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2020年3月31日火曜日

異形台付土器の計測と比較

縄文土器学習 391

このブログでは現在加曽利貝塚博物館常設展に展示されている加曽利B3式異形台付土器(千葉市加曽利貝塚)2点の観察と考察を行っています。
この記事では異形台付土器を計測するとともにAB2点を比較し考察します。

1 加曽利B3式異形台付土器(千葉市加曽利貝塚)2点の計測
3DF Zephyr Liteにおける3Dモデル作成時にスケーリング(実寸法付与)し、GigaMesh Software Frameworkで器形に関する諸指標を計測しました。計測はユークリッド距離ではなく、オルソ画像の平面投影図上で行いました。

GigaMesh Software Frameworkによる計測作業メモ
Aの器高は21.10㎝、Bの器高は18.94㎝です。
特徴的なこととしてAは底部径10.63㎝、口縁部径10.11㎝で底部の方がわずかに大きくなっていますが、Bは底部径9.85㎝、口縁部径10.20㎝で口縁部の方が大きくなっていることとです。この底部と口縁部の径の大小の違いにより器形から受ける印象が大きく異なってきます。Aはスリムに、Bは小太りな印象を受けます。

2 AB2点の意匠の差異
次の図に示す通り、ABの意匠に詳細な差異が見られます。

AとBの意識的意匠差異
文様浮彫展開写真(GigaMesh Software Frameworkにより作成)
・土器底部と口縁部に施文された縄文の方向が異なっています。
・注口状円環の模様がAは刺突文、Bは縄文で異なっています。
・たすき掛け状に施文された土器中部の縄文の交点部で、Aは縦方向の連続性が強調されますが、Bは横方向の連続性が強調されます。
・土器中部と上部・下部の区画がAは隆帯刻みですが、Bは沈線になっています。
・Aは土器口縁部径が底部径より少し小さくスリムに見えます。Bは土器口縁部径が底部径より少し大きく小太りの感じをうけます。
・AはBより2㎝ほど器高が大きくなっています。
これらの意匠差異はよく似た形状のABを一目で別モノとわかるように意識して施されたことは確実です。

3 考察
・AとBは実用土器(容器としての土器)ではなく、その存在が未発見の実在物の形を縮小して模したフィギュアであると考えています。
・AとBは意識してデザインを少し変えて作った意味のあるセットであると考えます。
・AとBの見た目の印象から人の夫婦を連想します。形状は土偶(土製の人形)ではありませんが、背の高い男性と小太りの女性を暗にイメージして作られたような印象を受けます。
・AとBは夫婦に関わる事柄のイベント(祭祀)で使われたと想像します。
・AとBのセットを作成したのが女性である(らしい)ことに大きな意味を予感します。男性は石棒という男性機能だけに関わる祭祀道具をつくるけれども、女性は夫婦(男性機能と女性機能)に関わる祭祀道具をつくる。女性が実は男性を包摂しているという指摘(※)が脳裏を横切ります。
※清瀬市郷土博物館内田裕治学芸員の指摘

加曽利B3式異形台付土器(加曽利貝塚)展示の状況 左がB、右がA

さらに続いて次の項目について検討を深めることにします。
・夫婦を予感させる大小土器同時出土例
・異形台付土器というフィギュアが模している実体装置の想定と機能
・異形台付土器の出自(前代の器台との関係)
・異形台付土器の展開(器形変化、分布)
・異形台付土器が使われたイベント(祭祀)の想定

2020年3月29日日曜日

加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚)の観察

縄文土器学習 389

この記事では加曽利貝塚博物館常設展に展示されている加曽利B3式異形台付土器(千葉市加曽利貝塚)Bの観察を行います。

1 加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2019.12.27
許可:加曽利貝塚博物館の許可による全周多視点撮影及び3Dモデル公表
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 86 images
(注意:土器を上からのぞいた時の底はAと同じで、土器下部と中部の境にあります。しかし、3Dモデルではその状況が正しく結像していません。)

