縄文土器学習 491
千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」で展示されている香炉形顔面付土器(香取市良文貝塚)の3Dモデルを作成し観察しました。
1 香炉形顔面付土器(香取市良文貝塚) 観察記録3Dモデル
香炉形顔面付土器(香取市良文貝塚) 観察記録3Dモデル縄文後期、貝塚史蹟保存会蔵、千葉県指定有形文化財(考古資料)
撮影場所:千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」
撮影月日:2020.10.27
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.009 processing 55 images
展示の様子
展示の様子
3Dモデルの動画
2 観察と感想
2-1 香炉に顔面を付ける意味
香炉あるいは土器に顔面を付ける意味をまだ知りません。自分なりに納得いく理由を知りたい(あるいはつくりたい)と思います。
顔面のパーツ(眉毛、目、鼻、口)が異様に近づいています。その分だけ頬や顎がふくよかすぎます。何か理由があるにちがいありません。よく漫画の表現で驚いた時や極限的な状況に遭遇した時の表現で顔にバッテン(X)を描くときがありますが、その雰囲気と似ています。
耳が表現されていますが、身体変工による大きな耳飾はしていません。
この顔が男であるのか女であるのか判りません。
直観的には女神ではないとおもいますが・・・。
2-2 耳後ろから額にかけての造形物
耳後ろから額にかけて一連の造形物が張り付いていて、耳後ろの管は紐を通して吊り下げる機能を有していると考えられているようです。台付香炉にも関わらず吊り下げる機能も付いていたと考えられているようです。その可能性はそのとおりだと思います。
同時に、左右の管が溝としてつながっている様子は不思議です。吊り下げるだけの実用機能ならば額部分の溝造形は不用です。さらに額部分で溝造形は広がっていて解読されるべき意味を主張しているように素人考えしてしまいます。
左右の管とそれをつなぐ溝状部分を一体の造形物としてみると頭頂部運搬道具のように見えてしまいます。
頭頂部運搬道具をイメージして造形された可能性
頭頂部運搬
Natalia Maks(https://nataliamaks.wordpress.com/2013/07/02/2567/)から引用
縄文時代にモノの頭上運搬や頭頂部運搬が存在していたとすれば、この香炉は頭頂部運搬道具をイメージして吊り下げ機能を造形したという複雑なデザイン思考を経てつくられたのかもしれません。
そして、空想に空想を重ねれば、頭頂部運搬するモノに強い意味があるからこそ頭頂部運搬道具をデザインしたのだと思います。頭から下げて運んだ重要なモノは何であるか、興味は深まります。
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