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2018年10月27日土曜日

遺跡DB感想 縄文・木製品

約2万件の千葉県遺跡DB調整作業のうち主に首から下の肉体を使う単純整形力仕事のメドがつき、遺構概要等コンテンツの主部が姿を現してきました。残るは首から上の思考を伴うファイル操作になりました。めざす暫定完成にはまだ時間がかかりますが仮製品を利用してその使い勝手を試してみました。

印西市西根遺跡で出土した縄文後期木製品がイナウ似であり、縄文時代木製祭具であるという仮説を設ける学習を最近しました。
縄文後期イナウ似木製品の意匠と解釈~印西市西根遺跡出土品の実見・分析・考察~」参照

同様のイナウ似木製品が千葉県から出土していないかどうか以前から気になっていたところです。「杭」などと鑑定され検討対象になっていない遺物があるかもしれません。
そこで仮DBで「縄文」「木製品」をキーワードに検索してみました。

仮DBにおける「縄文」「木製品」をキーワードとする検索結果 Excelエクスポート(部分)
21遺跡が抽出され、縄文時代木製品が出土したと考えられる遺跡が多く含まれます。丸木弓、丸木舟など具体的製品名が表示されているものもありますが、単に木製品とかかれたものもあります。
これらの遺跡について文献をたどればもしかしたらイナウ似木製品にたどりつくことができるかもしれません。イナウ再発見になるかもしれません。
イナウ似木製品にたどりつけなくても、千葉県縄文時代木製品カタログの出発資料をつくることができます。

GIS連動千葉県遺跡DBが利用できるようになることの意義の大きさを体感しました。

2018年10月21日日曜日

遺跡DB感想 文献のない遺跡の重要さ

約2万件の千葉県遺跡のうち「文献のない遺跡」が13765件(暫定)で全体の68.8%となります。「文献のない遺跡」のうち備考欄に調査実施が記述されているものが683件(暫定)あり、「文献のない遺跡」全体の約5%を占めます。当該遺跡を対象とした正式調査が行われた遺跡のほとんどは文献として記録されているようです。
「文献のない遺跡」の95%はこれまで正式な発掘調査は行われていないけれども自治体文化財行政担当官現場を足であるいて調べてきた貴重な遺跡であると言えます。
「文献のない遺跡」といえどもDB遺構・遺物概要には詳細な記載があるものが多く、長年にわたる貴重な情報集積結果が表現されていると言えます。
遺跡DBの使い勝手を改善することによって、貴重な「文献のない遺跡」情報の有効活用がはじめて可能になります。
詳しく調査され詳細な発掘調査報告書が発行されている遺跡を核として活用し、その知識を面的に敷衍する因子として「文献のない遺跡」を学習利用したいと思います。

風景

2018年10月15日月曜日

遺跡DB感想 既存集落と古代遺跡の重複関係

水田耕作が行われるようになった弥生時代以降の集落は低地の微高地に立地したものが多かったと考えます。
一方高度成長期以前の下総地方の地形図をみると低地の微高地例えば谷津低地の台地急崖下の微高地には集落が沢山ある景観となっています。
弥生時代や古墳時代や奈良平安時代の水田耕作集落の好立地場所、つまり低地の微高地は近世近代の水田耕作集落の好立地場所とあまり変わらないと想定すると、現代(高度成長期以前)の低地集落は古代集落の場所と重なる場合が多いと考えられます。

遺跡DBの情報で、現代(高度成長期以前)集落の場所で遺構・遺物を発見・発掘した遺跡があるかどうか興味が湧きます。
面的大規模開発等で低地既存集落が発掘調査対象地域に含まれたものがあるかどうか、もしあれば遺構・遺物が出土したのかどうか調べたい(知りたい)と思います。

このような興味の背景に、弥生時代遺跡の数量が時代の短さを考慮しても少なすぎて、多くの弥生時代集落の上に現代集落(高度成長期以前)が重複立地しているからではないかという疑問があるからです。

遺跡DBを使って、集落(住居)遺跡数の時代(時期)別統計を地域別に作成し比較すれば社会の変動に関する情報を得ることができると思いますので、いつか検討してみることにします。

花見川風景


2018年10月13日土曜日

遺跡DB感想 土器形式

遺跡DB(千葉県遺跡DB)の遺構・遺物欄に出土土器形式が掲載されているものが多数あります。
例えばたまたま見ている例(墨総合公園内遺跡)では次の縄文土器形式が掲載されています。

