加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」(3月3日まで開催)の展示土器38点の個別観察をメモしています。この記事では加曽利EⅡ式器台の再観察を行うとともに、器台と一般土器との関係を考察します。
1 加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
加曽利EⅡ式器台 No.12 再観察
割れ目から器台内部を覗くと縄文らしき模様とススらしき黒色部が観察できます。
暗くて詳細な観察は不可能ですが、器台内部は器台外面とは違った様相を呈していることは確実です。
縄文が施文され、火焔を受けた可能性が浮かび上がります。
器台を裏返して内部を観察することが必須です。
2 加曽利EⅡ式器台の発掘調査報告記載
以下は加曽利EⅡ式器台に関する「千葉市中野僧御堂遺跡-千葉東金道路建設に伴う埋蔵文化財調査報告1-(千葉市中野地区)」(1976、財団法人千葉県文化財センター)(以下発掘調査報告書と略称)の全記述です。
「ネ80グリットをグリット発掘すると、器台形土器がほぼ完形で単独出土した(第144図,図版44-2)。土層状態をみると、上層より、耕作土が10cm、表土層が30cm、黒色土層が40cm、以下硬質暗褐色土層となって堆積している。土器は、第Ⅳ層の硬質暗褐色土中に安定した状態で出土した。付近は何ら遺構の痕跡はなかった。」
遺物出土状況
発掘調査報告書から引用
遺物挿図
発掘調査報告書から引用
遺物出土状況写真
発掘調査報告書から引用
遺物写真
発掘調査報告書から引用
3 器台と一般土器との関係に関する考察
器台と一般土器との関係を次のように推測しました。
一般土器と器台の内面・外面対応関係の想定
器台の側面と内部は一般土器の内面と外面に対応する、つまり逆転していると考えます。その逆転の意味は一般土器が土器外面で火を受け、土器内面に液体をいれるのですが、器台は土器内部で火を受けるためです。
器台が土器内外面を逆転して、内部で火を受ける仕組みにしたのは、器台を使って行われる祭祀(おそらく覚醒作用を利用した祭祀)の特性、つまり精神世界を現実世界に呼び出してしまうという特性(逆転的特性)と密接に結びついていると想像します。
器台が香炉であるという作業仮説の検討を材料を集めながら深めていくことにします。
……………………………………………………………………
2019.02.23追記
当初、器台の上に祭祀等で使う特別な土器(調理用土器)を置いていたと空想していました。器台を一種の神棚のように捉えていました。
しかし、器台が少量液体蒸発装置であると気が付くと、祭祀用とは限定しても調理用土器をそこに載せることは平仄が全く合いません。同時に料理の入った土器を器台に載せることは器台の強度からしてあり得ないのではないだろうかという疑問も生まれます。
器台の上に置いたモノがあるとすれば、それは液体から蒸発した気体を効果的に吸引するための道具ではないだろかという思考が生れます。
器台=あぶり器、器台の上に置いたモノ=吸引具ということになります。吸引具の具体的形状は異形土器としてその利用方法が判らないもののなかにあると考えます。
……………………………………………………………………
2019.02.23追記
当初、器台の上に祭祀等で使う特別な土器(調理用土器)を置いていたと空想していました。器台を一種の神棚のように捉えていました。
しかし、器台が少量液体蒸発装置であると気が付くと、祭祀用とは限定しても調理用土器をそこに載せることは平仄が全く合いません。同時に料理の入った土器を器台に載せることは器台の強度からしてあり得ないのではないだろうかという疑問も生まれます。
器台の上に置いたモノがあるとすれば、それは液体から蒸発した気体を効果的に吸引するための道具ではないだろかという思考が生れます。
器台=あぶり器、器台の上に置いたモノ=吸引具ということになります。吸引具の具体的形状は異形土器としてその利用方法が判らないもののなかにあると考えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