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2020年7月27日月曜日

異形台付土器(君津市三直貝塚)の観察

縄文土器学習 437

加曽利貝塚博物館で開催中の「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」で展示されている加曽利B1式異形台付土器1を3Dモデルを作成して観察しました。

1 加曽利B式異形台付土器1(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利B式異形台付土器1(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.21
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.002 processing 62 images

展示の様子
赤彩の跡が明瞭に観察できます。

特殊モード写真

動画

2 メモ
ア 復元方法について
復元部分に赤い色を混ぜているのは好ましい復元方法ではないと思います。復元していない部分のかすかな残存赤彩の観察が困難になります。

イ 加曽利貝塚出土異形台付土器との比較

加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2019.12.27
許可:加曽利貝塚博物館の許可による全周多視点撮影及び3Dモデル公表
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 81 images
2020.05.27記事「加曽利貝塚出土異形台付土器の観察と検討

三直貝塚出土の異形台付土器1は加曽利貝塚出土のものと比べると、全体の器形、模様はかなり似ています。細部では次の2点が異なります。
・土器口唇部に小突起装飾が4単位ある。(加曽利貝塚分にはない。)
・中段ふくらみ部の丸孔と丸孔の間に小さな装飾突起がある。(加曽利貝塚分にはない。)

今後加曽利貝塚出土分と三直貝塚出土分を同じ3D空間で縮尺を正確に合わせて並べた3Dモデル資料を作成してみることにします。異なる遺跡の遺物を並べることにより、より直観的観察が、かつより正確な対比・測定観察ができるようになることを期待します。その3Dモデルには3次元スケールも添えたいと思います。(Blenderで作成可能であると直感します。)

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この遺物に関する発掘調査報告書記述に関する考察、及びGigaMesh Software Frameworkによる展開写真とその分析は別記事で行います。



2020年7月18日土曜日

巨大な中空土偶

縄文土器学習 428

加曽利貝塚博物館で現在開催されている「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」に巨大な中空土偶の顔と上半身の一部が展示されています。観察記録3Dモデルをつくって観察してみました。

1 中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文後期~晩期
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.14
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.001 processing 48 images

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 観察
・顔面はまるい目、口、耳及び口から斜め上方に伸びる細長い陰刻(ほとばしる血しぶきと判断)が確認できて、ミミズク土偶の巨人版といった印象を受けます。
・3Dモデルで顔面上部から体部下部までの距離を計測すると約20.5㎝でした。

中空土偶計測の様子

・この土偶には腰に飾りのような出っ張りがあります。おなじような出っ張りがある巨大中空土偶の体下部出土例を参考にすると、この中空土偶の高さは40㎝位と推定できました。土偶としては最大級になると考えます。

中空土偶体高の推測

・古墳時代の埴輪のような大きさであり、三直貝塚人の祭祀にかける意気込みの大きさに驚きました。