2022年4月23日土曜日

土器容量計測と土器器形仮想復元

 Pottery capacity measurement and pottery shape assumption restoration


I measure the size and capacity of pottery. For pottery whose shape has not been completely restored, I virtually restored it and measured its size and capacity.It seems that this pottery had a capacity of 2 liters or less and was not a daily tool but a ritual tool.


土器の大きさと容量の計測を行っています。器形が完全に復元されていない土器について、仮想復元して大きさと容量の計測をしました。

1 称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の仮想復元


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)展示の様子

2022.03.07記事「称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の3Dモデル観察」参照


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の想定復元

器形シルエットが似ている土器を称名寺式土器3Dモデル(https://sketchfab.com/arakiminoru/collections/3ca4af24fa2d437fa483403cccf840cb)の中から探したところ、称名寺式土器(千葉市内野第1遺跡) Syomyozi type potteryがよく似ている印象を受けました。そこでこの土器器形を参考に称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)形状の想定復元を行いました。

2 土器容量の計測


土器容量計測作業図

展示現物は高さ19.42㎝、口縁部幅20.85、容量1.82ℓ、仮想復元は高さ26.37㎝、口縁部幅20.85㎝、容量1.91ℓとなりました。

3 感想

感想 1

展示土器で大きいモノは高さ50㎝を超え、容量も30ℓクラスのものがあります。それと比べるとこの土器は高さこそ26㎝程度ありますが、容量は2ℓ以下で大変小さいモノです。この土器が煮炊きに使われたかどうかは土器下半部がないので判りません。もし煮炊きに使われた形跡があったとしても日常生活における調理には使われていないと推察します。この土器は千葉県最大石棒と共伴出土しているので、石棒祭祀と関わる祭具としての土器であったと想像します。祭具だから把手が特段に派手なのだと想像します。もし、この土器で煮炊きしたとすれば、祭壇のお供え物としての料理をつくる特別の道具であったと想像します。


称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の出土状況

加曽利貝塚博物館R3企画展「あれもE…」展示説明パネル

感想 2

器形が似ている同時代土器を使えば、途中まで復元されている土器を仮想的に全部復元することは、学習レベルでは意味のあることであると感じました。復元された器形は「当たらずとも遠からず」であり、復元しないよりもよっぽど意義深いことであると感じます。こうした作業ができるのも、縄文土器多数の3Dモデルを用意できているためです。縄文土器3Dモデルはおよそ500近く蓄積してきています。


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