1 全遺跡データベース作成を目指す
2018.07.26記事「興味の他縄文遺跡への投影」で投影学習ツールとしてのGIS連動千葉県縄文遺跡データベース(私家版)の構築について書きましたが、既存データをいじっている中で本腰をいれて構築する気分になってきました。
私の当面の学習は縄文時代をターゲットにしていますが、前後の時代や奈良平安時代にも同じくらい興味がありますので、縄文時代に限らず全時代の遺跡データベースを作成することに方針を変えました。同じ作業をするなら一気に千葉県全時代遺跡データベースをつくるほうがはるかに作業が効率的であると判断したことと、同じ遺跡が各時代にまたがるのは通例のことであり、縄文時代限定データベースを先行してつくる意義があまり強くないためだという理由もあります。
2 多少の作業長期戦を見込む
丸1日か2日あればデータベースの基本ができると考えていたのですが、素データ(ふさの国文化財ナビゲーションデータ)の整理に思いのほか時間がかかりそうなことが判明し、作業の短期決戦はあきらめ長期戦で臨むことにしました。
例えば遺跡出土の「遺構・遺物」を例にとると次のよう状況です。
遺跡で位置情報を得ているものが約19600あり、そのうち約4600は「遺構・遺物」情報をすでにデータベースに格納してあります。
残り15000のうち3割程度(4500くらい?)は次のような作業をする必要があります。
●ふさの国文化財ナビゲーションの画面では例えば有る遺跡では「土坑・土器類(縄文土器[加曽利<EⅣ>称名寺堀之内] 土師器土器 片錘) 土製品(管状土錘) 石器(打製石斧 磨石 凹石 石棒 軽石) 骨(貝殻[ハマグリ アサリ オキシジミ他])」と書いてあるのですが、ダウンロードしたcsvファイルでは14のカンマで区切られた15の分節から構成されています。その区切りを削除して文章をまとめる作業が必要です。
「遺構・遺物」以外の項目(種別・時代・立地現状等)についても同じ作業が必要であり、作業を一括変換のように効率化はできません。1件1件手作業で行う作業がほとんどを占めます。
眩暈のするような膨大なパソコン手作業ですが、遺跡データが無い(利用できない)ことを考えると、1か月とか2か月その作業に熱中すれば、今後の考古学習で千葉県全遺跡データが自由に使えて学習加速のツールになるのですから中長期的には作業の膨大性はあまり問題になりません。逆に、角川千葉県地名大辞典の付録小字リスト8万件を電子化して私家版小字データベースをつくった過去作業と較べれば「チョロイ」ものです。
3 私家版暫定版GIS連動千葉県遺跡データベースの現状
現在次のような出発点を確保できています。
3-1 位置情報を整備できた遺跡数 19600
遺跡ID、遺跡名、遺跡名よみ、住所、位置(緯度、経度)についてデータベース化が済んだ遺跡数は19600です。これは2014年時点ふさの国文化財ナビゲーションダウンロードデータをベースにしたものです。現在(2018.07)のふさの国文化財ナビゲーションダウンロードデータではさらに約240遺跡(牧関連遺跡が多い)が追加されていますから、今後そのデータを追加する必要があります。
3-2 基本情報項目別データ整備軒数
2で述べたパソコン手作業をスタートします。
・種別(0)
・時代(4600)
・立地現状(4600)
・遺構遺物(4600)
・文献(0)
・備考(0)
・水系(19100)
3-3 学習促進のためのデータベース項目設定
学習上の問題意識に基づいた項目を順次データベースに設定していきます。
縄文時代を例にとれば、環状集落の有無とか漆喰炉の有無とかの多数項目が考えられます。大膳野南貝塚土坑データベース構築の例では学習最初頃の項目設定は多少ピンボケでも、問題意識が深まるに従って鋭い項目設定ができるようになります。データベース項目は数を限定することなく多数を設定していき、順次項目自体を更改する予定です。
なお実際にデータが入力される遺跡は、私が発掘調査報告書を読んで情報をデータベースに書き込むことができる遺跡はどんなに多くても200~300くらいのものだと思います。しかし、資料に掲載されている有益情報を入力する遺跡はもっと増えます。さらに縄文遺跡と地形との関係を分析すれば縄文遺跡全部6700にオリジナルデータが入力されます。
データベースはふさの国文化財ナビゲーションや図書から得た情報を分析するだけでなく、自分の思考をメモして定着させ、その思考の蓋然性を確かめるための分析に、さらに想像(発想)を得るための道具として活用します。
4 GIS連動性
データベースに位置情報(緯度、経度)があるのでデータベース項目は全てGISに展開して分析することができます。基本的方法はデータベース項目の一部をExcelに書き出し、それをQGISにインポートします。しかし、毎度毎度この作業をするのは非効率的であることから、QGISとFile Makerのあいだのデータやりとりを効率的に行う操作技術を開発したいと考えています。具体的にはQGISサイドのデータベース機能をできるだけ強化することによってデータやりとりの回数を少なくし、作業全体の効率化を図りたいと考えます。
私家版暫定版GIS連動千葉県遺跡データベース 現在の作業画面
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