発掘された地物の状況等から想定されるイナウをつかった祭祀プロセスをとりあえず空想的にまとめておきます。
1 祭祀プロセス
1-1 獣送り
まず祭場を設定するためにイナウを立てたと考えます。
その祭場でイノシシやシカ(主に幼獣)を送ったと考えます。
送りは飾り弓をつかった「遊び」を行い、最後に絶命させ、頭部は切り取り祭壇の上に掲揚したと考えます。
祭祀行為の空想 1 獣送り
1-2 獣肉調理・共食
送った獣の肉を焚火で調理し、祭祀メンバーで共食したと考えます。
祭祀行為の空想 2 獣肉調理・共食
1-3 獣骨の焼骨と散布
共食で残った骨を焼骨し、その場に散布したと考えます。
祭祀行為の空想 3 獣骨の焼骨と散布
1-4 土器破壊
焼骨散布域で用意しておいた土器を破壊したと考えます。
これで主な祭祀行為は終了したと考えます。
1-5 祭祀跡の埋没
祭祀跡は放置され、祭壇に掲揚された獣頭部は腐って無くなったと考えます。土器片、土器片に覆われた焼骨、イナウはその場が陸化する過程で土に覆われていったと考えます。
2 祭祀跡埋没プロセスについて
この祭祀跡は流路に位置していますが、流水の影響を全くうけていません。
その理由についてメモしておきます。
次の図は別の場所の縄文時代流路の断面図です。
流路1の断面図
下流から上流方向を眺めた図
流路が埋まる過程が14→13→12→11と示されています。全て黒色土です。
このような流路埋没過程をみると西側から流路が陸化して土層に埋まっていった様子が判ります。流水の堆積作用が全く無いことはないと思いますが、主に風成堆積物と腐食土に起源を有する堆積物で埋まったもののようです。
これと同じ現象がここで検討した4C09グリッドでもあったと考えると、流路に位置するにも関わらず遺物に流水の影響が全くない様子を説明することができると考えます。
3 検討課題
4C09グリッドで観察できる遺物のセットは1回の祭祀の結果であると考えます。
この1回の祭祀跡が印旛沼圏全体のある年の秋祭りに該当するものかどうかなど、この1回祭祀結果と考える遺物セットの意義について検討する必要があると考えます。
その検討は一端間を置き、後日改めて行うことにします。
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