2022年9月18日日曜日

有吉北貝塚学習の再開

 Resumption of Ariyoshi Kita Shell Mound Learning


The Ariyoshi Kita Shell Mound excavation report study that continued from October 2020 to October 2021 will resume. I rely on my Blender skills to improve a little and learn. I will conduct a 3D spatial analysis of the excavated material from the northern slope shell layer.


2020年10月から2021年10月まで継続した有吉北貝塚発掘調査報告書学習を再開します。Blenderスキルが少しだけ向上したことに依拠して学習します。北斜面貝層出土物の3D空間分析を行います。

1 経緯

有吉北貝塚発掘調査報告書の学習を2020年10月から始め、2021年10月まで継続しました。しかし学習の難易度が増大して、それに十分に耐えて乗り越えるだけの力が乏しく、一時休憩しました。その休憩が1ヵ月のつもりが3ヵ月となり、半年、1年となっていました。しかし丸1年間の休憩の間に力の備蓄も増え、学習再開を決断することになりました。8月~9月半ばまでにBlender基礎技術習得を進めたことが学習再開の心理的決め手になったようです。


サイト 有吉北貝塚学習記事集成

有吉北貝塚発掘調査報告書学習ブログ記事の再掲サイト

このサイトでは次の項目別に過去記事を再掲集成しています。

●アリソガイ実験学習 23記事

●有吉北貝塚学習(主に中期以外) 14記事

●有吉北貝塚中期遺構学習 24記事

●北斜面貝層学習 54記事

2 学習課題と問題意識

過去記事115記事を読み返して、次のような課題や問題意識を持つことが出来ました。1年間の休憩によりこれまでの学習をある程度客観的に眺めることができるようになったと感じました。

2-1 台地上の遺構について

・竪穴住居や土坑の時期別把握が正確に出来ていないように感じました。学習を始めた当初はまずは遺跡の状況をざっくりと把握しておこうという予察的思考だったのですが、現時点からみると正確性に欠けるように感じますので、作業し直し、考察しなおすことにします。

・なお、時期別に指標「土坑数/竪穴住居数」を試算してみると第10・11群土器期(加曽利EⅡ式期 磨消以後)でその値が特段に大きくなるようです。集落生活に何かの大きな変化があったのかもしれいないので、検討を深めることにします。

2-2 北斜面貝層について

2-2-1 貝層断面図の3D分析

・貝層断面図の3D分析をおこなうことにより、北斜面貝層の発達史仮説をまとめることにします。ガリー侵食の実体を把握するとともに、ガリー侵食と貝層形成との関連を調べます。過去学習で既にある程度のイメージは出来ています。

・貝層断面図間の貝層連続性を、広域に分布する同一土器破片出土状況を指標に把握します。

2-2-2 全出土物の3D分布把握と分析

・今回学習を再開するにあたり、発掘調査報告書を再読してその中で、次の出土物についても出土位置と層位情報が掲載されていることをあらためて確認しました。中期土器以外の早期土器、前期土器、後期土器、石器、骨角器等です。つまり北斜面貝層については、そこから出土した全ての遺物の出土3D座標がかなり正確に判るということです。そこで、北斜面貝層出土遺物の全部(あるいは主要なもの)について3D分布を把握して分析することにします。

土器を始め石器や骨角器等を同時に3D分布把握し、分析することにより、それだけでも「遺物分布原理」のかなりの部分を考察できると期待できます。

2-2-3 出土物の層位(貝層断面)分析(3D空間分析)

貝層分類(純貝層、混土貝層、混貝土層)と出土土器・遺物の量の対応から、貝層の意義を考察します。特に混土貝層の成因とそれがどのような活動に関連するのか検討します。持ち込まれて破壊された土器と混貝土層が強く関連しています。その様子を3D空間分析して北斜面貝層における「遺物分布原理」を突き止めます。

3 学習ツール

学習のメインは貝層と遺物の3D分布把握・3D空間分析になります。この分布把握・分析ツールとしてBlenderを活用することにします。

4 感想

2021年10月の記事では「貝層断面図間の貝層連続性を、広域分布する同一土器破片を指標に把握できる」ところまで進みました。しかし、その作業をBlenderで効率的に行うスキルと気力の2点で自分に弱点がありました。ブログ記事掲載を優先して、じっくり作業することを軽視する悪習慣もまだ残っていました。しかし、1年経って、Blenderスキルではその時点からくらべ今回は少しですが前進しています。また気力もこの1年間の学習充実ですこしは造成されてきています。じっくり作業を軽視する悪習慣もかなり弱まってきました。なんとしてでも今回は有吉北貝塚北斜面貝層学習をモノにしたいと思います。

