第3部 印旛沼筋河川争奪に遡る その4
印旛沼筋河川争奪の第3の証拠は下総下位面構成地層の異常です。
次の2つの図は杉原(1970)の地質柱状図を標高に合せて配置し直した柱状図とその位置図に検討結果を描きこんだものです。
1 印旛沼筋の現在の流向からみた場合の下総下位面構成地層の異常
現在の流向と同じ流向の流れで下総下位面構成層が堆積したと考えると、
1 竜ヶ崎砂層+常総粘土層+下末吉ローム層合計層厚がaでは5m程、bでは1m、2.5mで、上流のaが平野的堆積環境に、下流のbが山間的堆積環境になる異常を示します。
2 竜ケ崎層基底面高度が上流のaで低く、下流のbで下流ほど高くなる異常を示す。地形面高度も同じ異常を示します。
この異常から、現在の流向と同じ流向の流れで下総下位面構成層が堆積したと考えることは合理性に欠けると考えられます。
2 印旛沼筋現在流向の真逆流向から見た場合の下総下位面構成地層
印旛沼筋現在流向の真逆流向から見た場合の下総下位面構成地層
現在の流向と真逆流向の流れで下総下位面構成層が堆積したと考えると、
1 竜ヶ崎砂層+常総粘土層+下末吉ローム層合計層厚がaでは5m程、bでは1m、2.5mで、下流のaが平野的堆積環境に、上流のbが山間的堆積環境を示し、堆積環境と河川上下流の関係を整合的に捉えることができます。
2 竜ケ崎層基底面高度が下流のaで低く、上流のbで上流ほど高くなります。地形面高度も同じ傾向を示します。
このことから、現在の流向と真逆流向の流れで下総下位面構成層が堆積したと考えると地質情報を合理的に捉えられます。
以上の2つの検討から、地質情報から見ると、下総下位面構成層を堆積させた流れは現在の流向とは真逆な流向であると考えざるを得なくなります。
つまり、下総下位面構成層に関する異常は印旛沼筋河川争奪の証拠となります。
参考 現在の流向と真逆流向を思考している文献
次の古地理図では印旛沼筋を現在の流向と真逆に考えて描かれています。
印旛沼筋に北西方向の流れがあったとする古地理図
出典 菊地隆男(1980):古東京湾、アーバンクボタNO18(引用者書きこみ有り)
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