貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 7 遺構遺物検索例(人骨)
千葉県遺跡DBにおける貝塚755件の遺構遺物欄記載を「人骨」で検索してみました。DB遺構遺物欄活用例として検索したものです。
1 人骨出土貝塚
人骨出土貝塚は36件で貝塚全体(755件)の約5%となります。
地形別にみると台地に立地する貝塚がほとんどですが、低地の貝塚から人骨が出土している例もあります。
千葉県 人骨出土貝塚
千葉県人骨出土貝塚 地形立地分類
・低地2件は茂原市の渋谷貝塚と下太田貝塚で、下太田貝塚は時代「縄文(中・後・晩)」で遺構遺物概要が「貝層、獣骨層、土器包含層・縄文土器、石器、土偶、骨製品、人骨200体以上、赤色顔料粒子、植物種子、植物遺体」となっていて人骨200体以上という特段に注目すべきものとなっています。低地立地貝塚で人骨出土した例は特別な考察が必要な事例のようです。
・台地貝塚から人骨が出土している事象は貝塚が集落における埋葬場所であったことを示していると考えます。
2 人骨出土貝塚の分布特性
下に千葉県 貝塚地形立地分類を示します
千葉県貝塚 地形立地分類
この図と1に示した千葉県人骨出土貝塚地形立地分類をくらべると、貝塚が密に分布するところと人骨出土貝塚が密に分布するところがほぼ一致します。
その分布一致の様子はヒートマップ(カーネル密度推定)を対照すると一目瞭然です。
千葉県人骨出土貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)
千葉県貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)
3 考察
・貝塚が密に分布する場所に人骨出土貝塚が密に分布するのですから、一般論としては貝塚が埋葬の場に使われるという文化が分布図に表現されていると言えそうです。
しかし、人骨出土貝塚の分布は貝塚全体の分布と比べてかなり極限されています。この様子から、貝塚に人骨を埋葬するという風習が限定された時期のものであるなど、限定条件が存在しているように想像します。
・貝塚から人骨が出土して、それが発掘調査報告書等に記載されている遺跡の総数のうち、DB検索(「人骨」)でヒットする貝塚(36件)の割合がどの程度のものであるか、まだ情報を持っていません。
・人骨出土貝塚の中に大膳野南貝塚が含まれていません。これはDB出典(ふさの国文化財ナビゲーション)における内容面更新に限界があることを示しています。遺跡データベースの内容を発掘報告書発行に従って順次更新するという本来のデータベース管理作業はおそらく不可能に近いことであると理解します。
2018年11月28日水曜日
2018年11月14日水曜日
貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 貝塚のプロット
貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 1 貝塚のプロット
千葉県遺跡DB作成作業がだんだんと形になってきています。作業の合間にDBのデータをいじってみてどのように使えるか予備的な検討をしたいと考えています。
遺跡種別に「貝塚」と記載されているレコードが755ありますので、それを抜き出して、DBの利用方法についてシリーズで検討します。(貝塚そのものの検討は改めて行います。)
この記事ではデータのプロットの確認をします。
1 千葉県貝塚のプロット
千葉県貝塚の分布
遺跡種別「貝塚」レコード755件のうち位置情報がないもの(公開されていないもの)が7件ありますから、実際は748遺跡のプロットとなります。
自分の記憶では千葉県貝塚全部のプロット図を見た覚えはありません。時代別貝塚分布図は「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」の貝塚の項に8枚にわたって掲載されていますが、総集編地図はありません。自分にとってこの図ははじめて見る図として意義があります。同時に内容面(分布面)で太平洋岸の分布で新たに気になることが生れました。九十九里の海浜部に貝塚があることをはじめて知りました。その時代について興味がわきます。鴨川方面太平洋岸にも貝塚が散見され興味を引きます。
このプロット図を拡大縮小しながら千葉県全体を見回すと、最も貝塚密度が高いのは市川付近であると感じられました。
千葉県貝塚の分布 市川付近
市川付近を含む画面で遺跡名を表示させてみました。遺跡名とその位置が正確であることを確認できました。
2 属性テーブルの表示
今回は現在までに作業した千葉県遺跡DBの全項目をQGISにとりこみました。
QGIS属性テーブルの表示
確かにQGISに千葉県遺跡DB項目が取り込まれていることが確認できます。
QGISラベル機能を利用してこれらの項目を遺跡名と同じように分布図上に表示することができます。
千葉県遺跡DB作成作業がだんだんと形になってきています。作業の合間にDBのデータをいじってみてどのように使えるか予備的な検討をしたいと考えています。
遺跡種別に「貝塚」と記載されているレコードが755ありますので、それを抜き出して、DBの利用方法についてシリーズで検討します。(貝塚そのものの検討は改めて行います。)
この記事ではデータのプロットの確認をします。
1 千葉県貝塚のプロット
千葉県貝塚の分布