5 1年前の作業画面


294土器破片の平面分布の様子


294土器 加曽利貝塚博物館企画展「あれもE…」に展示された様子


発掘調査報告書掲載情報(土器片平面分布図、土器片立面分布図、貝層断面図)から土器片が出土した貝層を特定している様子(illustrator画面)

この作業を今回はBlender3D空間で行います。


2022年9月16日金曜日

破砕イボキサゴと現生イボキサゴ 観察記録3Dモデル

 Observation record 3D model of the crushed and modern sprial shell


I created a 3D model of observation records of crushed and modern sprial shell displayed in the Kasori Shell Mound Museum Permanent Exhibition. I imagined that crushing the sprial shell was a way to extract the meat from a small, underdeveloped shell.


加曽利貝塚博物館常設展に展示されている破砕イボキサゴと現生イボキサゴの観察記録3Dモデルを作成しました。イボキサゴを破砕するのは、育ち切らない小さい貝から身を取り出す方法であると想像しました。

1 破砕イボキサゴと現生イボキサゴ 観察記録3Dモデル

破砕イボキサゴと現生イボキサゴ 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展

撮影月日:2022.09.11

ガラスショーケース越しに撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.509 processing 91 images

Observation record 3D model of the crushed and modern sprial shell

Location: Kasori Shell Mound Museum

Shooting date: 2022.09.11

3D model Generated with photogrammetry software 3DF Zephyr v6.509 processing 91 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

イボキサゴの殻径は次の図のように現生イボキサゴ>縄文出土イボキサゴ>縄文出土破砕イボキサゴになります。


イボキサゴ殻径頻度分布の比較

現生イボキサゴは採集圧がない状況と考えてよいと思います。殻径は1.7㎝ほどになります。殻のまま出土する縄文イボキサゴの殻径は1.4㎝ほどになります。現生イボキサゴとくらべると少し8割程度の大きさであり、採集圧がかかった状況を示しているのだと思います。また、この大きさで破砕されていないということは、この大きさで殻から楊枝のような道具を使って身を取り出すことが可能だった(作業効率的に受容出来た)のだと想像します。縄文破砕イボキサゴの殻径は1.0㎝程度です。この殻径はイボキサゴに育つ時間を与えないような強い採集圧を示しているのだと思います。また、この大きさでは一つ一つの殻から身を直接取り出すことが難しく(作業効率的に受容できなく)なり、一括破砕して身を選別とりだしていたのだと想像します。

なお、展示破砕イボキサゴについて、以前にも3Dモデルを作成し、その3Dモデルから5点の大型破片について殻径を計測したところ、平均が9.7㎜となり、既存資料の値と整合することを確認しました。(2021.10.13記事「破砕イボキサゴ 観察記録3Dモデル

取り出したイボキサゴの身は天日干しして乾物にし、保存しつつ塩味旨味成分として消費したり、交易に使ったりしたのだと想像します。


縄文丸木舟の刳り残し横梁上付近の平らな小段

 The flat bench of a Jomon dugout canoe


I observed three flat benches at the rear of the Jomon dugout canoe (replica) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum. It can be assumed that a board was put on it and it was used as a boatman's seat. This bench is a powerful material for the sandal-like clay product = dugout canoe miniature hypothesis.


加曽利貝塚博物館に展示されている匝瑳市米倉大境出土丸木舟(複製)の後部刳り残し横張の上に3つの平らな小段を観察しました。そこに板を乗せて船頭の座席としたことが想定できます。

この小段の存在はサンダル状土製品(千葉市内野第1遺跡)を丸木舟ミニチュアと解釈する仮説の有力補強材料となりますので、メモしておきます。

1 縄文丸木舟の刳り残し横梁上の平らな小段 観察記録3Dモデル

縄文丸木舟の刳り残し横梁上の平らな小段 観察記録3Dモデル


3つの平らな小段


匝瑳市米倉大境出土縄文晩期丸木舟(複製)刳り残し横梁上の平らな小段のある場所

撮影場所:加曽利貝塚博物館

撮影月日:2022.09.11

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.509 processing 5 images

Observation record 3D model of the flat bench on the beam of the Jomon dugout canoe

