2020年1月24日金曜日

加曽利博の加曽利E式土器細分基準の学習

縄文土器学習 320

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準は昨年度企画展パンフレットに分かりやすく図示されています。これ以上さらに詳しい細分基準資料が貝塚博物館紀要第45号に掲載されています。
加曽利貝塚博物館学芸員佐藤洋先生著作「加曽利E式土器資料集成研究①(千葉市内編)」に加曽利E式土器細分基準が次のように箇条書きで示されています。
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成立段階(阿玉台IV式以降~E I式)
・口縁部文様帯に交互刺突文を有するもの。
・口縁部に円環状の把手を有するもの。
・口縁部に列点状の刺突文を有するもの。
E I式
・懸垂文(胴部の縦方向の沈線)を有するもの。
・頸部と胴部が横方向の沈線によって区画されるもの。
・キャリパー形の器形を呈するもの。
・文様帯が3段構成となり、口縁部・頸部・胴部の文様帯が明瞭に区画されるもの。
・頸部に無文帯を有するもの。
E Ⅱ式
・頸部の無文帯が消滅し、文様帯が口縁部と胴部文様帯の2段で構成となるもの。
・磨消懸垂文(胴部に縦方向に並行する2本の沈線間の縄文を指頭で磨消した文様)を有するもの。
・キャリパー形で胴部の膨らみ(頸部の括れ)を有するもの。
・連弧文系土器を伴うもの。
・口縁部に渦巻文を有し、隆帯の脇を入念に整形したもの。
EⅢ式
・胴部の磨消懸垂文が発達し、磨消部分が幅広となるもの。
・懸垂文を描出する沈線が上端で連結し、半円状を呈するもの。
・横位連繋弧線文(隣り合う沈線による区画が連結した文様)を有するもの。
・意匠充填文(沈線で区画された中に縄文を施文する技法)を有するもの。
・口縁部の渦巻文が衰退し、渦の形状が崩れるもの。
・平縁で口縁部文様帯が無文、ないし口縁部に列点文を有するもの。
・胴部に微隆起線を有し、線の側端に沈線を有するもの。
・胴部に微隆線で大型の渦巻文を有するもの。
E IV式(※称名寺式と併行する段階を含む)
・口縁部文様帯を有しないもの。
・懸垂文を描出する沈線が上端で連結し、その上端が口唇部に抜けるもの。
・横位連繋弧線文の連携が消失し、単位文となるもの。
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この箇条書き自分なりに表に整理してみました。

加曽利貝塚博物館の加曽利E式土器細分基準
加曽利E式土器の細分基準は大きく器形、段構成、文様、共伴土器別に整理できると理解しました。
このような理解に基づいて、加曽利貝塚博物館パンフレットを整理し直すと次のようになります。

加曽利E式土器の移り変わり
以上の加曽利貝塚博物館資料(加曽利E式土器型式細分基準(佐藤洋先生基準)、パンフレット図解)に準拠して展示土器観察を始めることにします。

なお、細分基準について次のような感想を持ちましたのでメモしておきます。
1 細分基準の学習視点
考察の視点は専門家・研究者が問題にしている「より蓋然性の高い加曽利E式土器細分のための基準を追求する」ということではなく、細分基準を理解することにより「その基準を自分の土器観察項目としてどのように取り込むことができるか」ということです。

2 器形について
キャリパー形とは胴上部に一回り大きな内湾する口縁部が存在するという形です。そのような形はEⅠ→EⅡ→EⅢと続きますから、「キャリパー形」という言葉だけでの器形表現では細分基準にならないと考えます。
口縁部の内湾状況もさることながら、「このカーブが美しい」と表現される胴部のふくらみを何らかの指標にして細分基準にならないか、考察の余地があると思います。
次のような計測値から統計的な意味で器形細分指標ができるかもしれないと考えます。

加曽利E式土器器形の計測
f/i×100=くびれ度、a/f×100=深さ指数、f/j=尖り度

なお、器形はそれ自体が好みで流行したという側面だけでなく、炉の進化や効率性に関する社会要請等と関わっていたと想像します。

3 文様について
縦方向沈線→懸垂磨消縄文→懸垂磨消縄文の連結などの文様変化が加曽利E式土器細分の最重要要素であると理解します。また図と地が逆転するなどのダイナミックな現象が生まれた背景には何らかの社会現象が伴うに違いありません。
加曽利E式土器の根本要素である縦方向沈線や磨消縄文がなぜ使われたのかという意味を考察する手がかりが見つかるよう、学習のなかで心掛けたいと思います。

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