2020年11月24日火曜日

アリソガイの使用法推定

 縄文貝製品学習 30

アリソガイ製ヘラ状貝製品の使用法について推定してみました。

1 アリソガイ製ヘラ状貝製品の観察結果

アリソガイ製ヘラ状貝製品の3Dモデルを作成して擦痕や形状を観察しました。


アリソガイ製ヘラ状貝製品の観察結果 総集


アリソガイ製ヘラ状貝製品の観察結果 千葉市有吉北貝塚出土372図2表面

腹縁部の摩耗が激しく、立体的には曲線状を呈します。この曲線状形状は下記の資料に示すように、ある平面を擦って磨耗した結果であると考えられます。

ついで側縁部の摩耗が顕著です。しかし側縁部の形状が大きく変化するまでの使い込みはありません。

貝殻表面に多様な擦痕・磨耗が見られます。この磨耗は腹縁部や側縁部と比べて軽度です。


腹縁部摩耗による曲線状形状出現説明資料

2 アリソガイ製ヘラ状貝製品の使用法推定

1の観察から次の3種の使用法が浮かび上がります。

ア 使用法1

腹縁部の使用法推定です。


使用法1

対象物表面の小さな付着異物・油等の被膜・汚れ等を腹縁部エッジ(刃)で掻きとる(こそぎ取る)機能が考えられる使用法です。

イ 使用法2

側縁部の使用法推定です。


使用法2

対象物表面の付着異物・油等の被膜・汚れ等をザラザラした貝殻表面で擦って落とす機能、軽石やたわしで擦るのと同じような機能が考えられる使用法です。

ウ 使用法3

貝殻表面の使用法推定です。


使用法3

対象物表面を磨く機能が考えられる使用法です。

3 メモ

・道具としてのアリソガイ製ヘラ状貝製品の使用法と機能の重要性は使用法3→使用法2→使用法1の順に増すと考えられます。

・道具としての使用頻度も貝殻磨耗の様子から、使用法3→使用法2→使用法1の順に増したと考えられます。

・3Dモデルによる観察結果から浮かび上がる使用法と機能から、その具体的利用目的の推定が絞られることが期待できます。次の記事で検討します。





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