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2025年5月31日土曜日

イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

 Close-by excavation of a boar jawbone and three hunting tools


In 3D space, we found a place where a boar jawbone and three hunting tools were found close together. The place is surrounded by a dense area of ​​bones and teeth. There is a possibility that a meaningful event will be discovered using the boar jawbone as a key. However, this one example may be a coincidence, so we will wait for the discovery of similar examples in the future.


3D空間の中で、イノシシ顎骨と狩猟道具3点が接近出土する場所を見つけました。その場所が骨・歯密集域に囲まれています。イノシシ顎骨をキーとする意味のある事象発見の可能性があります。しかしこの1例では偶然かもしれないので、今後の類例発見を待ちます。

1 イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

イノシシ顎骨


イノシシ顎骨に接近して出土する遺物

イノシシ顎骨、石鏃、骨角歯牙製品、貝製品(装飾品)、人骨を集成した3D分布モデルを作成して子細に観察していたところ、イノシシ顎骨、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃が接近出土する場所を発見しました。

2 イノシシ顎骨等4遺物と骨・歯3D分布との関連


イノシシ顎骨等4点内包球の作成


イノシシ顎骨等4点内包球の空間関係

イノシシ顎骨等4遺物接近出土の場所が骨・歯3D分布との関連で気になるので、4遺物を内包する球を3D空間に設定して、その球と骨・歯3D分布との関係を観察しました。結果、内包球が骨・歯3D分布における密集域の空白部にすっぽりと入ることを確認しました。骨・歯密集域の空白部は11断面のS3層の褐色部に対応します。

イノシシ顎骨は他の遺物と比べてその大きさが特段に大きく、象徴性があるので、それと狩猟道具等の接近出土は何らかの意味があるかもしれないと考えます。またそれらと骨・歯密集性との関係に何らかの意味があるかもしれないと考えます。しかし、今回例は単なる偶然の産物である可能性もあり、この1例だけでは結論が出ません。北斜面貝層全体のデータベースによる調査が進めば、イノシシ顎骨出土数が多い(99)ことから、イノシシ顎骨に関して何らかの有用情報を獲得できるかもしれないと期待しています。

3 イノシシ顎骨の利用について

出土したイノシシ顎骨はいずれも「美しく」噛み跡や分解がほとんどありません。このことから、イヌの餌になった様子は皆無です。棒の上にイノシシ顎骨を刺して空中に展示して、トーテムなどとして利用した可能性が濃厚です。




2025年4月8日火曜日

イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

 A boar jawbone and three hunting tools were unearthed in close proximity


I discovered a place where a boar jawbone and three hunting tools (a deer bone piercing tool, a marine animal bone fish hook, and a stone arrowhead) were unearthed in close proximity. A dense area of ​​bones and teeth surrounds the site. I hypothesized that this area was a ritual space consisting of an altar and a place to eat animal meat.


イノシシ顎骨と狩猟道具3点(鹿骨製刺突具、海獣骨製釣針、石鏃)が接近出土する場所を発見しました。その場所を囲んで骨・歯分布密集域が広がります。この付近が祭壇と獣肉を食べる場から構成される祭場空間だと仮説しました。

1 イノシシ顎骨と狩猟道具3点の接近出土

イノシシ顎骨出土例


イノシシ顎骨に接近して出土する遺物

イノシシ顎骨、石鏃、骨角歯牙製品、貝製品(装飾品)、人骨を集成した3D 分布モデルを作成したところ、イノシシ顎骨、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃が接近出土する場所を発見しました。

2 イノシシ顎骨等4点内包球の作成


イノシシ顎骨等4点内包球の作成

この4 遺物接近出土の場所が骨・歯3D分布との関連で気になるので、4遺物を内包する球を3D空間に設定しました。

3 イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との空間関係


イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との空間関係

イノシシ顎骨等4点内包球と骨・歯3D分布との関係を観察しました。結果、内包球が骨・歯3D分布における密集域空白部にすっぽりと入ることを確認しました。骨・歯密集域空白部は11 断面のS3層の褐色部に対応します。

4 作業仮説

以上の空間関係から、次の作業仮説を設定しました。

「イノシシ顎骨をトーテムとした狩猟関連祭祀の場(直径1mくらいの祭壇空間)が斜面貝層に継続して存在し、刺突具(鹿骨)、釣針(海獣骨)、石鏃などが埋納された。その場所には貝殻投棄が行われないので、その場所だけ貝層は褐色となった。祭祀の度毎にごちそうの獣肉を含む飲食がおこなわれたので、祭祀の場(祭壇空間)の周りには骨・歯の密集域が形成された。イノシシ顎骨等出土域とそれを囲む骨・歯密集域をセットで祭場空間として捉える。」


2022年12月24日土曜日

装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨の相互噛み合い的分布

 有吉北貝塚北斜面貝層の装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨のグリッド分布が相互噛み合い的に観察できますので、メモしました。

Interlocking distribution of ornaments (shellfish products) and wild boar jawbones

The grid distribution of ornaments (shellfish products) and wild boar jawbones in the north slope shell layer of Ariyoshi Kita Shell Mound can be observed interlockingly, so I will make a note of it.

1 装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨の分布


有吉北貝塚北斜面貝層装飾品(貝製品)分布


参考 イモガイ製腰飾


有吉北貝塚北斜面貝層イノシシ顎骨分布

2 装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨の相互噛み合い的分布


装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨のグリッド分布が相互噛み合い的に見える様子

装飾品(貝製品)の出土数が多いグリッドはイノシシ顎骨が少なく、反対にイノシシ顎骨が多いグリッドは装飾品(貝製品)が少なく観察できます。相互噛み合い的に観察できます。

この様子が単なる偶然であるのか、それともイノシシ顎骨や装飾品(貝製品)が投棄された(持ち込まれた)頃の活動状況の反映であるのか、今後詳しく検討することにします。

イノシシ顎骨はイナウに飾られたイノシシ頭骨であると推察していますので、装飾品(貝製品)とイノシシ顎骨の相互噛み合い的分布は祭壇付近で行われる祭祀的活動の反映かもしれません。

3 参考 アイヌ熊祭りのイナウ


アイヌ熊祭における熊頭の飾り

「アイヌ芸術 第二巻木工編」(金田一京助、杉山寿栄男 昭和17年)から引用


アイヌ熊祭のイナウ祭壇(部分)

「アイヌ芸術 第二巻木工編」(金田一京助、杉山寿栄男 昭和17年)から引用