Location: Kasori Shell Mound Museum

Shooting date: 2022.09.11

3D model Generated with photogrammetry software 3DF Zephyr v6.509 processing 5 images


3Dモデルの動画

2 メモ

平らな小段が3つあるのは、乗せる荷物や人員の量によって船頭の座席位置を変化させるために意図して設置した可能性と、長年使っているうちに小段が磨耗などで使えなくなり、近くに作り直した可能性の2点が理由として考えられます。

丸木舟後部の刳り残し横梁上に板を乗せていたことがほぼ確実な例を観察できましたので、サンダル状土製品が丸木舟ミニチュアである蓋然性が飛躍的に高まったと考えます。


新解釈 サンダル状土製品を丸木舟ミニチュアと考える


2022年9月14日水曜日

3ステージ別屋外漆喰炉・出土遺物3Dモデルを作成

 Create 3D models of outdoor plaster furnaces and excavated relics in 3 stages


3D model of outdoor plaster furnace and excavated relics was created in 3 stages. Only the abalone is a live-action 3D model, but everything else is a 3D model created with Blender and quoted from the excavation survey report survey map.


屋外漆喰炉・出土遺物3Dモデルを3ステージ別に作成しました。アワビだけは実写版3Dモデルですが、それ以外は全て発掘調査報告書実測図から引用及びBlenderで作成した3Dモデルです。

1 屋外漆喰炉基底微地形・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

屋外漆喰炉基底微地形・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

断面図・平面図・説明注記は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用(塗色)

基底微地形3Dモデルは断面図・平面図情報を元にBlenderで作成

土器6点3Dモデルは発掘調査報告書掲載実測図からBlenderで作成

アワビ3Dモデルは実写版3Dモデル(フォトグラメトリ製作物)https://skfb.ly/orZFz

3DF Zephyr v6.509でアップロード

Outdoor stucco furnace base microtopography and excavated artifacts  (Daizenno Minami Shell Mound,Chiba City) 3D model

Cross-sectional view, plan view, and explanatory notes are quoted from the Daizenno Minami Shell Mound excavation report (painted)

The base micro-topography 3D model is created with Blender based on cross-sectional and plan information.

6 pottery 3D models were created with Blender from the survey maps published in the excavation report

Abalone 3D model is a live-action 3D model (photogrammetry product) https://skfb.ly/orZFz

Uploaded with 3DF Zephyr v6.509


屋外漆喰炉基底微地形・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル画像

2 屋外漆喰炉炉体形状・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

屋外漆喰炉炉体形状・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

断面図・平面図・説明注記は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用(塗色)

炉体形状3Dモデルは断面図・平面図情報を元にBlenderで作成

土器6点3Dモデルは発掘調査報告書掲載実測図からBlenderで作成

アワビ3Dモデルは実写版3Dモデル(フォトグラメトリ製作物)https://skfb.ly/orZFz

3DF Zephyr v6.509でアップロード

3D model of outdoor plaster furnace body shape and excavated artifacts (Daizenno Minami Shell Mound,Chiba City)

Cross-sectional view, plan view, and explanatory notes are quoted from the Daizenno Minami Shell Mound excavation report (painted)

3D model of outdoor plaster furnace body shape is created with Blender based on cross-sectional and plan information.

6 pottery 3D models were created with Blender from the survey maps published in the excavation report

Abalone 3D model is a live-action 3D model (photogrammetry product) https://skfb.ly/orZFz

Uploaded with 3DF Zephyr v6.509


屋外漆喰炉炉体形状・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル画像

3 屋外漆喰炉漆喰堆積表面・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

屋外漆喰炉漆喰堆積表面・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル

断面図・平面図・説明注記は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用(塗色)

漆喰堆積表面3Dモデルは断面図・平面図情報を元にBlenderで作成

土器6点3Dモデルは発掘調査報告書掲載実測図からBlenderで作成

アワビ3Dモデルは実写版3Dモデル(フォトグラメトリ製作物)https://skfb.ly/orZFz

3DF Zephyr v6.509でアップロード

Plaster deposition surface of outdoor plaster furnace and excavated artifacts (Daizenno Minami Shell Mound,Chiba City)

Cross-sectional view, plan view, and explanatory notes are quoted from the Daizenno Minami Shell Mound excavation report (painted)

The 3D model of the plaster-deposited surface is created with Blender based on cross-sectional and plan information.