縄文土器[加曽利<B1B2B3EⅢ>,安行<Ⅰ,Ⅱ,Ⅲa,Ⅲb>,阿玉台<Ⅱ,Ⅲ>,称名寺,諸磯,興津,茅山<上層>,浮島<Ⅱ>,五領ケ台,田戸,稲荷台,荒海,花積下層]

このような遺跡別出土土器形式情報を千葉県遺跡全体(遺跡総数約2万)で通覧することは事実上データベースだけでしかできないと考えられます。
データベースが完成したあかつきには土器形式別に出土遺跡を検索してGISにプロットすることはいわば瞬間的にできるようになります。従って、その情報をつかって土器形式の分布変化、つまり縄文遺跡の時期別分布変化について学習したいと今から楽しみにしています。しかし、おそらくいろいろな課題(問題)が生れて単純なかたちで土器形式分布変遷が捉えられないかもしれませんが、そのプロセス自体がチャレンジしがいのある学習になりそうです。この学習のなかで土器形式そのものに関する基礎知識も得たいと思います。

ちなみに上記例の遺跡は文献欄は空白ですからこのデータベースを利用しない限りこの情報を利用することはできません。同じような、文献はないけれども調査がされた遺跡が多数あります。
なお、文献が掲載されている遺跡について、おそらく1万前後あるのではないかと想定しますが(近々正確な数字が判明します)、その文献を閲覧確認することは数量的に事実上不可能であると考えますからデータベースの意義は大変大きいものとなります。

花見川風景

2018年10月11日木曜日

遺跡DB感想 根

1 はじめに
現在、縄文学習を中断して遺跡DB作業に集中しています。(2018.10.09記事「学習インフラ工事中」参照)
その作業では首から下の手作業がメインであり、首から上はほとんど機能していませんから勝手な思考・感情等の感想が生まれては消え、生まれては消えています。そのような感想の多くはあまり意味がないと思っていますが、そうした中で、「面白い」「新しい興味の種になりそうだ」「以前の興味とつながる」などとして残ってしまいメモをとっておきたくなるものもあります。
そのようなメモを取っておきたくなるような感想を「生」で書いてブログ記事の埋め草にすることにします。
メモをとっておきたくなる項目をデータベースで調べ出したり、GISで分布図を作成したり、WEBで検索したり、自分の過去記事等を読み直したり等々すれば、おそらく自分レベルでは立派な「興味定着」記事を書くことができるとは思います。しかし、それをし出すとそれに時間をとられてしまい、遺跡DB作業の時間が少なくなるという本末転倒現象になってしまいます。そのためここでは我慢してあくまでも時間をほとんど要することのない「生」感想を書くことにし、後日じっくりと再検討することにします。

2 根
遺跡DB(千葉県遺跡DB)の遺跡名に「根」の文字が含まれているものがあり、気になります。
遺跡名は小字名を採ったものが多いので、「根」が含まれている小字にその遺跡があることになります。
同じ「根」でも赤羽根遺跡とかは「根」に意味はないと思います。
しかし西根遺跡、根神社遺跡、宮根遺跡などの「根」はもしかしたら遺跡の存在が「根」地名を産みだし、その地名が遺跡名になった可能性があります。
「根」とは地下を意味する言葉です。「根の国」という記紀神話に出てくる言葉もあります。
地面から土器が露出している場所や耕作すると土器や遺物・人骨が出てくる場所は死者や祖霊のこもる場所として扱われ「根」という場所として扱われ、「根」が地名になった可能性があります。
つまり、遺跡の存在が「根」地名を生んだ場所があるのではないだろうかと考えます。
印西市西根遺跡は調べたところ、多量土器が半ば露出する低地部分だけが小字「西根」になっていて、近世まで聖地として存在していたようです。
祈りの空間 戸神川谷津の隠された秘密にせまる-西根遺跡縄文~近世の自分流学習-」参照

「根」がつくから全部遺跡と関係する地名(遺跡名)ということはありませんが、「根」のつく地名(遺跡名)の中に遺跡存在がその地名(遺跡名)起源にかかわるものがあるという仮説になります。
いつか詳しく調べてみることにします。

花見川風景