千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室を観覧した際、縄文早期土器と前期土器を並べた展示を観察することができました。
職員の方の説明を聞いて早期土器と前期土器の視覚的風合いの顕著な違いをじっくりと観察することができました。
早期土器は全体を総合すると、明るい褐色で(白っぽくて)、固く緻密で薄い感じを受けます。しっかりしたつくりの印象を受けます。土器の底は尖っていますから自立できません。
一方前期土器は全体を総合すると、暗い褐色で(黒っぽくて)、多孔質で柔らかく厚手で、風化していてつくりも粗雑な印象を受けます。くたびれ切っている印象です。土器の底は平で自立できます。
この視覚的風合いの違いは隆起線文土器で感じた予期せぬ質感(固く締まり、色が明るく薄手)と通じるものと考えます。
2019.03.29記事「隆起線文土器と共伴出土石器の観察」
つまり草創期土器・早期土器と前期・中期・後期・晩期土器では土器の視覚的風合いが異なると考えます。その背景には土器が高級品であった社会と普及品であった社会の違いを表現しているのではないかと想像します。
あるいは移動が多い生活で必要とする土器品質(要件)と定住生活で必要とする土器品質(要件)の違いかもしれません。
今後の土器学習で草創期土器・早期土器と前期以降土器の違いについて問題意識を深めていくことにします。
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