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.001 processing 39 images

高さ:7.5㎝(正面オルソ投影での高さ)

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 感想
ア みみづく土偶か?

みみづく土偶の顔部材が脱落したものか?
みみづく土偶の目、鼻、口の粘土部材及び頭の3点の巨大な結髪が脱落したものであるように感じられます。

イ 拷問に苦しんでいる地母神か?

拷問に苦しんでいる地母神か?
顔の輪郭と目、口が明らかに歪んでいます。苦しんでいる様子がうかがえます。
頬下に内部を貫通する大きな穴が2つあり、矢が貫通している様子を感じることができます。
鼻の表現が鼻を削いだ刑罰を受けた様子です。
耳も削がれているようです。
顔に何かが刺さったような穴が3カ所ほど開いています。

中期以降の土偶は全て、地母神殺害再生神話の再現祭祀で模擬殺人・模擬死体バラバラ等に使うのですが、これほど拷問して苦しめている様子を表現した土偶は初めて見ました。

娯楽の無い時代にあって神話にもとづく模擬殺人・模擬死体バラバラ行為等は人々の異様な興奮を伴う楽しみであり、社会のガス抜きであったと想像します。
集落で行う模擬公開処刑だったと想像します。

2020年7月18日土曜日

巨大な中空土偶

縄文土器学習 428

加曽利貝塚博物館で現在開催されている「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」に巨大な中空土偶の顔と上半身の一部が展示されています。観察記録3Dモデルをつくって観察してみました。

1 中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文後期~晩期
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.14
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.001 processing 48 images

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 観察
・顔面はまるい目、口、耳及び口から斜め上方に伸びる細長い陰刻(ほとばしる血しぶきと判断)が確認できて、ミミズク土偶の巨人版といった印象を受けます。
・3Dモデルで顔面上部から体部下部までの距離を計測すると約20.5㎝でした。

中空土偶計測の様子

・この土偶には腰に飾りのような出っ張りがあります。おなじような出っ張りがある巨大中空土偶の体下部出土例を参考にすると、この中空土偶の高さは40㎝位と推定できました。土偶としては最大級になると考えます。

中空土偶体高の推測

・古墳時代の埴輪のような大きさであり、三直貝塚人の祭祀にかける意気込みの大きさに驚きました。