シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第4部 下総台地形成に遡る その6
下総台地の主要地形面である下総下位面はバリアー島や潮汐三角州などの海岸地形が原形であることを、これまでの学習で理解しました。
これらの海岸地形は海進時特有の地形であることも学習しました。(2014.06.28記事「下末吉海進期バリアー島の学習 その1」参照)
手持ち図書を見ていたら、バリアー島が海面の上昇する地域の海岸では絶えず陸側の向かって移動しつづけていることを示す研究例紹介を見つけましたので、紹介します。
海面上昇地域におけるバリアー島発達モデル
貝塚爽平編(1997):世界の地形、東京大学出版会 より引用
バリアー島発達モデル付近の地図
貝塚爽平編(1997):世界の地形、東京大学出版会 より引用
レホボス湾付近のGoogle earth画面
次のような説明が記述されています。
「海面が継続して徐々に上昇しているので、デラウェア海岸に発達する沿岸州島は海進堆積物の証拠を海底に残しながら陸方または上方へと移動していった。…図4に示すこの海岸中央のレホボス(Rehoboth)湾とその前面を縁どる沿岸州島の断面(図5)を見ると、沿岸州島をつくる砂の下部に2000-6000年前に堆積したラグーンないし湿地堆積物が見られ、海進に伴って沿岸州島が沖合から陸地側に向かって徐々に移動してきたことがわかる。したがって、3500年前には沖合11-12㎞に発達していた沿岸州島が現在は沖合8㎞に位置している。過去の変化や現在の海面上昇速度と沿岸州島の外洋側での後退速度などを考慮すると、沿岸州島は3000-5000年後には本土を縁どる砂堤となり、ラグーンはほぼ消滅してしまうと予想されている。このように、沿岸州島は現在の環境下でも決して安定したものではなく、徐々に海面の上昇する地域の海岸では沿岸州島はたえず陸側に向かって移動しつづけていることが判明している。(図5)」(貝塚爽平編(1997):世界の地形、東京大学出版会 より引用)
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