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2018年3月26日月曜日

私家版土坑データベース作成 本格データベース作成を決意

大膳野南貝塚 廃屋墓の機能不明柱穴の検討 13

2018.03.20記事「私家版土坑データベースの作成 大膳野南貝塚」で書いたように、必要に迫られて大膳野南貝塚後期集落土坑のデータベースを作成しだしました。
上記記事を書いた時点ではデータベースとは言っても発掘調査報告書の単純な再整理(編集)をおこない、読みやすくすることを目指しました。

しかし、その後素材をつくる過程で単純な発掘調査報告書編集作業だけでなく、本来の意味でのデータベース作成(データベースソフトを活用したデータベース作成)を追加して行うことにしましたので、関連事項も含めてメモします。

1 私家版土坑データベース素材の作成
記述、土層、平面断面、出土物の4つの項目について発掘調査報告書の記載部分を画像として切り取り、ページが変わる部分を貼り付け、平面断面と出土物についてはスケールを貼り付けた素材を全て作成しました。


記述切り出しの一部

土層切り出しの一部

平面断面切り出しの一部

出土物切り出しの一部

2 土坑別編集物の作成
土坑別に記述、平面断面と土層、出土物の各画像を並べた編集物をInDesignで作成します。当初1つの土坑をA4判1ページに収めるイメージを持っていましたが、データベースソフトによるデータベースを作成することからそのような紙製品利用方式を執る必要がないので、1土坑をA4判1ページ以上とし、できるだけ画像を見やすくします。

3 私家版土坑データベースの作成
File Makerを利用して、これまで作成したExcel情報と記述、土層、平面断面、出土物の各画像を加えたデータベースを作成します。
このデータベース作成により各種検索毎に平面断面、出土物の画像を確認できます。
検索結果の土坑群の画像をまとめて表示することも可能になります。

4 平面断面画像を対象としたKJ法による分類
素材である平面断面画像264枚をIllustrator画面にばらまき、手作業でkj法を行ってみることにします。

「2土坑別編集物の作成」と「3私家版土坑データベースの作成」ではある情報から平面断面図を見るためのデータベースを作成しますが、「4平面断面画像を対象としたKJ法による分類」では逆に平面断面図から既存情報を眺め、そこから新たな情報を生みだします


2018年3月20日火曜日

私家版土坑データベースの作成 大膳野南貝塚

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 11

1 土坑再検討と感想
大膳野南貝塚後期集落の土坑について指標別に時期別分布の検討してきました。これまでに指標「体積類型」、「平面形型」、「フラスコ状、円筒状」、「貝層、漆喰」、「小ピット」、「土坑墓」について検討しました。
これまでの検討ではいまのところ「体積類型」「平面形」は土坑機能に直接結びつかないようです。
「フラスコ状、円筒状」は貯蔵庫として利用された断面であり、有用な情報であると考えます。
「貝層、漆喰」はその土坑が廃絶した時の祭祀の在り方であると考えます。土坑本来の機能と「貝層、漆喰」がどのように絡むのか、まだイメージが出来ていません。
「小ピット」は特殊的な機能を表現していると考えます。
「土坑墓」(可能性のあるものを含む)から皿状断面形が特別な意味をもつ可能性が判明しました。

時期別指標別の検討によりいろいろな事象が判ってきているのですが、どうしてもバラバラの情報であり、全体像をまとめて把握するにいたっていません。
情報がバラバラになってしまっている主要因は土坑断面形について全体を分類していないこと(発掘調査報告書で全体の分類をしていないこと)が主要因のような気がしてきました。
断面形を類型化して「フラスコ状、円筒状」、「皿状」、〇〇状、△△状、…と区分して土坑機能と対応関係を見てみることが必須であると考えます。

また、これまでの検討は発掘調査報告書のまとめ表を利用していますが、一つ一つの土坑記述には石器・土器等をはじめ獣骨を含む出土物情報が書かれています。その情報も土坑機能を考える上で重要です。

このような感想に基づいて、土坑断面形データを作成するとともに土坑データを発掘調査報告書記述で補完して、その新たに作成する総合土坑データに基づいて土坑検討を深めることにします。

そこで、当座私家版土坑データベースを作成してデータを扱いやすくし、そのデータベースをつかって土坑断面形類型化や出土物データ補完等を行い、最後に総合検討(時期別土坑機能の把握)をすることにします。

2 私家版土坑データベースの作成
次のような土坑別データベースを作成することにします。土坑総数は264基です。

私家版土坑データベース
データベースとはいっても発掘調査報告書を切り張りしてA4判1枚にまとめたものです。

しかし次の図で色分けしたように382号土坑を例にとれば、記述、土層、平面・断面、出土物がそれぞれ別のセクションに掲載されていて、一つの土坑の情報を把握することだけでも多大な労力を要します。

382号土坑情報の発掘調査報告書掲載セクション(目次)の違いを色分けした図
5つのセクションのページを見ないと全ての情報を得られません。

私家版土坑データベースができれば土坑のイメージを即座に把握できて、他の土坑との比較がとてもしやすくなります。
このシートをつかってKJ法による土坑断面類型化の作業も行うことができるようになります。

地道な作業になりますが、これをしないといつまでたっても発掘調査報告書の土坑情報を生かしたことになりません。現状の指標別バラバラ情報から抜け出すために、私家版土坑データベースを作成します。