Distribution of stone arrowheads in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound
I created a distribution map of the stone arrowheads excavated from the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita shell mound. The stone arrowheads are distributed in two zones like islands, and I imagine that there were strict spatial restrictions on disposal. Some of the stone arrowheads are nearly complete, so I think they were disposed of ceremonially.
有吉北貝塚北斜面貝層から出土した石鏃の分布図を作成しました。石鏃は2つのゾーンに島のように分かれて分布していて、廃棄に関する空間規制が強かったと想像します。完形に近い石鏃もあり、儀礼的廃棄が行われていたと考えます。
1 有吉北貝塚北斜面貝層 石鏃分布
有吉北貝塚北斜面貝層 石鏃分布データ:発掘調査報告書
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2 検討メモ
2-1 分布特性
石鏃分布図から次のような特性を観察できます。
・石鏃の分布が2つのゾーンに分かれている。(Aゾーン、Bゾーンと仮称)
・石鏃がほとんど出土しない空間が2つのゾーンの間に存在する。
・出土数の多いグリッドが台地面近くの貝層縁辺に存在する。
石鏃分布のゾーン区分
2-2 検討その1 空間的規制
・石鏃の廃棄は勝手気ままに北斜面貝層に投棄されたのではなく、集落継続期間に存在した空間的規制のもとに行われたと考えます。
・石鏃分布で観察できる空間規制が他の石器器種にも同様におよんでいたのかどうか、今後逐次データを作成して検討します。
2-3 検討その2 AゾーンとBゾーンの違い
・Aゾーンは散乱人骨集中域と一致していて、石鏃廃棄が埋葬儀礼と関連している可能性が濃厚です。出土土器は加曽利EⅡ式土器が多く、有吉北貝塚集落末期に該当します。
・Bゾーンは他の遺物出土状況から儀礼空間であったと想定します。しかし、散乱人骨は少なく、この場所は主要な埋葬空間ではなかったと想定しています。出土土器は加曽利EⅠ式土器や中峠式土器が多く、Aゾーンより古い時期に利用された場所の可能性があります。
2-4 検討その3 完形に近い石鏃出土の意義
出土石鏃の例(完形に近いもの)
出土石鏃には完形に近いものがあります。実用的には使えるものと考えられます。しかし、北斜面貝層に廃棄されています。完形に近い石鏃の廃棄は、その利用者(所有者)が死亡して埋葬されたとき、一緒に儀礼的に廃棄されたものと考えます。
「埋葬により、故人はあの世に往きます。あの世でも石鏃を使って猟をして沢山の獲物を捕まえ、豊かで幸福な生活をおくります。従って、故人が使っていた石鏃は儀礼的に廃棄し、「石鏃の魂」が「故人の魂」と一緒にあの世に行きます。」
このように考えると石鏃は儀礼的に破壊される(この世での命を絶たれ、魂があの世に行く)必要があったと考えます。
出土した石鏃には「完形」(発掘調査報告書の遺存分類で13)のものは一つもありません。「完形に近いもの」(発掘調査報告書の遺存分類で14)はあります。
従って、出土した完形に近い石鏃とは儀礼的に破壊された石鏃のうち、破壊の程度がたまたま軽微だったものを指しているのかもしれません。
北斜面貝層から出土する石鏃は利用者が死亡したため、儀礼的に破壊されたものと、それ以外の、通常破損石鏃が混在している可能性があります。
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