縄文土器学習 71 器台の検討 2
加曽利貝塚博物館企画展に展示されていた2点の加曽利E式器台を主な対象として、器台にまつわる学習を行っています。
この記事では千葉市中野僧御堂遺跡出土加曽利EⅡ式器台を倒立させた3Dモデルを作成し、器台内部を覗いてみました。
器台の内側 加曽利EⅡ式器台3Dモデル 千葉市中野僧御堂遺跡出土
千葉県立房総の村の撮影・掲載許可及び千葉市立加曽利貝塚博物館の撮影協力による。
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.351 processing 36 images
この器台の内側には特段の模様や表象に該当する造作はないものと感じました。
以前展示土器を割れ目から強引に覗いて観察した模様は全て土器を整形した時の指の跡であるようです。
ただし、丸窓内側部分も面取りしてありますので丸窓は丁寧につくられたことが判ります。また縁(正立させたとき地面に接する部分)も通常土器の縁のように丁寧に作られています。
倒立器台の底(つまり正立器台上面の裏側天井部分)の質感が、割れた部分からわかる土器材質そのものと少しだけ異なります。底面は本来材質より少しだけ黒ずんでいて膜に覆われたような質感がありますので常時火焔を受けた跡であると想像しました。
2019年3月23日土曜日
2019年2月24日日曜日
加曽利EⅡ式器台内面予備観察
縄文土器学習 43 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 21
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅡ式器台の内面予備調査結果をメモします。
1 器台用途に関する作業仮説
展示土器の中に2点の器台があります。
加曽利EⅡ式器台
当初器台とは土器を乗せる台だとばかり思いこんでいたのですが、観察と検討を加え、またTwitterにおけるお話なども参考に、突然次のような作業仮説を持つに至りました。
2019.02.20記事「加曽利EⅣ式器台の観察 香炉の可能性」
2019.02.21記事「加曽利EⅡ式器台再観察及び器台と一般土器との関係考察」
●器台用途に関する作業仮説
器台=あぶり器(=少量液体を火で気化させる装置)
器台の上に載せるモノ=発生気体吸引具(=底部穿孔土器)
器台の基本機能は火を利用した少量液体気化装置であり、器台の上に補助的器具を置いて発生気体の効果的吸引を行ったという作業仮説です。
補助的器具とは底部を失った(底部に穴を開けた)深鉢土器を上に載せ、それに蓋をして気体を閉じ込め濃縮し、器台と補助器具の接合部に開けた小さな孔からその気体を吸引するというイメージです。
器台とその上の補助的器具、両者の接合部を一体化した装置のフィギュア(模型)がいわゆる「異形土器」として加曽利貝塚博物館にそのレプリカ2台が展示されているようなものであると想像します。
加曽利貝塚博物館展示「異形土器」(展示物はレプリカ)
注)参照
このような作業仮説を検証していく一つの重要観察として、器台内部の状況把握が必要になります。器台内部が被熱していることが確認できれば、器台用途あぶり器仮説の確からしさが俄然高まります。
器台内部の観察は加曽利貝塚博物館の許可を得て3月上旬に実施することになりましたが、この記事ではその予備調査を行いましたのでメモします。
2 加曽利EⅡ式器台の内面写真撮影
器台上面の割れた部分から内面にピントを合わせた写真撮影に成功しました。
加曽利EⅡ式器台の内面写真
加曽利EⅡ式器台の内面写真 別フィルター
3 内面写真の分析
加曽利EⅡ式器台内面の分析
1 孔の内面側の面取の存在
6つ開いている孔と外面の接触部分には面取りが存在しますが、同じ面取りが孔と内面の接触部分に存在します。→内面も丁寧なつくりとなっています。決してぞんざいに扱っていません。
2 縄文はない
明瞭な縄文は存在しません。→観察できる範囲に明瞭な模様はないようです。
3 スス存在の可能性
・赤味がかった色が斜め方向に細長く分布します。土器作成の時指でこすって平滑になった部分ではないかと想像します。それ以外の黒っぽい部分はススではないかと想像します。指でこすって平滑になった部分のススは土器出土水洗いの際に失われ、それ以外の平滑ではない部分では微細な溝にススが残ったのではないかと想像します。→加熱によるススが残っている可能性があります。
4 灰あるいは破砕貝(漆喰)存在の可能性
・小白点集合模様が存在します。小白点は次の2つの可能性が考えられます。1灰あるいは破砕貝(漆喰)が土器表面の微細溝に挟まったもの。2出土土器を組み立てる時の接着剤等調整剤の残留物。
もし灰あるいは破砕貝(漆喰)が残留しているとすれば、器台の使い方のイメージがより明瞭になります。
5 原面剥離部の存在
器台原面(A)が剥離した部分(B)とそこからさらに剥離して新鮮な断面が観察できる部分(C)が存在します。Bの部分にはススが残っているように見え、剥離後も器台が加熱して使われたことを示しているように見えます。→剥離部が内面上部に存在することは、被熱した証拠の1つになると考えます。
4 本調査
加曽利EⅡ式器台予備調査の結果を踏まえて、加曽利EⅡ式器台と加曽利EⅣ式器台の内面調査を3月上旬に実施しその観察メモを後日記事にします。
