ラベル 茅野市一ノ瀬遺跡 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 茅野市一ノ瀬遺跡 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年8月22日土曜日

畑と灌漑施設を文様で表現した縄文土器 2例目

 縄文土器学習 452

畑と灌漑施設を文様に表現している縄文土器の2例目の検討です。

1 縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)

3Dモデル、展示の様子、動画、GigaMesh Software Frameworkによる展開図を示します。

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡) 観察記録3Dモデル 

撮影場所:尖石縄文考古館 

撮影月日:2020.03.13 

5面ガラスショーケース越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 73 images

展示の様子

3Dモデルの動画

GigaMesh Software Frameworkによる展開図

2 記号の検討

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)の記号の解釈

3 土器文様の構造把握

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)の文様構造把握

4 土器文様表現の解釈

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)の文様表現解釈

5 感想

2020.08.21記事「灌漑施設を文様として表現する縄文土器」で検討した土器記号およびそれで表現した文様の意義についてほぼ同じ解釈をすることができました。

縄文中期中央高地の人々が灌漑施設整備による畑を運用して生業を営んでいたことは確実です。

しかし、土器に表現された姿は現実には存在しない理想郷、桃源郷であり、現実の畑や灌漑施設は現代からみれば信じられないほどの原始的、初歩的、部分的なものであったに違いありません。

畑と灌漑施設が出土することを期待します。

2020年4月29日水曜日

長野県茅野市で出土した抽象絵画文深鉢形土器

縄文土器学習 404

長野県茅野市の尖石縄文考古館で観覧した縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

1 縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡) 観察記録3Dモデル 
撮影場所:尖石縄文考古館 
撮影月日:2020.03.13 
5面ガラスショーケース越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 73 images

展示の状況

縄文中期前半抽象絵画文深鉢形土器(茅野市一ノ瀬遺跡)観察記録3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開写真
GigaMesh Software Frameworkを利用して展開写真を作成しました。

GigaMesh Software Frameworkによる展開写真
「抽象絵画」の文様の様子がよくわかります。2単位のよく似た文様から構成されています。

3 感想
「抽象絵画」が表現する対象が存在することは確実であると考えます。
その対象が風景や地物の変化であるのか、言葉や概念のストーリーであるのかなどの研究・考察が専門的立場から行われているのでしょうか?
縄文土器研究者がこのような土器文様解読をどこまで行っているのか調べてみる価値があると考えます。
この土器の「抽象絵画」には「棘」のようなものがあること、意味深長な丸が「卵」を連想させることなどから植物や動物の様子を描いているような感想を持ちます。
伊那市創造館で観覧した藤内式深鉢形土器では「抽象絵画」が4単位となっていて、茅野市土器と似た構図があり、また「卵」を連想させるような丸があります。茅野市の土器と伊那市の土器で描かれている対象は類似したものであると考えることが当然です。

参考 伊那市創造館で観覧した藤内式深鉢形土器の展開写真 GigaMesh Software Frameworkにより作成

2019年12月23日月曜日

縄文中期後半双口土器(茅野市一ノ瀬遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 295

尖石縄文考古館に展示されている縄文中期後半双口土器(茅野市一ノ瀬遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。

縄文中期後半双口土器(茅野市一ノ瀬遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:尖石縄文考古館
撮影月日:2019.09.13
4面ガラス張りショーケース越しに撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 78 images

撮影写真の一例

上から見た様子 3Dモデル

感想
双口土器がどのように使われたかという説明・解説を図書やwebで見つけることはできませんでした。用途不明とか祭祀に使われたという程度の情報しかありませんでした。
縄文土器学習を進める上で、「そうですか」と納得して、写真や3Dモデルをwebに掲載しておしまいではつまらない活動になってしまいます。
後で間違っていたという結論になろうとも双口土器の用途や意義についての思考を少しだけでもメモすることにします。
・この双口土器は上から見てわかる通り、内部がつながっていません。二つの土器を1つに合体した形状をしています。
・二つの土器が一緒に出土する例は2019.12.20記事「2点並んで出土した縄文中期深鉢形土器(茅野市下ノ原遺跡) 観察記録3Dモデル」で検討したように茅野市にかぎらず列島に一般的にあるようです。その場合2つの土器は大小が明白で、夫婦を連想させます。
・大小二つの土器が並んで(そして完形で)出土する必然をつくった祭祀が想定され、それは男女が会い子孫を残す活動に関連する祭祀であると想像しました。
・双口土器は一瞥では2つの土器の大小を認識できません。また模様も同じです。結合部ではないところについている把手の形状が一方は「まあるく」、一方は「かくかく」していますが、これは意図したものかどうか微妙です。たとえ意図したものであっても大小とか優劣とかを示すものではないと考えられます。つまり、この双口土器は二つの同じ土器をくっつけたものです。二つの土器はいわば「平等」の精神で結ばれています。
・以上の観察と感想から、この双口土器の用途をいささか強引ですが次のように仮説しました。
・二つの集団が何かの都合で密接に協力する関係を結ぶ必要が生まれた、あるいは統合することになった、その時の団結式祭祀で統合の象徴を演出するためにこの土器がつくられ使われた。契りをむすぶ杯ならぬ、契りを結ぶ土器であったと想像します。