花見川流域の小崖地形 その19
●このブログで使う用語について
このブログでは花島小崖、柏井小崖、犢橋小崖という地形の固有名詞を使っていますが、花島小崖が断層地形であることが判明していることから(2013.04.19記事「花島小崖の模式地における地形と地質の関係」参照)、花島小崖、柏井小崖、犢橋小崖に対応する断層を花島断層、柏井断層、犢橋断層と表現することとします。
●この記事で検討する箇所
これまで、花島小崖のC検討区の検討をしてきましたが、この記事ではC検討区とD検討区の間に位置する花見川の谷津と花島小崖(花島断層)との関係を検討します。
参考 小崖地形検討箇所
1 花島小崖(花島断層)と花見川谷津地形との関係
写真測量地図で最も古い千葉市都市図(1960年測量)に小崖地形を記入してその関係を見てみました。
千葉市都市図と小崖地形
千葉市都市図(1960年測量、千葉市立郷土博物館提供)
東岸では小崖(断層)付近で台地がえぐれていますが、これが小崖(断層)に起因する差別侵蝕であるのか、一般的な流水の側方侵蝕であるのか判別はできません。
西岸は小崖(断層)の部分の台地が川側に出っ張っています。東京湾水系花見川が谷津の側方侵蝕をした時の蛇行によって、たまたまこの部分が出っ張ったものと考えます。小崖(断層)起因の出っ張りではないと思います。
また東岸の崖の下は東京湾水系花見川がつくった河岸段丘(立川面相当か?)になっていますが、現場を観察しても、また過去の資料をみて小崖の連続のような地形は見当たりません。
つまり、花見川谷津では、小崖(断層)起因の差別侵蝕はあるかもしれないが、それ以外の地形的段差や谷津地形のズレなどの影響は見られないということです。
次の図は同じ範囲を2012年撮影空中写真でみたものです。
2012年撮影の空中写真と小崖地形
空中写真は電子国土ポータルによる
写真でみても、上記と同じことが言えます。
この検討から、東京湾水系花見川がこの谷津を侵蝕した時代には、同時に花島小崖(花島断層)が動いたという情報は得られなかったということです。
これまでの検討では、花島小崖(花島断層)が他の東京湾水系谷津と交差する所では、小崖(断層)に食い込むような谷頭侵蝕が行われているところはありましたが、東京湾水系谷津を変動させるような地形は見つかりませんでした。
芦太川付近の花島小崖と谷津との関係
もしこれが一般的言えるならば、花島小崖(花島断層)は沖積世には動いていないということになります。
今後、花島小崖(花島断層)が東京湾水系谷津を切る地形が見つかれば、花島小崖(花島断層)は沖積世にも動いているということになります。注意深く観察していきたいと思います。
つづく
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