2022年8月12日金曜日

屋外漆喰炉の3Dモデル作成イメージ

 Image of 3D model creation work of outdoor plaster furnace


Efforts are being made to create 3D models from actual survey drawings. As part of this, I decided to create a 3D model of the outdoor plaster furnace excavated at the Daizenno Minami Shell Mound. First, I made a note of the working image.


8月に入ってから、発掘調査報告書に掲載されている各種実測図の3Dモデル化に取り組んでいます。平面図と断面図等の実測図という限られた情報から遺構や遺物の3Dモデルができれば、考古学習に役立つに違いにないだろうという趣旨です。展示遺物や展示遺構模型の3Dモデルを作成する機会は限られますが、発掘調査報告書掲載実測図から3Dモデルが出来るようになれば、3Dモデル考古学習の幅はいわば無限に拡大することになります。

これまでに次の対象について3Dモデルの作成を予察的に行ってきました。

・手書き等高線→地形3Dモデル

・貝層断面図→貝層基底面地形3Dモデル、貝層3Dモデル

・屋内炉→屋内炉3Dモデル

・天井部遺存炉穴→天井部遺存炉穴3Dモデル

これらの3DモデルはBlenderにより作成しています。3Dモデル作成でキーとなる機能は次の通りです。

・Bsurfaces機能

・ブーリアン機能(差分、結合)

Bsurfaces機能は線分(等高線や断面線等)の間に面(曲面)を合理的に生成する機能であり、実測図3Dモデル化の基本となると考えています。

これからも8月一杯は遺構・遺物について実測図から予察的3Dモデルを作成して、実測図3Dモデル化技術の実用化にむけて活動することにします。

この記事からは大膳野南貝塚1号屋外漆喰炉の3Dモデル作成に取組み、その様子を順次情報発信することにします。

この記事では屋外漆喰炉3Dモデルの作業イメージを検討しメモします。

1 大膳野南貝塚1号屋外漆喰炉の様子


1号屋外漆喰炉の様子


1号屋外漆喰炉の理解

1号屋外漆喰炉の時期は堀之内1式期です。

なお、この屋外漆喰炉から大型のアワビ加工品が出土しています。発掘調査報告書では貝刃と書かれていますが、最近では再観察の結果マジカルな祭具であったと説明されています(千葉市埋蔵文化財調査センター)。


参考 アワビ加工品(千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」展示)

2 3Dモデル化作業イメージ

2-1 作成する3Dモデルのイメージ

次のオブジェクトから構成される3Dモデルを作成します。

・漆喰炉基底地形3Dモデル

・炉体3Dモデル

・漆喰炉造成当初の燃焼面形状3Dモデル

・漆喰堆積層3Dモデル

・埋甕3Dモデル(6)

・アワビ3Dモデル(展示物3Dモデル作成済)


3Dモデルの構成オブジェクト

2-2 作業ステップ

1 漆喰炉基底地形3Dモデル

平面図、断面図から基底地形の想定等高線作成→Bsurfaces機能により3Dモデル作成

2 漆喰炉上面形状3Dモデル

平面図、断面図から漆喰炉上面形状の想定等高線作成→Bsurfacesにより3Dモデル作成

3 漆喰炉全体形状3Dモデル

1と2をブーリアン結合して漆喰炉全体形状3Dモデル作成。

4 漆喰炉造成当初の燃焼面形状3Dモデル作成

漆喰炉造成当初の燃焼面形状の想定等高線作成→Bsurfacesにより3Dモデル作成

5 漆喰堆積層3Dモデル

3から4(下位層)をブーリアン差分して作成

6 炉体3Dモデル

3から4(上位層)をブーリアン差分して作成

7 埋甕3Dモデル

平面図、断面図からBsurfacesにより3Dモデル作成(6点)

8 アワビ3Dモデル

展示物3Dモデルの簡略化モデル作成

9 各モデルの分布・関係が判別可能な集成モデル作成

1、6、4、5、7、8の集成モデル作成

2-4 感想

実際に作業して、思い通りの3Dモデルが予定調和的にできるかどうかは不明です。しかし、拙速を避けてじっくり取り組み、ある程度満足感を得られる成果を得たいと思います。


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