2012年6月25日月曜日

河道逆行争奪の証拠4 断層地形(小崖1)を花見川が切っている

1 地殻変動と営力無風地帯の成立
下総上位面が離水陸化して印旛沼水系の必従谷がこの付近にできた後、東京湾中心が沈下し東京湾縁辺部が隆起する地殻変動がありました。
花見川河川争奪が生じた付近は丁度この隆起地殻変動があった場所です。隆起地殻変動でできた断層地形の一つが小崖1です。(2012.3.31記事「小崖から花見川流域地形を見る」参照)

小崖1より南は北側と比べて相対的に沈下しました。その結果下総上位面を刻んでいた谷津は流水が北側に流れなくなりました。(宇那谷川では湖沼-長沼-が生まれました。) (2012.2.1記事「横戸2谷津、横戸3谷津の縦断形」など参照)

小崖1より南側では印旛沼水系の谷津が発達する活力が失われてしまい、谷津は化石化していきました。つまり小崖1より南側では化石化した谷津地形はあるが、そこでは流水は流れないため浸食作用が生じない地域、つまり浸食地形形成営力という点で無風地帯が生まれました。

2 河道逆行争奪現象ゾーン
この浸食地形形成営力上の無風地帯に東京湾水系の谷頭浸食が及ぶようになると、東京湾水系は浸食しやすい場所、つまり化石化した谷津(=台地の凹地)を選択的に浸食するようになったと考えられます。


河道逆行争奪現象ゾーン 3D表現1


河道逆行争奪現象ゾーン 3D表現2

図でA~Eと花見川が、東京湾水系が化石化した印旛沼水系の谷津を選択的に谷頭浸食している場所です。

花見川は小崖1を切って谷頭浸食を北に向かって進めいますが、Aも同様に小崖1を切っています。
B、D、Eは小崖1をもう少しで切るところまで浸食を進めています。

このように、東京湾水系が、下総上位面形成後の地殻変動の後で、印旛沼水系の谷津をその上流から下流に向かって谷頭浸食していく現象(つまり河道逆行争奪という現象)があり、それは小崖1を切って北に進んでいる現象であるということを認識できます。

つまり小崖1を切って河道逆行争奪が進行するという現象は花見川だけの固有現象ではなく、この付近一帯では一般的な現象であることが判ります。

A、B、C、D、Eの事例は花見川河道逆行争奪の証明材料となります。

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