撮影の様子

常設展展示の状況 左がB、右がA

2 アニメ表示(B)

加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚) アニメ表示

3 文様浮彫展開写真の作成
GigaMesh Software Frameworkにより文様浮彫展開写真を作成しました。

加曽利B3式異形台付土器B(千葉市加曽利貝塚) 文様浮彫展開写真

4 観察
・Bの文様はAとよく類似しています。
・器形はBの方がAより背が低く、太っています。その状況は今後正確に計測することにします。
・胴部中央の2つの円形環は中空です。

胴部中央2つの円形環の様子

・胴部下部の内面はAと同じで胴部下部と中部の間に境があります。

土器を下から覗いた時の様子

加曽利B3式異形台付土器AとBの観察考察をさらに続けます。

2020年3月28日土曜日

異形台付土器の上部切除モデルによる観察

縄文土器学習 388

加曽利B3式異形台付土器(千葉市加曽利貝塚)Aの観察を行っています。
この記事では上部切除モデルによる観察、文様浮彫展開写真による観察を行います。

1 参考 加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)上部切除3Dモデル
次画像の赤色部分を切除して3Dモデルを作成しました。

切除部分

参考 加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)上部切除3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 
撮影月日:2019.12.27 
許可:加曽利貝塚博物館の許可による全周多視点撮影及び3Dモデル公表 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 81 images

上部切除モデルのアニメ

土器上部を切除することにより、土器内部構造の様子や中部の様子をより詳しく観察することができます。

2 文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを活用して加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)の文様浮彫展開写真を作成しました。

GigaMesh Software Frameworkに土器をセットした様子

加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)文様浮彫展開写真 土器表面(外面)

加曽利B3式異形台付土器A(千葉市加曽利貝塚)文様浮彫展開写真 土器内面
土器内部に視点をおいた場合の展開写真です。

3 観察と感想
3-1 土器上部
・土器上部(切除モデルで切除した部分)は口縁部平滑な一般土器の形をしています。口縁部に縄文があり、口唇部も表現されています。
・ただし、内面をみると土器の底がありません。

斜め上からみた加曽利B3式異形台付土器A

3-2 土器中部
・断面形状が三角の円環状の形状をしていて、二つの小環が口を開けています。
・小環は中空となっています。(3Dモデルでは中空には表現できていません。)

2つの小環が中空となっている様子
・2つの小環は少しだけ斜め上を向いて口を開けています。
・小環と小環の中間部が少し出っ張り、その部分にたすき掛け状に縄文が施されています。

たすき掛け状に施された縄文

3-3 土器下部

土器下部の様子
・土器下部と土器中部の内面に壁があります。
・土器下部は口縁部平滑な一般土器を裏返して置いたような形状をしています。
・模様も口縁部に縄文があるようなイメージを受けます。

3-4 感想
・土器上部は底抜けの一般土器を、土器下部は底のついている一般土器を、土器中部は草木などを紐で縛って、そこに中空の環を差し込んだような印象を受けます。そのような3つの構成物からなる装置のフィギュアがこの土器であるとの推測をします。

詳しい検討をさらに進めることにします。

2020年3月25日水曜日

獣面把手(?)付加曽利EⅣ式土器

縄文土器学習 385

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅣ式土器学習として、加曽利EⅣ式深鉢(後期称名寺式期)(印西市馬込遺跡)企16土器を観察します。(企16はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅣ式深鉢(後期称名寺式期)(印西市馬込遺跡)企16 観察記録3Dモデル正置

加曽利EⅣ式深鉢(後期称名寺式期)(印西市馬込遺跡)企16 観察記録3Dモデル正置
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2019.11.19
整理番号:企16
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.530 processing 49 images

