Kasori E type pottery Design filling type pottery
Of the 22 pottery observed, the transition of the design filling pottery was reviewed by arranging the 3D model front ortho-projection image and the pattern diagram developed by the GigaMesh Software Framework. It seems that the vortex shape of the main theme changes to a circular shape or a spindle shape.
加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…」展示土器のうち意匠充填系土器について、3Dモデル正面オルソ投影画像とGigaMesh Software Frameworkで展開して作成した文様図を並べてその変遷を概観しました。メインテーマの渦形が円形や紡錘形に変化するようです。
1 意匠充填系土器の集成
意匠充填系土器
各土器画像資料の左は3Dモデル正面オルソ投影画像、右はGigaMesh Software Frameworkで展開した図に縄文施文域を緑色に塗色した画像です。
参考 22土器の中での意匠充填系土器の位置
2 加曽利EⅢ式の意匠充填系土器
2-1 加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)
加曽利EⅢ式深鉢(No.26)(千葉市芳賀輪遺跡)
大きな渦巻が上段に、下段に細長い楕円が縄文で描かれます。上段で渦巻のパターンに含まれない細長い逆三角形状の縄文施文域が存在しますが、それはこの土器の正面(などの特定位置)を示す意味のある文様だと想像します。(土器全体を観察できて、またおこげなどの様子を観察できれば、この仮説に関する資料が得られると考えます。)
2-2 加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)
加曽利EⅢ式深鉢(千葉市加曽利貝塚)
渦巻は波頂部に対応していて、上段だけではなく下段にまで続きます。
3 加曽利EⅣ式の意匠充填系土器
加曽利EⅣ深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
波頂部に対応して上段に大きな楕円が描かれていて特徴的な図柄となっています。球抱文土器とも言われる文様で加曽利EⅣ期の特徴のようです。「加納実(1994):加曽利貝塚EⅢ・Ⅳ式土器の系統分析、貝塚博物館紀要21」では玉抱文土器について次のように記述しています。
「玉抱文土器群の成立は、弧線文が横位連携効果を有しており、球状意匠が充填されるものの、アクセント部の描出に乏しいことから、横位連携弧線文土器の影響を強く受けた意匠充填系土器群(紡錘状の円形意匠を有する土器群)であるとおもわれる。」
4 加曽利EⅤ式の意匠充填系土器
4-1 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.28)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
玉抱の意匠充填系土器として把握できると考えます。加曽利EⅣ深鉢(No.35)(千葉市餅ヶ崎遺跡)の文様の下段を反転させた文様です。
No.35土器とNo.28土器の文様反転関係
4-2 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.29)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
玉抱の意匠充填系土器です。細長い楕円となった玉が波頂部と波底部に配置されています。
4-3 加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
加曽利EⅤ式・称名寺式深鉢(No.37)(千葉市餅ヶ崎遺跡)
波頂部に小さな紡錘が描かれているので、意匠充填系土器とも言えると考えました。この土器は全面縄文施文の上に多数の沈線を描いていて、土器づくり初心者が練習で沈線を描いた土器(練習台)と想像しました。
参考 展示資料
5 称名寺式の意匠充填系土器
称名寺Ⅰ式深鉢(No.3)(千葉市愛生遺跡)
中空の大きな紡錘が波頂部に対応して描かれていますが、意匠充填系土器の流れのデザインであると考えました。
6 感想
意匠充填系土器という観点で3Dモデル資料をみてみると、メインテーマとなるデザインが渦巻→円形→紡錘と変化しているようにみえます。今後観察資料を増やして、このような理解でよいか気長に検証していくことにします。
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