2016年2月2日火曜日

墨書土器文字検討メモ 八は七?

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.279 墨書土器文字検討メモ 八は七?

2016.02.01記事「墨書土器文字検討メモ 万(マンドコロ)」で鳴神山遺跡で質(七)が行われ、その政所(万)の存在が墨書土器文字として残っていることを検討しました。

この検討は年代別分布図を作成してさらに詳細検討中です。

その検討中に次のような表を作成しました。

墨書文字「万」(マンドコロ)と共伴出土文字

この表でⅢ175竪穴住居から「七万」(シチマンドコロ…質政所)とともに、「大八大八」が出土しています。

大八大八の刻書土器
Ⅲ175竪穴住居出土
千葉県墨書・刻書土器データベースから引用

大八はほかにも鳴神山遺跡で9点出土しているのですが、これまでその意味が分かりませんでした。

しかし、「七万」と共伴出土しているという情報から、「大八」の「八」は七(質)の意味であることに気が付きました。

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参考
はち【八】
〖名〗
④ 質(しち)をいう、人形浄瑠璃社会の隠語。質を七に通わせ、それを八といいかえたもの。
滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下「れき(〈注〉あの衣)を孫三(〈注〉もらひ)として八(〈注〉質)えかめ(〈注〉入)たら」
『精選版 日本国語大辞典』 小学館
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「大八」は「大」集団が運営する「七万」(質政所)の活動発展を祈願した言葉であると考えます。

質を同じ語呂の「七」に置き換え、さらに隠語的にそれを「八」に置き換えた言葉であることが判りました。

農業の収穫期までの間、質で生活を支えた住民の姿を見るのか、あるいは質という相互扶助的仕組みの意義について思考すべきか、さらには質という仕組みで支配を強化したとみるべきか、興味ある古代社会経済事象に墨書文字からたどり着きました。

鳴神山遺跡等の墨書土器の数字を表す漢字は全て語呂合わせ的、隠語的表現です。

三…味噌
四…(現時点で不明、これも質関連か?)
六…陸奥
七…質
八…質
廿(廾)…つづら
丗(卅)…味噌
千…銭
万…政所

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