6 pottery 3D models were created with Blender from the survey maps published in the excavation report

Abalone 3D model is a live-action 3D model (photogrammetry product) https://skfb.ly/orZFz

Uploaded with 3DF Zephyr v6.509


屋外漆喰炉漆喰堆積表面・出土遺物(千葉市大膳野南貝塚)3Dモデル画像

4 メモ

・8月12日記事「屋外漆喰炉の3Dモデル作成イメージ」で作成開始してから丸1ヵ月かけてようやく屋外漆喰炉の3Dモデルが完成しました。この取組で発掘調査報告書実測図から簡易的な3Dモデルを作成することが、Blenderにより実現できることを体験できました。同時にBlenderの基礎操作にある程度習熟することができました。

・屋外漆喰炉のステージ別形状は断面図高さ情報を基に平面形状を想定し、それを3Dモデルにしました。具体的には想定等高線図を作成し、それから多数の縦断面形図を作成しました。その多数縦断面形図からBlenderのBsurfaces機能で3Dモデルを生成しました。

・なお、想定等高線図から直接3Dモデルを生成する方法(QGIS-GRASS機能利用)について、近々試行検討する予定です。

・土器については、実測図からBlenderのBsurfaces機能、UV投影機能、ブーリアン差分機能により作成しました。なお、波状口縁の土器も現在の技術で作成できます。把手などの飾りがあるものは、土器本体と把手を別につくり、ブーリアン結合で結合して作成することが考えられます。

・今回は都合によりアワビは実写版(フォトグラメトリ版)で代用しました。巻貝をBlenderでつくる方法がwebで公開されていますので、将来、Blenderで一般巻貝形状をつくり、それを変形してアワビ作成に至る技術開発を目指します。

・無味乾燥な発掘調査報告書に掲載されている遺物・遺構の実測図から、簡易的とはいえ3Dモデルができます。この3Dモデルを観察する中で学習における発想・思考を刺激することができます。


屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル 動画

 3D model video of outdoor plaster furnace + 6 buried pottery + excavated abalone


The outdoor plaster furnace 3D model was created by adding 6 buried pottery 3D models and the excavated large abalone 3D model. A 3D model was created for the three stages of the plaster furnace formation process, in the order of base microtopography, furnace body formation, and plaster deposited surface.


屋外漆喰炉3Dモデルに埋設された6土器3Dモデルと出土した大型アワビ3Dモデルを加えた3Dモデルを作成しました。3Dモデルは漆喰炉形成プロセスの順に基底微地形、炉体形成、漆喰堆積表面の3段階について作成しました。

1 屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル 動画


屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル 動画

屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル画像1

屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル画像2

屋外漆喰炉+埋設6土器+出土アワビの3Dモデル画像3

2 メモ

・この3Dモデルはマテリアル数が100以上となったためそのままSketchfabに投稿できません。そのため3分割してSketchfabに投稿することにします。

・アワビは実写版(展示物のフォトグラメトリ製作物)を使いました。


2022年9月12日月曜日

塊状灰(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

 Ash mixed with crushed sehll (Kasori Shell Mound, Chiba City) Observation record 3D model


I saw Ash mixed with crushed sehll at the Kasori Shell Mound Museum Permanent Exhibition. It is explained that it is the same as the excavated material called plaster in the Daizenno Minami Shell Mound. I imagine that it was a building material that was attached to the furnace in the house, the outdoor furnace, or the floor of the house to produce whiteness (sacredness).


加曽利貝塚博物館常設展で塊状灰を観覧しました。大膳野南貝塚で漆喰と呼ばれる出土物と同一物と説明されています。住居内外の炉や住居床に貼り付け、白さ(神聖性)を演出した建材であったと想像します。

1 塊状灰(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

塊状灰(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館 常設展

撮影月日:2022.09.11


展示の様子


展示説明

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 103 images

Ash mixed with crushed sehll (Kasori Shell Mound, Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shell Mound Museum Permanent Exhibition

Shooting date: 2022.09.11

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 103 images


3Dモデルの動画

2 メモ

純白のモノは自然界には数多くは存在しません。縄文中期房総の貝塚人は純白をつくる方法を貝を素材に発明したのです。その純白を住居内外の炉や住居床に貼り付け神聖性を演出し、日常の精神生活を豊かなものにしたと想像します。


加曽利貝塚の塊状灰充填土器埋設炉

加曽利貝塚博物館展示説明パネル引用


大膳野南貝塚の漆喰を床に貼った住居及び漆喰炉

大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用


2022年9月9日金曜日

縄文土器実測図3Dモデル6点

 6 3D models of scale drawing Jomon pottery


I created a 3D model of 6 pieces of Jomon pottery from scale drawings. We now have the basics of how to generate a 3D model from just one scale drawing. Use Blender. I made a note of how it was created.


