西根遺跡出土加曽利B2式土器の観察を行っています。この記事では補修孔付き5単位波状口縁土器を観察します。
1 377番土器
377番土器 (千葉県教育委員会所蔵)
・5単位の波状口縁土器です。
377番土器 部分拡大 (千葉県教育委員会所蔵)
・横走沈線で区画視された部分に沈線で矢羽状線文が描かれています。
377番土器報告書掲載写真
西根遺跡発掘調査報告書から引用
377番土器挿図
西根遺跡発掘調査報告書から引用
377番土器観察表
西根遺跡発掘調査報告書から引用
「377は5単位の波状口縁で、胴部中位の横走の沈線区画内に矢羽状線文を充填する。施文は下位から上位に向かって行われている。無文部は丁寧なミガキがなされる。口縁部に補修孔がみられる。」
西根遺跡発掘調査報告書から引用
3 377番土器内部
377番土器内部 (千葉県教育委員会所蔵)
補修孔
・波状口縁の凹んだ付近に補修孔1点が観察できます。土器内面から孔を丁寧に掘っています。孔は正円に近い形状です。
・波状口縁の凹んだ付近は力学的に弱い部分で、この部分に入ったヒビが拡大しないように2つの補修孔を開け紐で結んだものと想像します。
4 メモ
・第4集中地点出土、口径29.0cm、底径10.4cm、器高29.0cm、容量3.9リットルの5単位波状口縁精製深鉢です。残存率は70%です。
・被熱を受けています。
・補修孔があることからヒビが入ってからも丁寧に扱われたことがわかります。またヒビが入ってからは、少なくとも補修孔より上まで液体を満たしたことはないと想像します。
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