1 花見川-平戸川船越の特殊地形
花見川-平戸川船越(※)は花見川河川争奪と呼ぶ河川争奪地形の場所に存在します。
※ このブログでは用語「船越(ふなこし)」を、異なる水域の水運網を結ぶ短区間陸路という意味で使っています。
従って通常の谷津地形と異なる特殊地形となっています。
イメージ的に花見川河川争奪の様子を示すと次のようになります。
イメージ的に示した花見川河川争奪の様子
花見川河川争奪の地学的検討は過去にこのブログで集中的に行ったことがありますので、興味のある方はブログ記事再掲サイト「花見川地峡史-メモ・仮説集-」を見てください。
そのサイトの「2.2 花見川河川争奪に遡る」で、花見川河川争奪検討記事を順番を追って読むことができます。
花見川河川争奪の結果、東京湾水系の深く幅の狭い谷津が周辺の谷津より北北東方向に2.0㎞ほど深く入ったのです。それが特殊地形です。
そのため、例えば縄文海進時の最大海面分布をみると、東京湾水系と香取の海水系の海面分布の下総における最短近接地形が生れたのです。
古代では、縄文海進時最大海面分布地域の水系は十分に水運可能であったと考えられますので、この特殊地形は人々によって船越として有効活用されたのです。
縄文海進の海面が花見川谷津深くまで、まるでフィヨルドのように分布した地質的証拠資料1
縄文海進の海面が花見川谷津深くまで、まるでフィヨルドのように分布した地質的証拠資料2
2 東京湾水系と香取の海水系を結ぶ3つの船越の比較
東京湾水系と香取の海水系の縄文海進最大海面(想定)を結ぶ直線距離を求めてみました。
東京湾水系と香取の海水系を結ぶ3つの船越の距離
浦賀水道方面と香取の海水系を結ぶ船越としては花見川-平戸川船越の有利性が一目瞭然です。
都川-鹿島川船越では陸路部分が長すぎます。
太日川-手賀沼船越ではコースが大回りになりすぎます。
3 感想
なお、これまで花見川河川争奪や舟運が花見川奥深くまで入っていたことはあまり注目されてきていませんでした。
その理由は、花見川筋が近世印旛沼堀割普請の土木工事で大規模に改変され、安易に地形復元が出来ないことと、印旛沼堀割普請が地域にあまりに大きな社会的・経済的影響を与えたため、地域における歴史が印旛沼堀割普請の時に全部リセットされてしまったからだと考えています。
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