縄文土器学習 274
1 3Dモデル
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE-加曽利E式土器(印旛地域編)-」(2019.11.16~2020.03.01)展示土器のうち、唯一ショーケースに入っていない大型土器について3Dモデルを作成して観察してみました。
加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE-加曽利E式土器(印旛地域編)-」
撮影月日:2019.11.19
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.519 processing 58 images
展示の様子
カメラの視線が届く範囲は鮮明な3Dモデル画像を得ることができました。
土器内面を全て観察できる3Dモデルとなりました。
2 観察と感想
・口縁部がわずかですが4単位の波状になっています。加曽利EⅡ式ではほとんどの土器の口縁部は平滑ですから、その点が違います。
・加曽利EⅡ式で特徴的な渦巻文が退化してほとんどなくなっている状況です。ただし、この土器は渦巻文の痕跡が残っていると形容してよいのではないかと素人判断します。
・頸部を回る太い磨消部が特徴的で口縁部と胴部を区切っています。
・内面の仕上げが雑です。土器を造形したときの粗いへら模様がそのまま残っていて、なんら表面処理をしていません。煮炊きに使う「鍋」の内面であるとはとても言えません。
・煮炊きに使ったときにできたと考えられる表面の焼かれた跡(焼成や摩耗痕)は観察できません。また内面にもおこげはもとより煮沸痕が全く見られません。
・胴部の縦方向磨消部の真ん中に沈線があり、その上端がくるりと杖のように回っていて、噴水をイメージさせるデザインのように感じます。流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢で観察した模様と同じです。2019.08.18記事「加曽利EⅡ式把手付鉢の杖のような模様」参照
・この土器は次の諸特徴から水瓶として作られ、使われた土器であると想定できます。
1 大きい
2 煮炊きにつかわれた痕跡が土器表面と土器内面にない
3 煮炊きに使うために必要な内面処理(平滑化)がない
4 噴水デザインが施されている
3 噴水デザイン
加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)
流山市立博物館企画展「流山のお宝新発見」展示加曽利EⅡ式把手付鉢(小谷貝塚)
4 参考 カメラ配置
カメラ配置
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