1 はじめに
twitterでKiKiKiさんから私の関山式土器3Dモデルに関するツィートにコメントをいただきました。
注口に角度があることのご指摘です。
ハタッとこれは重要なご指摘であると気が付きました。
土器実物を手に取ることができる専門家ならば、かならずや片口方向の偏向に気が付き、すでに専門分析があるに違いありません。その必ずあるにちがいない分析論文を探すのは後回しにして、自分でまず確かめてみました。
当方は土器実物を手に取りマジマジと眺める機会を得ることはできません。しかし3Dモデルによりそれとほぼおなじことができます。3Dモデルの活用方策の一つの事例ともなります。
これまでに3Dモデルにした関山式片口付深鉢形土器が4点みつかりましたので、並べて比較検討してみました。
3Dモデルをくるくる回したり、拡大縮小したり、マウスで動かしていると、片口偏向の様子から縄文人による右手と左手の使い勝手の様子を「筋肉感覚」的に感得(観察)することができます。
以下3Dモデルの視覚的観察のみならず、筋肉感覚的観察を行ったメモです。
2 4事例の片口の偏向
2-1 例1
例1 片口の偏向(上から)
片口の流向方向が土器中央からの直線に対して左側に偏向しています。
片口を利用して液体を別の容器に注ぐとき、右利きの人が扱いやすい形状となっています。
例1 通常視点
3Dモデル
2-2 例2
例2 片口の偏向(上から)
片口の流向方向が土器中央からの直線に対して右側に偏向しています。
片口を利用して液体を別の容器に注ぐとき、左利きの人が扱いやすい形状となっています。
3Dモデル
2-3 例3
例3 片口の偏向(上から)
片口の流向方向が土器中央からの直線に対して右側に偏向しています。
片口を利用して液体を別の容器に注ぐとき、左利きの人が扱いやすい形状となっています。
例3 通常視点
3Dモデル
2-4 例4
例4 片口の偏向(上から)
片口は偏向していません。右利き、左利きの人兼用です。ただし波状口縁が大きいので片口は利用しずらかったにちがいありません。
例4 通常視点
3Dモデル
3 考察
片口の偏向が別の容器に液体を注ぐときの使い勝手を考えた発明であり、右利きの人用と左利き人用の2種あると考えました。別に波状口縁が大きいものは偏向を加えていないと考えました。
片口偏向に関するこのような基本的考えが合理的であるかどうか、確かめる必要があります。
もし片口偏向の様子から右利きの人と左利きの人の割合を推定できれば、面白いことです。(正確には土器を右利きの人と同じような土器扱いを好む人と左利きの人と同じような土器扱いを好む人の割合です。)
0 件のコメント:
コメントを投稿