千葉県の墨書土器出土件数21049(2005年)をアドレスマッチングにより分布図化しました(2015.05.02「千葉県における墨書土器出土遺跡分布の把握」参照)が、分布の様子をより正確に把握するためにカーネル密度推定によるヒートマップを、半径パラメータ5000mで作成してみました。
ヒートマップ図の原理的有効性については、2014.09.09記事「遺跡分布ヒートマップ図の原理的有効性」参照。
千葉県の墨書土器出土件数によるヒートマップ
千葉県の墨書土器出土件数によるヒートマップ(主要部)
このヒートマップを見ると、墨書土器出土件数上位25遺跡と墨書土器主要出土ゾーンが微妙に異なる情報となっていて、その差に注目して、墨書土器に関する情報をより豊かなものにすることができました。
その説明図を次に示します。
説明図 千葉県の墨書土器主要出土ゾーン
遺跡単位ではなく、ゾーンとしてみると、墨書土器主要出土ゾーンは7つ抽出できます。
下総国
ア 八千代・印西ゾーン
イ 佐倉・酒々井ゾーン
ウ 成田ゾーン
エ 香取ゾーン
オ 船橋・市川ゾーン
上総国
カ 東金ゾーン
キ 大網白里・千葉ゾーン
ア 八千代市・印西ゾーンが千葉県では最大の墨書土器出土ゾーンであり、白幡前遺跡等上位25遺跡分布域よりはるかに広いことがわかりました。印西市の船尾付近をも含む平戸川沿い全体が八千代市白幡前遺跡と同様な性格(兵站基地)であったことが推定されます。
イ、ウ、エは上位25遺跡と対応しています。(エはアドレスマッチングの精度限界のため不正確な情報となっています。)
オは上位25遺跡がない地域(船橋市本郷地区等)です。この地域にどのような古代地域開発があったのか、興味が湧きます。
近くの「市川市国分寺域確認」は上位25遺跡の一つですが、地域的な広がりとしては抽出されませんでした。
カ、キは上位25遺跡と対応しています。
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