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2020年12月13日日曜日

有吉北貝塚遺構配置図のQGISプロット

 縄文社会消長分析学習 55

有吉北貝塚学習を深めるための分析インフラ整備として、開発前地形の復元3Dモデルを作成しようとしてます。復元地形3Dモデルを使って遺構や遺物分布を分析すれば学習がはかどり、新たな発見があるにちがいないと期待しています。

この記事では復元地形3Dモデルを作成するための大前提としての発掘調査報告書掲載遺構配置図をQGISにプロットした作業をメモしました。

1 発掘調査報告書掲載遺構配置図に含まれている誤謬とQGISへのプロット

有吉北貝塚発掘調査報告書に掲載されている遺構配置図には日本測地系の座標値が掲載されています。したがってこの座標値を現在使われている世界測地系に変換すれば遺構配置図はGISに正確にプロットできるはずです。

その操作作業をしたところ、経度方向に約40mのずれがあり、そのずれの理由がわかりません。日本測地系から世界測地系に変換する方法が間違っているのか、あるいは自分が気が付いていない変換因子があるのか、・・・。日本測地系から世界測地系に移行した様子の学習はwebで何回も行い、知識も増えましたが問題解決まで4日間朝から晩までQGISに取り掛かりました。

QGISには1960年代空中写真と1960年代千葉市都市図を背景地図として取り込み、よくよく吟味すると、経度方向のずれが正40mであり、緯度方向のずれがゼロであることに違いないと直感できるまでになりました。同時に遺構配置図の経度線の間隔が40mであることにも気が付きました。つまり発掘調査報告書掲載図経度座標値が40mづつ間違っているという測量作業者のケアレスミスであることに気が付きました。このケアレスミスを訂正してプロット(ジオリファレンス)すると遺構配置図は正確にQGISに収まりました。


有吉北貝塚遺構配置図のQGISへのプロット 背景図1960年代空中写真


有吉北貝塚遺構配置図のQGISへのプロット 背景図1960年代千葉市都市図


有吉北貝塚遺構配置図のQGISへのプロット 背景図最新空中写真

2 今後の作業

遺構配置図を正確にQGISにプロットできましたので、次は1960年代千葉市都市図等高線を利用して5mメッシュ標高データを作成します。

3 時空間3Dモデルの作成

遺構配置図を貼り付けた復元地形3Dモデルと現状地形3Dモデルをオーバーレイして表示すれば、時空間3Dモデルとすることができます。将来その作成にチャレンジすることにします。時空間3Dモデルの発想は次のテレビ画面から得ました。

有吉北貝塚では保存区域があるので時空間3Dモデルがあれば現場で縄文時代往時を思い浮かべることが可能になります。


新型コロナ時空間3Dマップ TV画面

4 発掘調査報告書掲載遺構配置図の誤謬に関する感想

今回の作業で発掘調査報告書掲載測量図(遺構配置図)にケアレスミスがあり、それが訂正されていないことが明白になりました。このことからつぎの事情が判りました。

・遺構配置図の座標系数値は測量作業者にとってケアレスミスが発生する程度にぞんざいに扱われていること。

・座標系数値のケアレスミスは発注者(考古発掘専門家)によってチェックされていないこと。

・上記から座標系数値は発掘調査や報告書刊行後に利用されていないこと。

・つまり発掘調査情報をGIS(あるいは紙版地図)に正確にプロットして、他の情報と対照したり、関連をみたりという作業は全く想定されていないこと。

残念なことです。

なお、なぜこのような立ち入った感想を持つかというと、実は六通貝塚発掘調査報告書でも全く同じ誤謬に悩んだことがあるからです。その時は発掘調査報告書の誤謬とは考えないで、自分だけが未知の測地系移行に関する要因があるに違いないと考え、発掘調査報告書のミスとは断じなかったのですが。

2018.08.06記事「六通貝塚の学習開始

2018年8月6日月曜日

六通貝塚の学習開始

7月で大膳野南貝塚学習の中間とりまとめを終えて、現在次の2本立ての活動を行っています。
ア 大膳野南貝塚学習で生まれた興味の他縄文遺跡への投影
イ 投影学習ツールとしての私家版暫定版GIS連動千葉県縄文遺跡データベースの構築
2018.07.26記事「興味の他縄文遺跡への投影」参照
データベース構築作業はある程度進みましたので、並行的に他遺跡学習もスタートさせました。
この記事では最初の対象である六通貝塚学習着手を記録しておきます。

1 六通貝塚の概要
六通貝塚発掘調査報告書(「千葉東南部ニュータウン37 -千葉市六通貝塚-」(平成19年3月、独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団))によれば六通貝塚は縄文時代後期から晩期に大型の貝塚を形成した集落が存在していて、大膳野南貝塚を含む周辺貝塚集落の拠点的役割を果たしていたことが想定されています。

六通貝塚発掘調査報告書(「千葉東南部ニュータウン37 -千葉市六通貝塚-」(平成19年3月、独立行政法人都市再生機構・財団法人千葉県教育振興財団))

発掘は貝塚本体は行っておらず、周辺の道路敷等に限られていて大膳野南貝塚のような遺跡全体の発掘とは状況が根本的に異なっています。

六通貝塚測量図 「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代) 211六通貝塚」(千葉県発行)から引用 回転 

2 六通貝塚の学習方針
貝塚本体の発掘が行われていないため、集落の本体は不明になります。そこで貝塚周辺の遺構(主に竪穴住居)の検討を貝塚や地形との関係を見ながら詳しく検討して、大膳野南貝塚で観察して興味を抱いた事項が確認できるか学習します。遺構情報をGISに展開して検討することにします。

3 遺構配置図のGISプロット
遺構配置図は平面直角座標系(9系)の座標が記載されているので、そのデータにより遺構配置図をGISにプロットすることができました。(※)

遺構配置図(全体図) 背景なし

遺構配置図(全体図) 背景は地理院地図

遺構配置図(全体図) 背景は2007年~空中写真

遺構配置図(全体図) 背景は1960年代地形図(千葉市都市図)

遺構配置図(全体図) 背景は1960年代空中写真
開発前の地形図や空中写真との関係をみながら発掘情報を学習する基盤をつくることができました。

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遺構配置図の座標は平面直角座標系(9系)で日本測地系で記載されているので世界測地系に変換してGISにプロットしました。なおX座標、Y座標ともに報告書記載に正60mの誤差がありました。その誤差の意味は不明です。