2021年5月27日木曜日

有吉北貝塚北斜面貝層断面図の3D表示

 縄文社会消長分析学習 92

有吉北貝塚北斜面貝層学習の最初のステップとして、貝層が収まる窪地地形そのもの、貝層の立体的分布そのものを知る必要があります。そこで、本格的な3Dモデル作成の前に予察的活動として北斜面貝層断面図を3D表示してみました。

1 有吉北貝塚北斜面貝層断面図3D表示

有吉北貝塚北斜面貝層断面図3D表示

有吉北貝塚発掘調査報告書掲載資料塗色引用

3DF Zephyr v5.019でアップロード


元資料

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 感想

縦断図1面、横断図14面合計15断面図を塗色し、立体的に並べる作業をするなかで次のような問題意識を持つことができました。3Dモデル作成作業の学習効果が絶大です。

2-1 ガリー浸食地形

窪地地形が斜面崩壊に起因するガリー浸食地形である可能性が濃厚です。

2-2 谷底大型土器片堆積以前の貝層がある

層準から、谷底における廃用大型土器破壊活動より以前に貝層形成が行われていたと考えられる場所があります。貝塚形成は発掘調査報告書にいう加曽利EⅡ式土器からではなく、中峠式頃まで遡る可能性があり、ガリー浸食もその頃に遡るようだと考えます。

2-3 水源の可能性

窪地地形が、有吉北貝塚集落の主要水源であった可能も検討視野に入ります。水源の枯渇と谷底大型土器片堆積が関連するかもしれないと考えます。また、水源より下流かつ低い標高に貝塚本体を置いたのは水源の衛生を考慮したためかもしれません。

2-4 上流側と下流側で貝層の機能が異なる?

北斜面貝層は上流側(断面6より上流)と下流(断面7より下流)に分けられる可能性が高いです。上流側では谷底で廃用大型土器破壊活動を行ったと考えられ、祭祀活動の可能性が濃厚です。貝層からの遺物出土状況をみると上流側と下流側で検討に値する差異があるようです。

2-5 混土貝層と混貝土層 

混土貝層と混貝土層が形成される要因を詳しく知る必要があります。上方に純貝層がない場所に広く分布しているところがあり、単純に純貝層から流出したという考えでは分布を正確に説明できないかもしれないと考えます。意図的に貝を撒いた可能性は?

3 有吉北貝塚北斜面貝層断面図3D表示の作成方法

発掘調査報告書スキャンJPGファイル作成→illustratorで塗色→PhotoshopでWabefront(.obj)ファイル作成→Blenderで3Dモデル組み立て→Wabefront(.obj)書き出し→3DF Zephyr LiteでSketchfab投稿&動画作成。


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