内面調査を行うことにより器台用途に関する作業仮説の蓋然性を評価することができます。
……………………………………………………………………
注 空想に空想を重ねれば加曽利貝塚博物館展示大小2点セット「異形土器」はあくまでもフィギュア(模型)土器であり、液体気化機能という実際機能を持たない祭具であったと考えます。
器台と底部穿孔土器とそれを繋ぐ藁等の植物により、液体気化・吸引・覚醒作用体験という実際活動があったと考えます。その実際活動をイメージして覚醒作用体験を呼び出すための祭具として「異形土器」2点セットが作られ、祭形式のなかで一つの式を執り行うための道具として使われたと想像します。
「異形土器」は覚醒作用疑似体験のアイコンであったということになります。
……………………………………………………………………
追記 2019.02.25
・底部穿孔土器の例として加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器No.9をあげることができます。発掘調査報告書に底部欠損に関する記述があります。
2019.02.18記事「加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器の観察」参照
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追記 2019.02.26
・空想につぐ空想ですが、加曽利貝塚出土異形土器は2点セットでその大きさが大小となっています。夫婦のような印象を受けます。他の遺跡でも2点セットで出土していて、形状が微妙に異なります。(鶴川遺跡群J地点)
・「異形土器」が覚醒作用疑似体験のアイコン(イコン)であるとすれば、大きい方の「異形土器」は死んだ父や祖父と話す時の道具、小さいほうは死んだ母や祖母と話す時の道具かもしれません。
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅡ式器台の内面予備調査結果をメモします。
1 器台用途に関する作業仮説
展示土器の中に2点の器台があります。
加曽利EⅡ式器台
当初器台とは土器を乗せる台だとばかり思いこんでいたのですが、観察と検討を加え、またTwitterにおけるお話なども参考に、突然次のような作業仮説を持つに至りました。
2019.02.20記事「加曽利EⅣ式器台の観察 香炉の可能性」
2019.02.21記事「加曽利EⅡ式器台再観察及び器台と一般土器との関係考察」
●器台用途に関する作業仮説
器台=あぶり器(=少量液体を火で気化させる装置)
器台の上に載せるモノ=発生気体吸引具(=底部穿孔土器)
器台の基本機能は火を利用した少量液体気化装置であり、器台の上に補助的器具を置いて発生気体の効果的吸引を行ったという作業仮説です。
補助的器具とは底部を失った(底部に穴を開けた)深鉢土器を上に載せ、それに蓋をして気体を閉じ込め濃縮し、器台と補助器具の接合部に開けた小さな孔からその気体を吸引するというイメージです。
器台とその上の補助的器具、両者の接合部を一体化した装置のフィギュア(模型)がいわゆる「異形土器」として加曽利貝塚博物館にそのレプリカ2台が展示されているようなものであると想像します。
加曽利貝塚博物館展示「異形土器」(展示物はレプリカ)
注)参照
このような作業仮説を検証していく一つの重要観察として、器台内部の状況把握が必要になります。器台内部が被熱していることが確認できれば、器台用途あぶり器仮説の確からしさが俄然高まります。
器台内部の観察は加曽利貝塚博物館の許可を得て3月上旬に実施することになりましたが、この記事ではその予備調査を行いましたのでメモします。
2 加曽利EⅡ式器台の内面写真撮影
器台上面の割れた部分から内面にピントを合わせた写真撮影に成功しました。
加曽利EⅡ式器台の内面写真
加曽利EⅡ式器台の内面写真 別フィルター
3 内面写真の分析
加曽利EⅡ式器台内面の分析
1 孔の内面側の面取の存在
6つ開いている孔と外面の接触部分には面取りが存在しますが、同じ面取りが孔と内面の接触部分に存在します。→内面も丁寧なつくりとなっています。決してぞんざいに扱っていません。
2 縄文はない
明瞭な縄文は存在しません。→観察できる範囲に明瞭な模様はないようです。
3 スス存在の可能性
・赤味がかった色が斜め方向に細長く分布します。土器作成の時指でこすって平滑になった部分ではないかと想像します。それ以外の黒っぽい部分はススではないかと想像します。指でこすって平滑になった部分のススは土器出土水洗いの際に失われ、それ以外の平滑ではない部分では微細な溝にススが残ったのではないかと想像します。→加熱によるススが残っている可能性があります。
4 灰あるいは破砕貝(漆喰)存在の可能性
・小白点集合模様が存在します。小白点は次の2つの可能性が考えられます。1灰あるいは破砕貝(漆喰)が土器表面の微細溝に挟まったもの。2出土土器を組み立てる時の接着剤等調整剤の残留物。
もし灰あるいは破砕貝(漆喰)が残留しているとすれば、器台の使い方のイメージがより明瞭になります。
5 原面剥離部の存在