縄文土器6点について実測図から3Dモデルを作成しました。1枚の実測図だけから3Dモデルを生成する方法の基礎はできました。Blenderを使います。作成方法をメモしました。

1 縄文土器実測図3Dモデル6点

縄文土器実測図3Dモデル6点

千葉市大膳野南貝塚屋外漆喰炉から出土した堀之内式土器6点の実測図3Dモデル


「縄文土器実測図3Dモデル6点」の画像


「縄文土器実測図3Dモデル6点」の動画

2 縄文土器実測図3Dモデルの作成方法(概要)

2-1 Blenderで使うアドオン

Bsurfaces GPL Edition(必須)

Bezier Toolkit

import images as planes

2-2 3Dモデル造形

Blenderの2D Animaition画面で、実測図(同じもの2枚)を十字に空間配置し、外側線をグリースペンシルでなぞり、Bsurfaces機能で3Dモデルを造形します。


実測図から3Dモデルを造形している様子

2-3 土器文様の投影

3Dモデルに実測図文様をモディファイアのUV投影で投影します。


UV投影している様子

2-4 3Dモデル不用部分の削除

3Dモデル不用部分をモディファイアのブーリアン差分で削除します。


ブーリアン差分で削除している作業の様子

3 メモ

Blender作業の基本はほぼ出来上がりました。1枚の実測図だけから簡易的とはいえ3Dモデルが簡単にできますから、自分の考古学習には価値がある技術です。


2022年9月6日火曜日

屋外漆喰炉に縄文土器をテスト配置する

 Test placement of Jomon pottery in an outdoor plaster furnace


A 3D model of Jomon pottery, which was also created from a survey map, was placed as a test on the outdoor plaster furnace 3D model created from the survey map. It's a self-praise, but it's a very good feeling. I'm looking forward to arranging other pottery and abalone in sequence.


実測図から作成した屋外漆喰炉3Dモデルに、同じく実測図から作成した縄文土器3Dモデル1つをテスト配置しました。自画自賛になりますが、とてもいい感じです。他の土器及びアワビも順次配置することが楽しみになります。

1 屋外漆喰炉に縄文土器1つをテスト配置した3Dモデル

屋外漆喰炉に縄文土器1つをテスト配置した3Dモデル

屋外漆喰炉及び縄文土器は実測図から作成


屋外漆喰炉実測図

千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用


「屋外漆喰炉に縄文土器1つをテスト配置した3Dモデル」の画像

2 メモ

・屋外漆喰炉に縄文土器を置いてみると、基底微地形、炉体形状、漆喰堆積表面と縄文土器(埋甕)の関係が思いのほか実感を持ってよくわかります。他の土器とアワビも順次置いてみることにします。

・Blenderにおける作業では、このモデルは特段の障害に合うことなく、直ぐに出来ました。しかし、このモデルをSketchfabに投稿できるまでに丸2日かかりました。これまでSketchfab投稿は全て3DF Zephyr Lite経由で行い、何ら問題を感じてきませんでした。しかし、今回の縄文土器3Dモデル作成ではブーリアン差分を使い、そのオブジェクトは3DF Zephyr Liteでは正常な表示が出来ません。従って3DF Zephyr Liteを使わないでSketchfabに投稿する必要があります。その場合色々な制約があります。特にオブジェクトのマテリアル名称とテクスチャ画像名称に日本語は使えません。(Sketchfab内で文字化けします。)この制約を知らなかったため、丸2日間悩み、時間を空費しました。

・Blenderファイルを別のフォルダーに移動して作業し、その結果をWabefront(.obj)などにエクスポートして再利用するための子細な留意点に気が付きました。近々別記事等でまとめることにします。


2022年9月4日日曜日

縄文土器実測図3Dモデル(破損表現)動画

 Jomon pottery 3D model (damage expression) video


I created a video of a Jomon pottery 3D model (damage expression) with path animation using Blender. This is my first time making a video with Blender.