遺跡種別「貝塚」レコード755件のうち位置情報がないもの(公開されていないもの)が7件ありますから、実際は748遺跡のプロットとなります。
自分の記憶では千葉県貝塚全部のプロット図を見た覚えはありません。時代別貝塚分布図は「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」の貝塚の項に8枚にわたって掲載されていますが、総集編地図はありません。自分にとってこの図ははじめて見る図として意義があります。同時に内容面(分布面)で太平洋岸の分布で新たに気になることが生れました。九十九里の海浜部に貝塚があることをはじめて知りました。その時代について興味がわきます。鴨川方面太平洋岸にも貝塚が散見され興味を引きます。
このプロット図を拡大縮小しながら千葉県全体を見回すと、最も貝塚密度が高いのは市川付近であると感じられました。
千葉県貝塚の分布 市川付近
市川付近を含む画面で遺跡名を表示させてみました。遺跡名とその位置が正確であることを確認できました。
2 属性テーブルの表示
今回は現在までに作業した千葉県遺跡DBの全項目をQGISにとりこみました。
QGIS属性テーブルの表示
確かにQGISに千葉県遺跡DB項目が取り込まれていることが確認できます。
QGISラベル機能を利用してこれらの項目を遺跡名と同じように分布図上に表示することができます。
2018年10月30日火曜日
遺跡DB感想 丸木舟
千葉県遺跡DB(中間試作品)は20130レコードが収録されていますが、このデータを対象に一例として丸木舟(船)の検索をしてみました。刳舟(船)、独木舟(船)などのキーワードも含めています。
結果は64レコード(64遺跡)が抽出されました。
丸木舟の抽出結果(一部)
64レコードのうち位置情報が判っている61レコードをQGISにプロットすると次のようになります。
丸木舟抽出結果のQGISプロット(一部)
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)には「丸木舟」という項目があり、そこでは丸木舟出土遺跡122とその概略プロット図が掲載されています。
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)掲載「丸木舟の出土地」
(残念ですが大賀ハスで有名な落合遺跡の位置は「少しずれている」域を通り越して「間違って」います。)
この二つの情報(遺跡DBの丸木舟情報と丸木舟研究成果)をくらべると研究成果における丸木舟出土遺跡が遺跡DBで直接丸木舟検索で約半分が抽出できることが判ります。
また研究成果で丸木舟出土が確認された遺跡のほとんどを遺跡DBで確認することができます。
このことから丸木舟研究成果の学習(千葉県の歴史資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」の学習)において遺跡DBを活用すれば正確なプロットが可能となり、丸木舟出土遺跡付近の状況や近隣遺跡の情報を知ることが容易になり、学習を深めるツールに活用できることが直観できます。
丸木舟の学習をする場合、「千葉県の歴史」つまり最新研究成果を受け身で知るだけでなく、遺跡DBでその様子をプロットして丸木舟出土遺跡の状況を能動的に理解することが可能となります。
GIS連動千葉県遺跡DBに対する学習活用の期待が高まります。千葉県遺跡DBを中間試作品から概成製品に格上げできるように作業を進めます。
結果は64レコード(64遺跡)が抽出されました。
丸木舟の抽出結果(一部)
64レコードのうち位置情報が判っている61レコードをQGISにプロットすると次のようになります。
丸木舟抽出結果のQGISプロット(一部)
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)には「丸木舟」という項目があり、そこでは丸木舟出土遺跡122とその概略プロット図が掲載されています。
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)掲載「丸木舟の出土地」
(残念ですが大賀ハスで有名な落合遺跡の位置は「少しずれている」域を通り越して「間違って」います。)
この二つの情報(遺跡DBの丸木舟情報と丸木舟研究成果)をくらべると研究成果における丸木舟出土遺跡が遺跡DBで直接丸木舟検索で約半分が抽出できることが判ります。
また研究成果で丸木舟出土が確認された遺跡のほとんどを遺跡DBで確認することができます。
このことから丸木舟研究成果の学習(千葉県の歴史資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」の学習)において遺跡DBを活用すれば正確なプロットが可能となり、丸木舟出土遺跡付近の状況や近隣遺跡の情報を知ることが容易になり、学習を深めるツールに活用できることが直観できます。
丸木舟の学習をする場合、「千葉県の歴史」つまり最新研究成果を受け身で知るだけでなく、遺跡DBでその様子をプロットして丸木舟出土遺跡の状況を能動的に理解することが可能となります。
GIS連動千葉県遺跡DBに対する学習活用の期待が高まります。千葉県遺跡DBを中間試作品から概成製品に格上げできるように作業を進めます。
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