2020年2月14日に長野県立歴史館の縄文土器展示を観覧しました。
その時撮影した写真から3Dモデルを作成していますが、土偶について感想が生まれましたのでメモしておきます。
1 縄文晩期顔面付き注口土器(小諸市石神遺跡)外土偶多数 観察記録3Dモデル
縄文晩期顔面付き注口土器(小諸市石神遺跡)外土偶多数 観察記録3Dモデル
左上 縄文晩期顔面付き注口土器(小諸市石神遺跡) 注ぎ口は欠けているが、今の土瓶である。酒などを注ぐのに使われた。顔が描かれているのは珍しい。
右上 縄文後期後葉板状土偶(松本市女鳥羽川遺跡) 松本市立考古博物館蔵(複製)
左中 縄文晩期「顔のついた土版」(松本市エリ穴遺跡) 松本市立考古博物館蔵(複製)
左下 縄文晩期末葉土偶(岡谷市中島A遺跡) 中下 縄文後期土偶(長野市村東山手遺跡)
右下 縄文後期土偶(中野市栗林遺跡)
撮影場所:長野県立歴史館
撮影月日:2020年2月14日
ガラス面越し撮影
実寸法付与
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 64 images
展示の様子
2 感想
2月14日の観覧で予期しない遺物(「顔の付いた土版(松本市エリ穴遺跡9」)を見つけ、大いに思考を深めることができました。
2020.02.20記事「顔の付いた土版(松本市エリ穴遺跡)の観察」
さらに今回3Dモデルを作成して詳しく観察すると、隣の板状土偶も同じ構図であることがわかりました。すなわち、「顔の付いた土版」は上半身は衣服を着ていて、かつ下半身の女性器は露出していますが、隣に展示されている「板状土偶(松本市女鳥羽川遺跡)」も同じ構図で上半身衣服を着ていますが下半身女性器露出しています。この構図は国宝土偶「仮面の女神(茅野市中ッ原遺跡)」と同じです。2020.03.20記事「国宝土偶「仮面の女神」注記付き3Dモデルと想像的解釈」
これらの土偶や土版が女性の生殖関連儀礼に関係していることはほぼ確実であると想像します。
また、ここに展示されている他の土偶を含めて顔表現を見ると、それが実際の女性の顔を意識して(模範として)作ったとは到底思えないという印象を持ちました。ある特定のモデルを表現しているように感じてしまいます。そのモデルとは「仮面(お面)」のようなものであると思えてなりません。今後詳しく検討していくことにします。
顔面付き注口土器(小諸市石神遺跡)の顔面は男であるのか女であるのか、土器は女性が作ったという想定から出発して、興味が湧きます。祭器である酒器を持って酒を注いだのは女性であるとイメージすると自分の心理抵抗は少ないです。その酒器に描いた顔は自分(巫女?)達女性であるのか、酒を受けた男性(集落リーダー)であるのか?
目鼻立ちがしっかりしていることから、実際の男性の顔面を意識して造形したものかもしれません。
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