縄文社会消長分析学習 118
有吉北貝塚北斜面貝層の貝層断面図について貝層分類別に面積測定しています。この記事では第1断面(縦断面)の面積測定結果を眺めてみます。
1 第1断面(縦断面)とその位置
第1断面(縦断面)(illustrator作業図)
第1断面(縦断面)の位置
2 面積測定結果
2-1 貝層別断面積
貝層別断面積
純貝層、混土貝層、混貝土層、砂層、土層の5区分では混貝土層の断面積が最も大きくなっています。
貝層(純貝層、混土貝層、混貝土層)とそれ以外(砂層、土層)は次のように、全体の約6割が貝層になります。
貝層、砂層・土層別割合
2-2 貝と土・砂別にみた断面積
2021.07.28記事「混土貝層・混貝土層の成因 その2」で、貝層別分類の混土率の平均値を求めました。
貝層分類別の混土率・破砕率の平均値
この貝層分類別混土率平均値を原単位として使い、純貝層、混土貝層、混貝土層という区分を貝層中の貝、貝層中の土という区分に変換しなおしてみました。その結果をグラフにすると次のようになります。
貝と土・砂の断面積(実面積)
貝層を取り上げると、貝と土の断面積は拮抗しています。大雑把にみれば、貝殻1単位を廃棄するとほぼ同量の1単位の土が混ざりこむことになります。自然の営力でそれほど大量の土が供給される仕組みが考えづらいとすれば、少なくとも土の一部は縄文人が持ち込んだことになります。混土貝層、混貝土層の土がもともと存在していた場所とその移動の仕組みを詳しく検討することが必要です。
貝と土・砂の断面積(割合)
貝と土・砂という2分で全体の断面積の割合を求めるとおおよそ貝の断面積の割合は全体の1/3になります。
3 メモ
北斜面貝層は後年の撹乱の影響を受けていない、プライマリーな貝層です。縄文人がつくった貝層がそのまま出土した珍しい貝層です。その貝層の全体像イメージを15葉ある貝層断面図の断面積分析から得ることにします。この記事では全体像を知る予察的作業として縦断図の分析をしました。
4 面積測定法
第1断面(縦断面)(illustrator作業図)→2m×2m図形を書き込みpsdファイル出力→psdファイルをPhotoshopで読み込む→Photoshopで当該オブジェクトを範囲指定しヒストグラムの全ピクセル数値を知る。2m×2m図形の全ピクセル数値を使って当該オブジェクト全ピクセル数値を㎡数値に換算する。
psdファイル
赤四角は2m×2mの図形
0 件のコメント:
コメントを投稿