2022年4月19日火曜日

3Dモデルによる縄文土器の大きさ・容積測定方法

 How to measure the size and volume of Jomon pottery using a 3D model


I decided to measure the height, diameter, and volume of the pottery to know the basic information about about 30 Kasori E-type pottery 3D models created this year. The method is shown using the Kasori EV type deep bowl (No.39) as an example.


今年に入ってから作成した加曽利E式土器3Dモデル約30について、基礎的情報を知るために土器の高さ、直径、容積を測定することにしました。その方法を加曽利EⅤ式深鉢(No.39) を例として表示しました。

1 3Dモデルに対する実寸法付与

撮影時にショーケーズ前にスケールを置き、3Dモデルにスケールを取り込む事によって、3Dモデルに実寸法を付与しました。


スケールを取り込んだ3Dモデル(3DF Zephyr Lite画面)

2 測定項目

加曽利E式土器の大きさと容量を測定することとします。

加曽利E式土器の大きさ測定は以前次のような測定項目を検討したことがあります。


加曽利E式土器の計測項目

f/i×100=くびれ度、a/f×100=深さ指数、f/j=尖り度

2020.01.24記事「加曽利博の加曽利E式土器細分基準の学習

今回は3Dモデル計測の手始めということで、大きさは高さ、直径(口縁部、底部)だけを計測します。次のステップでは器形把握に必要となるより詳細な項目の計測を行うこととします。

容量はパップス・ギュルダンの定理を利用して計測することにします。

2021.02.17記事「パップス-ギュルダンの定理による縄文土器体積の求積

(回転体の体積 V) = (図形 F の重心 G が回転により描く軌跡の長さ) × (図形 F の面積 S)


3Dモデルによる加曽利E式土器の高さ、直径、容積の測定方法

3 容積測定方法メモ

容積測定は次の仮定を設定して行いました。

ア 土器展示正面をオルソ投影した画面を対象に半裁断面を設定して、その半裁断面の回転体容量が土器容量であると仮定します。そのために半裁断面の面積を求めます。

イ 土器の厚さは3Dモデルで計測可能な場所2~3か所の平均値を使います。

ウ 土器底部の厚さもイと同じ厚さを便宜上使います。

エ 土器厚さ分だけ内側に移動する線分の作図はillustrator「パスのオフセット」機能を利用します。

オ 半裁断面の面積測定はPhotoshop面積測定機能を利用します。

カ 半裁断面の重心位置は、半裁断面の押出3Dモデル(※)をBlenderに投入して「原点を重心に移動」機能で求めます。


Blenderで表示したobjectの重心
※半裁断面の押出3Dモデル
今回の作業では半裁断面押出3DモデルをPhotoshopの3Dモデル機能で作成しました。Photoshopでは3Dモデル機能の全削除に向かってバージョンアップ毎に機能が縮減しています。現時点ではまだ押出モデルをかろうじて作成することができました。使い勝手の良いPhotoshopから3Dモデル機能が削除されることは残念です。

4 部分復元土器について

土器下半部の復元が省略された土器など部分復元土器は、3Dモデル上で仮想的に全体復元して、高さ、直径、容積を測定することとします。


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