大膳野南貝塚廃屋墓の機能不明柱穴の検討を時期別に竪穴住居毎に順次検討しています。
この記事では堀之内2式期の廃屋墓の検討をおこないます。
11 堀之内2式期 J40竪穴住居
11-1 特徴
J40竪穴住居はJ41竪穴住居、J114竪穴住居と重複し、最も新しい住居です。
覆土にはハマグリ、イボキサゴを含む混貝土層が堆積しています。
床面直上で伸展葬の人骨が検出され、壮年ないしは熟年の男性であることが判っています。人骨の一部には齧歯類の齧痕が観察されます。
出土物は土器、石器などが中テン箱1箱分と獣骨165点が出土しています。
J40竪穴住居の位置
J40竪穴住居 柱穴分布
人骨出土の状況
人骨出土の状況 大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
11-2 検討
11-2-1 人骨の方向性について
この人骨がJ40竪穴住居の住人であったかどうかの直接証拠はありません。
作業仮説として次のような状況を想定します。
空家であったJ40竪穴住居に別の竪穴住居に住んでいた人物の遺体が持ち込まれ、殯(もがり)が行われ、遺体がミイラ化し、そのさいネズミにかじられ、最後は混貝土層で竪穴住居を覆った(埋葬した)と考えます。
人骨の頭が住居端、脚部が住居中央方向であり、人骨が指す方向が竪穴住居空間を意識したものであるように観察できて(時計の針のように観察できて)大変特徴的です。
人骨の頭が指す方向がその人物と関わりがある地物の方向を示すものかもしれません。
J40竪穴住居 廃屋墓 検討
11-2-2 機能不明柱穴について
機能不明柱穴が単なる屋根を支える補助構造柱であるのか、祭祀性をもった柱(祭壇)でるのか、はたまた廃屋墓になった時新たに建設された祭壇であるのか決めてとなるような情報は得られません。
大膳野南貝塚の全竪穴住居情報を統計整理して分析し、後日検討を深めます。
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