小字地名データベース作成活用プロジェクト 11
1 四街道市小字地名データベースの作成
千葉県地名大辞典(角川書店)附録小字一覧のうち四街道市分の大字・小字の文字表記をルビをセットにして、電子化してテキストデータ及びExcelデータとして作成しました。
地名検索結果のファイル化機能はエディタ(WZ EDITOR 9)に存在し、Excelには存在しないので、地名検索はエディタで行っています。番外編2015.04.22記事「WZ EDITOR 9 の俯瞰機能」参照
Excelは地名のカウントに使っています。
これで、千葉市、八千代市、習志野市、船橋市、四街道市分の小字データベースが完成しました。
小字地名データベース作成市町村(2015.05.09)
2 四街道市小字地名データベースの諸元と試用
2-1 四街道市小字地名の諸元
・大字数 20
・小字数 407
2-2 試用 地名の層序年表との対応
「地名の語源」(鏡味完二・鏡味明克、昭和52年、角川書店)掲載の「地名の層序年表」(※)との対応を調べると、21の語根型のうち、次の3つの語根型が出現しました。
※ 2015.04.10記事「千葉市小字地名の層序学」参照
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四街道市小字地名データベースから抽出した語根型別地名
【古代地名】
●~屋敷
南波佐間 寺屋敷
和良比 御屋敷
萱橋 古屋敷
【近世地名】
●~宿
小名木 宿
山梨 宿、今宿台、東宿
大日 今宿
●~新田
[大字]下志津新田
物井 新田
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2-3 試用 殺牛祭神に関わると思われる地名
データベースを作成していて、殺牛祭神に関わると思われる地名を見つけましたので、メモしておきます。
古代の殺牛祭神の風習が小字地名として記憶され、現代にまで文字情報として伝わってきていることに驚きます。
詳しい検討は別の機会に行います。
鹿渡 牛コロ作 →牛殺しが牛コロに変化したと考えます。
栗山 牛喰山 →殺牛祭神の行為そのものが地名となっています。
八千代市の白旗前遺跡にも牛喰という小字があります。
古代殺牛祭神の風習が、いとも簡単に小字に見つかることに驚いています。
2-4 試用 古代寺院に関連すると考えられる地名
データベースを作成していて、たまたま気がついたのですが、次のような小字が一つの大字(長岡)に集中しています。
宮後(ミヤウシロ)、鐘撞谷(カネツキヤ)、堂庭(ドウマエ)、鐘塚(カネヅカ)、棒山(ボウヤマ)[坊山…僧侶が主導して開発した場所?]
詳しく検討し出すと、はまってしまいそうなので、時間を区切って検討したところ、小屋ノ内遺跡(瓦塔、香炉蓋、鉄鉢形土器、灯明皿出土)に関連する位置にこれらの小字が対応するようです。(四街道市小字分布情報は入手していませんが大字と遺跡の位置関係からの推測です)
古代寺院に関連する地名がみつかりました。
なお、この場所にも白旗という小字が存在します。
私には「宮後(ミヤウシロ)、鐘撞谷(カネツキヤ)、堂庭(ドウマエ)、鐘塚(カネヅカ)、棒山(ボウヤマ)」と「白旗(シラハタ)」がまるでセットになっているように感じます。
八千代市白幡前遺跡付近でも、「堂ノ後(ドウノアト)、寺谷津(テラヤツ)、坊山(ボウヤマ)」と「白幡前(シラハタマエ)」がセットになっているように感じます。2015.04.21記事「八千代市白幡前遺跡 古代寺院関連地名」参照
寺院関係地名と白幡(白旗)地名がセットであると感じることは意味があり、有用な情報を引き出すことができるきっかけになると考えています。
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