2020年2月26日水曜日

意匠充填系土器もどき土器

縄文土器学習 358

加曽利貝塚博物館E式土器企画展の展示土器について学習しています。
この記事では意匠充填系土器もどき土器のように感じた加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市一本松遺跡)後1土器を観察します。(後1はこのブログの整理番号)
この土器の詳細(この土器の専門的観点からの分類や名称等)が判った時にこの記事を訂正します。

1 加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市一本松遺跡)後1 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市一本松遺跡)後1 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」後半展示
撮影月日:2020.01.21
整理番号:後1
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 45 images

展示の状況
口縁部が8割ほど失われていて、復元されていていません。

2 3Dモデル展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市一本松遺跡)後1 展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢(佐倉市一本松遺跡)後1 展開写真 2
隆帯の連続性等をより正確に観察するために色合いは無視して、1と異なる調整により作成したものです。

3 観察と感想
・器形がラッパ形をしています。どうヒイキ目に見てもキャリパー形とは言えない器形です。このような器形が加曽利EⅢ式土器の仲間としてあるのか知りません。
・口縁部が無紋で、このような特徴も加曽利EⅢ式土器の仲間にあるのか知りません。
・胴部の文様が渦巻文と副文様(区画文)で充填されているので、意匠充填文土器に似ています。
・しかし、文様構成が3段になっていて、これまで観察してきた2段のものと異なります。
・文様は2本隆帯によってつくられています。
・上段は横に長い不定形の区画文、中段は渦巻文、下段は懸垂文となっています。
・大きな渦巻文の中心部に棘が5本生えていて、よく見る渦巻文と様相が異なります。
・小さな渦巻文が上下に隆帯でつがながった文様があります。

・キャリパー形土器やズングリムックリした形状の意匠充填系土器・横位連携弧線文土器と異なる形状(ラッパ形土器)の土器に、意匠充填系土器の文様要素を転写した「意匠充填系土器もどき土器」であると感じました。

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