器台原面(A)が剥離した部分(B)とそこからさらに剥離して新鮮な断面が観察できる部分(C)が存在します。Bの部分にはススが残っているように見え、剥離後も器台が加熱して使われたことを示しているように見えます。→剥離部が内面上部に存在することは、被熱した証拠の1つになると考えます。
4 本調査
加曽利EⅡ式器台予備調査の結果を踏まえて、加曽利EⅡ式器台と加曽利EⅣ式器台の内面調査を3月上旬に実施しその観察メモを後日記事にします。
内面調査を行うことにより器台用途に関する作業仮説の蓋然性を評価することができます。
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注 空想に空想を重ねれば加曽利貝塚博物館展示大小2点セット「異形土器」はあくまでもフィギュア(模型)土器であり、液体気化機能という実際機能を持たない祭具であったと考えます。
器台と底部穿孔土器とそれを繋ぐ藁等の植物により、液体気化・吸引・覚醒作用体験という実際活動があったと考えます。その実際活動をイメージして覚醒作用体験を呼び出すための祭具として「異形土器」2点セットが作られ、祭形式のなかで一つの式を執り行うための道具として使われたと想像します。
「異形土器」は覚醒作用疑似体験のアイコンであったということになります。
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追記 2019.02.25
・底部穿孔土器の例として加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器No.9をあげることができます。発掘調査報告書に底部欠損に関する記述があります。
2019.02.18記事「加曽利EⅡ式連結渦巻文対向土器の観察」参照
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追記 2019.02.26
・空想につぐ空想ですが、加曽利貝塚出土異形土器は2点セットでその大きさが大小となっています。夫婦のような印象を受けます。他の遺跡でも2点セットで出土していて、形状が微妙に異なります。(鶴川遺跡群J地点)
・「異形土器」が覚醒作用疑似体験のアイコン(イコン)であるとすれば、大きい方の「異形土器」は死んだ父や祖父と話す時の道具、小さいほうは死んだ母や祖母と話す時の道具かもしれません。
2019年2月21日木曜日
加曽利EⅡ式器台再観察及び器台と一般土器との関係考察
縄文土器学習 37 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 15
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅡ式器台の再観察を行うとともに、器台と一般土器との関係を考察します。
1 加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅡ式器台の再観察を行うとともに、器台と一般土器との関係を考察します。
1 加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
暗くて詳細な観察は不可能ですが、器台内部は器台外面とは違った様相を呈していることは確実です。
縄文が施文され、火焔を受けた可能性が浮かび上がります。
器台を裏返して内部を観察することが必須です。
2 加曽利EⅡ式器台の発掘調査報告記載
以下は加曽利EⅡ式器台に関する「千葉市中野僧御堂遺跡-千葉東金道路建設に伴う埋蔵文化財調査報告1-(千葉市中野地区)」(1976、財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書と略称)の全記述です。
「ネ80グリットをグリット発掘すると、器台形土器がほぼ完形で単独出土した(第144図,図版44-2)。土層状態をみると、上層より、耕作土が10cm、表土層が30cm、黒色土層が40cm、以下硬質暗褐色土層となって堆積している。土器は、第Ⅳ層の硬質暗褐色土中に安定した状態で出土した。付近は何ら遺構の痕跡はなかった。」
遺物出土状況
発掘調査報告書から引用
遺物挿図
発掘調査報告書から引用
遺物出土状況写真
発掘調査報告書から引用
遺物写真
発掘調査報告書から引用
3 器台と一般土器との関係に関する考察
器台と一般土器との関係を次のように推測しました。
一般土器と器台の内面・外面対応関係の想定
器台の側面と内部は一般土器の内面と外面に対応する、つまり逆転していると考えます。その逆転の意味は一般土器が土器外面で火を受け、土器内面に液体をいれるのですが、器台は土器内部で火を受けるためです。
器台が土器内外面を逆転して、内部で火を受ける仕組みにしたのは、器台を使って行われる祭祀(おそらく覚醒作用を利用した祭祀)の特性、つまり精神世界を現実世界に呼び出してしまうという特性(逆転的特性)と密接に結びついていると想像します。
器台が香炉であるという作業仮説の検討を材料を集めながら深めていくことにします。
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2019.02.23追記
当初、器台の上に祭祀等で使う特別な土器(調理用土器)を置いていたと空想していました。器台を一種の神棚のように捉えていました。