Blenderで縄文土器実測図3Dモデル(破損表現)の動画を作成しました。Blenderによる動画作成は初めてです。

1 縄文土器実測図3Dモデル(破損表現)動画


縄文土器実測図3Dモデル(破損表現)動画


Blenderカメラビューの様子

2 メモ

次のステップ(概略)で作成しました。

1 タイムラインで起点と終点設定(とりあえず1と100にしました。)

2 カメラを動かすパス(ベジェ曲線)を描く

3 カメラ選択→オブジェクトコンストレイント→パスに追従→ターゲット設定(ベジェ曲線)(適用はチェックしません。※)

※適用をチェックするとなぜかオブジェクトコンストレイントが消失します。

4 エンプティオブジェクト(例 十字)追加→対象3土器の中央に配置

5 カメラ選択→オブジェクトコンストレイント→トラック→ターゲット設定(エンプティ十字)(適用はチェックしません。※)

※適用をチェックするとなぜかオブジェクトコンストレイントが消失します。

6 タイムラインでカメラを動かして、パスの位置や形状を変更調整

7 [動画スピード調整]ベジェ曲線選択→プロパティの「オブジェクトデータプロジェクト」(緑の線)→パスアニメーション→数値を変更(ここではスピードが速すぎるので、100から500に変更)

8 [画面背景変更]ワールドプロパティ→サーフェス→背景→カラーを白に変更

9 3土器の下に平面を追加し、青色に塗り、3土器を視認しやすくした。

10 [出力]出力プロパティ→出力フォルダー設定→ファイルフォーマット→FFmpeg動画→エンコーディング→コンテナ→mpeg-4→動画→動画コーディック→h.264

11 レンダー→アニメーションレンダリング


Blenderにおける動画作成の様子

「はじめてのお使い」ならぬ「はじめてのBlender動画作成」をするにあたり、次のYouTube動画がとても参考になりました。

【blender】カメラワーク3選!街の中を走り抜ける M design

これまでは3DF Zephyr Liteで3Dモデルの動画を作成してきました。3DF Zephyr Liteによる操作の方が圧倒的に簡略、短時間、思いの通りに作成できます。しかし、今回作成した「縄文土器実測図3Dモデル(破損表現)」のようにBlenderでブーリアン差分を利用したモデルは3DF Zephyr Liteでは正常に表現できません。そのため仕方なくBlender動画にチャレンジした次第です。


2022年9月3日土曜日

縄文土器実測図3Dモデルの破損状況表現

 Damage representation of Jomon pottery 3D model


I confirmed how to remove the necessary parts in order to express the damage situation of the Jomon pottery 3D model. In addition, I made it possible to post Blender work results to Sketchfab directly from Blender.


縄文土器実測図3Dモデルの破損状況を表現するために、必要な部分を除去する方法を確認しました。なお、Blender作業結果をBlenderから直にSketchfabに投稿できるようにしました。

1 縄文土器実測図3Dモデル 破損表現

縄文土器実測図3Dモデル 破損表現

左から実測図、写真、Photoshopによるカラー化写真の3Dモデル


「縄文土器実測図3Dモデル 破損表現」画像

2 縄文土器オブジェクトの一部削除方法

オブジェクトの一部削除は次のような方法で行いました。

1 削除範囲をビェジェ曲線でなぞる。

2 ビェジェ曲線をメッシュに変換する。

3 メッシュの頂点から面を作成する。

4 面をモディファイア「ソリッド化」で立体オブジェクトにする。立体オブジェクトは土器削除部分を完全にカバーするようにする。

5 土器をモディファイア「ブーリアン」差分で、立体オブジェクトと交差した部分を削除する。


土器と立体オブジェクト

この土器の場合ブーリアン差分による削除は、作業しやすい軸方向3回に分けて行いました。

この方法を使えば、どのような破損状況でも表現することができると考えます。

2 BlenderからSketchfabに直接投稿

BlenderにSketchfabプラグインをインストールすることにより、Blender画面から直接Sketchfabに投稿できるようになりました。


Blender画面におけるSketchfabプラグイン

アドイン「sketchfab-plugin-1-5-0.zip」をダウンロードしてBlenderにインストールして、プラグイン画面でSketchfabメールアドレスとパスワードを入力するだけで使えるようになりました。「API token」の入力は必要ありませんでした。

これまでBlender作成3Dモデルは、BlenderからWabefront(.obj)ファイルなどでエクスポートして、それを3DF Zephyr Liteで読み込み、3DF Zephyr LiteからSketchfabに投稿していたので、ひと手間減ることになり便利です。