2025年10月25日土曜日

貝層3D空間における散乱人骨分布復元(遺物データベース試用)

 Reconstructing the Distribution of Scattered Human Bones in 3D Space in the Shell Layer (Artifact Database Trial)


A 3D model of the distribution of 314 scattered human bones, recorded in excavation reports and with complete 3D coordinates, was created. The main distribution area of ​​the scattered human bones was from the settlement at the head of the Gully Valley to the river channel. The scattered human bones are distributed in clusters, suggesting that the buried remains were broken up by shell layer movement. Furthermore, the scattered human bones are distributed in two layers, one above the other, suggesting two periods of burial activity.


発掘調査報告書に記載され3D座標が揃った散乱人骨314件の分布3Dモデルを作成しました。散乱人骨のメイン分布域はガリー谷頭部の集落より流路です。散乱人骨はクラスター状分布で、貝層流動で埋葬遺体がバラバラになったと想定します。また散乱人骨は上下2層に分布し、2期の埋葬活動が想定できます。

1 有吉北貝塚北斜面貝層散乱人骨分布3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層散乱人骨分布3Dモデル

散乱人骨件数(発掘調査報告書記載で3D座標が揃ったもの):314件

1件を直径5㎝球で表現

3DF Zephyr v8.029でアップロード


3Dモデルの動画


散乱人骨分布


参考 全遺物分布

2 乳児骨分布


乳児骨分布

3 接合骨分布


接合骨分布


接合骨資料

4 メモ

4-1 散乱人骨分布域

散乱人骨のメイン分布域はガリーの谷頭部の最も集落よりの流路になっています。この流路は土器投棄密集域にも重なります。

ガリー下流域斜面にも散漫に人骨が分布します。

4-2 人骨のクラスター状分布と想定埋葬形式

散乱人骨で接合した事例が1件あり、その分布がクラスター状になっていて、貝層流動の中で骨が切断して移動した様子と考えて矛盾がありません。また、散乱人骨は多くのところでクラスター状分布で構成されています。

このような状況から、貝層を掘って遺体を安置し、その上に貝層を被せた埋葬を想定すると、貝層の流動に伴い遺骨がバラバラになり、単位骨も破砕され、全体がクラスター状に分布したのではないかと想像します。最初に掘った穴(土坑)は同じ貝層で埋められたので、もしそのまま残ったとしても発掘現場での発見は困難であり、ましてや、貝層が流動しているので、痕跡はほとんど残らなかったと考えます。

発掘調査報告書では南斜面貝層の2土坑から各埋葬遺体1体が発掘され、発掘現場では土坑痕跡が不明瞭であると記載されています。


散乱人骨分布の特徴

4-3 乳児骨分布

乳児骨分布をみると、そのメイン分布域は散乱人骨メイン分布域と尾根1つ隔てた場所になっています。乳児埋葬は成人埋葬場所とは異なる場所に意識して行った場合があることを示唆していると考えます。

4-4 2層の分布

散乱人骨分布を3D画面でみるとメイン分布域では上下2層に分布している様子を観察できます。ガリー谷頭における浸食作用を上回る貝殻や土器投棄が行われ、その初期の斜面埋葬と終期の斜面埋葬の様子が上下2層の散乱人骨分布として表現されていると考えます。



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