しかし、器台が少量液体蒸発装置であると気が付くと、祭祀用とは限定しても調理用土器をそこに載せることは平仄が全く合いません。同時に料理の入った土器を器台に載せることは器台の強度からしてあり得ないのではないだろうかという疑問も生まれます。
器台の上に置いたモノがあるとすれば、それは液体から蒸発した気体を効果的に吸引するための道具ではないだろかという思考が生れます。
器台=あぶり器、器台の上に置いたモノ=吸引具ということになります。吸引具の具体的形状は異形土器としてその利用方法が判らないもののなかにあると考えます。
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2019.02.23追記
当初、器台の上に祭祀等で使う特別な土器(調理用土器)を置いていたと空想していました。器台を一種の神棚のように捉えていました。
しかし、器台が少量液体蒸発装置であると気が付くと、祭祀用とは限定しても調理用土器をそこに載せることは平仄が全く合いません。同時に料理の入った土器を器台に載せることは器台の強度からしてあり得ないのではないだろうかという疑問も生まれます。
器台の上に置いたモノがあるとすれば、それは液体から蒸発した気体を効果的に吸引するための道具ではないだろかという思考が生れます。
器台=あぶり器、器台の上に置いたモノ=吸引具ということになります。吸引具の具体的形状は異形土器としてその利用方法が判らないもののなかにあると考えます。
2019年2月19日火曜日
加曽利EⅡ式区画文土器等の観察
縄文土器学習 34 加曽利貝塚博物館企画展展示土器の観察 12
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事ではNo.10土器、No.11土器、No.12器台を観察します。
1 加曽利EⅡ式区画文土器 No.10
加曽利EⅡ式区画文土器 No.10
上谷津第2遺跡出土
・口唇部に1本の沈線を巡らし、口縁部に沈線で区画する区画文を配置しています。区画文の下に胴部との境をなす沈線があるようです。胴部には沈線磨消帯が垂下します。
・区画文の縄文方向と胴部縄文方向が違います。
・渦巻文は観察できません。
加曽利EⅡ式区画文土器 No.10の沈線の様子
2 加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11
加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11
芳賀輪遺跡出土
・隆帯により区画文を形成して口縁部と胴部を分けています。区画文の隆帯が渦巻文に連続的に変化するので渦巻文が付属する区画文といえます。胴部には多数の沈線が垂下します。
・口縁部縄文模様と胴部縄文模様は90度の角度を成します。
加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11の隆帯(ピンク)と沈線(ブルー)の様子
3 加曽利EⅡ式器台 No.12
加曽利EⅡ式器台 No.12
中野僧御堂遺跡出土
・上面の輪状の擦れ跡、及び渦巻文の存在から土器置台であると想像します。祝祭などで利用する非日常用大型土器を安置するためであると空想しておきます。
加曽利EⅡ式器台 No.12の特徴
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展示会場の様子
加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事ではNo.10土器、No.11土器、No.12器台を観察します。
1 加曽利EⅡ式区画文土器 No.10
加曽利EⅡ式区画文土器 No.10
上谷津第2遺跡出土
・口唇部に1本の沈線を巡らし、口縁部に沈線で区画する区画文を配置しています。区画文の下に胴部との境をなす沈線があるようです。胴部には沈線磨消帯が垂下します。
・区画文の縄文方向と胴部縄文方向が違います。
・渦巻文は観察できません。
加曽利EⅡ式区画文土器 No.10の沈線の様子
2 加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11
加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11
芳賀輪遺跡出土
・隆帯により区画文を形成して口縁部と胴部を分けています。区画文の隆帯が渦巻文に連続的に変化するので渦巻文が付属する区画文といえます。胴部には多数の沈線が垂下します。
・口縁部縄文模様と胴部縄文模様は90度の角度を成します。
加曽利EⅡ式渦巻文付区画文土器 No.11の隆帯(ピンク)と沈線(ブルー)の様子
3 加曽利EⅡ式器台 No.12
加曽利EⅡ式器台 No.12
中野僧御堂遺跡出土
・上面の輪状の擦れ跡、及び渦巻文の存在から土器置台であると想像します。祝祭などで利用する非日常用大型土器を安置するためであると空想しておきます。
加曽利EⅡ式器台 No.12の特徴
……………………………………………………………………
展示会場の様子
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