銙帯というものを知り、大いに知的刺激を受けましたが、花見川河口古代拠点集落に位置する直道遺跡から出土した遺物「銙帯」2点を千葉市埋蔵文化財調査センターで閲覧させていただきました。
これまで幾度か記事にした直道遺跡出土銙帯(鉸具)の寸法(図のスケール)が、遺物を実見して間違っていたことを確認しましたので報告します。
1 経緯
寸法10㎝近くのバックル状遺物出土が「千葉市直道遺跡」(1995、財団法人千葉市文化財調査協会)に掲載されています。
10㎝もあるバックルは馬具に違いないと考えて、馬骨出土と一緒に記事にしました。2015.03.10記事「検見川台地の馬関連古代遺跡」
その後、「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)にこの直道遺跡出土バックル状遺物が銙帯の一部(鉸具)であることが記載されていました。
10㎝もあるが馬具ではなく、銙帯という官人の服制の装飾具であると考えざるを得ない状況になり、力道山まで登場させて銙帯の学習に取り組みました。2015.03.20記事「銙帯出土遺跡分布と東海道」
銙帯という服飾品からうけた知的刺激が大きかったので、その空想的復元まで試みました。2015.03.21記事「銙帯の空想的復元」
しかし、一旦ブログ記事に掲載したものの、復元図を見ると、どうも納得がいきません。
寸法10㎝が間違っているのではないかと疑心暗鬼になり、千葉市教育委員会経由で遺物所蔵機関である千葉市埋蔵文化財調査センターにお願いして、遺物を閲覧させていただいた次第です。
2 直道遺跡出土銙帯(鉸具)の寸法
案の定、発掘調査報告書(「千葉市直道遺跡」(1995、財団法人千葉市文化財調査協会))の記載(具体的には鉸具のスケール)が間違っていることが判明しました。
直道遺跡出土銙帯 鉸具及び丸鞆
参考 「千葉市直道遺跡」(1995、財団法人千葉市文化財調査協会)の記載
鉸具及び丸鞆を間近に見て、自分が想像していた以上に完成度の高い青銅製品であることがわかりました。細部まで細工されていて、現代工業製品と比較しても遜色のないものです。実見してはじめてわかりました。
元資料の間違いが確認できましたので、関連記事は修正することにします。
元資料がたまたま間違っていたので、銙帯という遺物の存在を知った時、受けた刺激が増幅され、結果として自分の思考発展が図れたのかもしれません。
また元資料が間違っていたので、その現物を閲覧する機会が生れて体験を深めることができ、さらに千葉市埋蔵文化財調査センターの研究員の方からいろいろと有益なお話を聞くこともでき、とても良い経験になりました。
3 参考 直道遺跡出土銙帯と現代ベルト製品
参考までに直道遺跡出土銙帯と現代ベルト製品(男性用通常サイズ)を並べてみました。
直道遺跡出土銙帯と現代ベルト製品
古代銙帯(奈良時代)は現代ベルト製品(男性用通常サイズ)と比べると少し小ぶりです。
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