縄文土器学習 397
加曽利貝塚特殊遺構(112号住居跡)から出土した大小ペア異形台付土器(夫婦土器)の学習を続けてきました。この記事ではこの学習(観察と考察)を締めくくります。
引き続き考察したいことがらは沢山あります。しかし気が付くと、さらにさまざまな情報を新たに入手する必要を痛感し、このままでは際限のない学習活動になりそうです。そこで、この記事で今後の学習方向をメモして、いったん異形台付土器の観察と考察を区切ります。
1 これまでの記事一覧
2020.03.27記事「加曽利貝塚出土異形台付土器の観察と検討」
加曽利B3式異形台付土器Aの3Dモデルとアニメ掲載
2020.03.28記事「異形台付土器の上部切除モデルによる観察」
加曽利B3式異形台付土器Aの上部切除3Dモデルとアニメ掲載
2020.03.29記事「加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚)の観察」
加曽利B3式異形台付土器Bの3Dモデルとアニメ掲載
2020.03.30記事「異形台付土器(加曽利貝塚)2点の報告書記述」
2020.03.31記事「異形台付土器の計測と比較」
2020.04.04記事「異形台付土器が大小ペアで出土した意義」
この記事で「夫婦(めおと)土器」という概念を提案しました。
2020.04.06記事「大小ペア異形台付土器(夫婦土器)を女性が作った意義」
2020.04.08記事「大小ペア異形台付土器出土遺構のゾーニング」
2020.04.09記事「加曽利貝塚における女性シャーマン存在仮説」
2020.04.10記事「加曽利貝塚以外における大小ペア異形台付土器出土例」
加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)の撮影風景
加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚)の撮影風景
2 異形台付土器に関する今後の学習について
ア 異形台付土器が器台の機能代替器種であるのかどうか確かめます。
器台→異形台付土器という機能代替が行われたと考えられる場合、器台と異形台付土器のそれぞれについて時期による器形変化などについて学習します。
イ 異形台付土器が煙発生機能という実用機能を備えていたのか、イコンという精神的機能だけだったのか確かめます。
大麻に関する突っ込んだ学習をスタートさせます。
ウ 異形台付土器がどのような祭祀で使われたのか考察を深めます。
「祭祀」という一般論でなく、祭祀の具体的内容を考察します。考古学の限界を超えるために人類学などの知識学習も行います。
異形台付土器だけの考察ではなく、石棒やその他の祭具といっしよに祭祀を総合的に学習します。
エ 縄文社会消長分析学習の一環として学習します。
オ 学術論文も渉猟して最新知識を踏まえて学習します。
3 謝辞
加曽利貝塚から出土した貴重な遺物であり、常設展で展示している異形台付土器2点の撮影と3Dモデル公表を加曽利貝塚博物館から許可していただきました。貴重で特別な学習機会を得ることができた一市民として加曽利貝塚博物館に心から感謝申し上げます。
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