八千代市立郷土博物館で開催中の「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されている顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡)を3Dモデルを作成して観察しました。
1 顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡) 観察記録3Dモデル
顔面突起(十三菩提式)(八千代市赤作遺跡) 観察記録3Dモデル撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」
撮影月日:2021.11.02
展示の様子
ガラスショーケース越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 33 images
3Dモデルの動画
2 観察
パンフレット説明をもとに観察しました。数値は3Dモデルから計測した略値です。
・前期末葉(十三菩提式)の顔面で、顔面発生期のものであり、千葉県ではこの1例だけのようです。
・沈線と沈刻で顔の輪郭を表現しています。顔面の大きさは縦約2.8㎝×横約3.8㎝になります。
・沈線と沈刻の様子は展示パネル写真で、光線の当たり方が適切なので、今回展示よりもよくわかります。
展示パネルの写真
・目の上から鼻筋にかけて幅約6㎜の黒い部分が眉弓を表現していて、隆起線の剥落跡のようです。眉毛と鼻筋を一緒に表現しています。
・目と口はえぐられた表現され、縦約5㎜、横8-9㎜、目の深さ2.5㎜、口の深さ4㎜となっています。
・前期土偶では顔の表現はほとんどありません。また、あっても点4つだけで表現するなどきわめて抽象的です。しかしこの顔面突起は具象的な顔で、前期末葉のものです。土偶よりも一足早く土器突起として具象顔面造形があらわれたということでしょうか。
・顔面は縄文人が人に模してイメージした(擬人化した)カミの顔であると想像します。さらに想像を深めれば、顔が平面でつくられていて、上下が沈線と沈刻で境されている様子から、顔面とは仮面である可能性があります。シャーマンが仮面をつけてカミに憑依して演舞する様子にカミをイメージしたのだと想像します。
3Dモデル画面
3Dモデル画面(ソリッドモデル)
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