第4部 下総台地形成に遡る その19
2014.07.19記事「3つの小崖(断層)の東側延伸把握」で柏井小崖(柏井断層)、花島小崖(花島断層)、犢橋小崖(犢橋断層)の3つの小崖(断層)が宇那谷川筋(長沼池の筋)を超えて東側に連続していることを記述しました。
その把握の根拠となった情報は地形段彩図および旧版1万分の1地形図の等高線・湿地等の情報によるものです。
さて、3つの小崖(断層)のうち、柏井小崖(柏井断層)と犢橋小崖(犢橋断層)はレーキ状水系を伴う激しいものであることが詳細にわかりました。
その情報から、四街道付近の原始平行河川の復元を試みてみます。
対象範囲は宇那谷川(長沼池)から東で、旧版1万分の1地形図が整備されているところとしました。
1 現在の水系網
現在の水系網と小崖(断層)の位置を次に示します。
四街道付近の水系と3つの小崖(断層)
この図をみると、だれでも、地殻変動前、つまりレーキ状水系網ができる以前の、地形面が離水した直後にできた水系(平行原始河川)をなんとなく感覚的に想定できると思います。
その感覚を、レーキ発生ポイントを特定することによって、ある程度論理的データに置き直してみたいと思います。
2 レーキ状水系網の原理
2013.11.30記事「続 4つの真性レーキから判ること(訂正と各部名称)」等の記事で説明したとおり、北総台地では平行して流れる原始谷津を堰き止めるような地殻変動が繰り返し発生して、各所にレーキ状水系網が発達しています。
レーキ状水系網発達の原理と、各部名称を次に示します。
レーキ状水系網発達の原理
レーキの各部名称
この記事では、B軸とC線が交わったポイントをレーキ発生ポイントを呼ぶことにします。
レーキ発生ポイント
3 原始平行河川の復元
レーキ状水系網発達の原理に基づいて、2つの小崖(断層)によりつくられたレーキ状水系網を元の姿に復元しました。
2つの小崖(断層)がつくったレーキ状水系網は5つありました。
そして、復元しきれないレーキ状水系網が4つあり、それらは未知の小崖(断層)A、B、Cがあると仮定して、レーキ状水系網を元の姿に復元しました。
その結果が次の図です。
きれいな平行河川が復元できましたから、思考プロセスが間違っている可能性は低いと、密かに考えています。
また、未知の小崖(断層)A、B、Cを想定することによって、長沼東岸の「皺地形」と考えていたものの正体が明らかになったと考え、大きな副産物を得たと喜んでいます。
長沼筋に1、4、5、6のレーキ発生ポイントが密集して存在して、その結果、宇那谷川(長沼)の東側に平行して流れていた水系(谷津)は4箇所で寸断されています。その様子が「皺地形」として見えていたのです。
なお、次の各グループは同時代にできたレーキ状水系網であると考えます。
グループあ 1、2、3
グループい 4
グループう 5
グループえ 6、7
グループお 8、9
いまのところ特段の根拠は見つからないのですが、グループあ→い→う→え→おの順番に、つまり南から北に向かってレーキ状水系網発生の地殻変動が始まったのではないかと漠然と考えています。本当にそうであるか、地形を仔細に観察すればわかるかもしれないと考えています。
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