展示の状況

展示土器を3Dモデルで側面から見た画像
土器が20度ほど傾かせて展示されている様子がわかります。技術的に正置が困難だったのでしょうか。

2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作りました。

加曽利EⅣ式深鉢(後期称名寺式期)(印西市馬込遺跡)企16 文様浮彫展開写真 1

加曽利EⅣ式深鉢(後期称名寺式期)(印西市馬込遺跡)企16 文様浮彫展開写真 2(参考)

3 観察と感想
・口縁部文様帯がなく、弧線文が単位文になっていることから加曽利EⅣ式土器として判定されたものと考えます。
・最も大きな把手を上から見ると三角形で口先のとがった蛇をイメージするような形状となっていて、獣面把手であると考えます。この把手にある多数の穴がどのような思考・感覚に伴って作られたのかわからないので、異様に感じます。

3Dモデルを上からみた画像

・波状口縁や大げさで凝った立体文様を施した把手のある土器が多い時期(場所)は生活の困難さが大きかった時期(場所)であると仮説していて、その仮説の立証を目指して学習を進めています。

弧線文が単位文になった加曽利EⅣ式土器

縄文土器学習 384

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅣ式土器学習として、加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡E地点)企12土器を観察します。(企12はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡E地点)企12 観察記録3Dモデル

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡E地点)企12 観察記録3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2019.11.19 
整理番号:企12 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 46 images

展示の状況
ライトが近く、壁面がハレーションしています。

2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作りました。

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡E地点)企12 文様浮彫展開写真 1

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市神門房下遺跡E地点)企12 文様浮彫展開写真 2(参考)

3 観察と感想
・口縁部文様帯を有していません。
・ハレーションのため文様浮彫展開写真では十分に確認できませんが、沈線で磨消部と区画される弧線文は単位文として胴下部まで連続しています。
・この土器は連携すべき弧線文が単位文に独立したものであると専門家が考えている土器のようです。

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参考

参考


2020年3月23日月曜日

加曽利EⅣ式の入組系横位連携弧線文土器観察

縄文土器学習 383

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅣ式土器学習として、加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市宮内井戸作遺跡)企1土器を観察します。(企1はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市宮内井戸作遺跡)企1 観察記録3Dモデル

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市宮内井戸作遺跡)企1 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」
撮影月日:2020.01.07
整理番号:企1
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 38 images

展示の状況

2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作りました。

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市宮内井戸作遺跡)企1 文様浮彫展開写真 1

加曽利EⅣ式深鉢(佐倉市宮内井戸作遺跡)企1 文様浮彫展開写真 2(参考)

3 観察と感想
・口唇部に4単位の小波状(小突起)を持ちます。
・加曽利EⅣ式の入組系横位連携弧線文土器です。

参考

・文様浮彫展開写真の左の弧線文の中に隆線で渦巻が描かれています。この渦巻付弧線文がこの土器正面である可能性が濃厚です。

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参考

参考


2020年3月11日水曜日

口縁部下に無紋帯を持つ加曽利EⅢ式キャリパー形土器

縄文土器学習 372

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅢ式キャリパー形土器として、加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)を観察します。(この土器は企画展でただ一つ「露天」展示されていた大き目の土器です。)

1 加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE-加曽利E式土器(印旛地域編)-」
撮影月日:2019.11.19
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.519 processing 58 images

展示の様子

参考 加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 切断3Dモデル
2019.11.28記事「3Dモデル切断による土器断面の見える化
2019.12.02記事「縄文土器切断3Dモデル


2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 文様浮彫展開写真 1

加曽利EⅢ式深鉢(酒々井町墨木戸遺跡) 文様浮彫展開写真 2(参考)

3 観察と感想
・口縁部区画文帯の下に幅広の無紋帯が広がります。
・長楕円形区画文の境に無紋帯に飛び出すような位置に沈線と隆帯が織りな小さな渦巻が1カ所だけ観察できます。

沈線と隆帯が織りなす小さな渦巻

・胴部垂下磨消文の真ん中の沈線の最上部が杖のように曲がっています。この沈線の最下部は確認できませんが、最下部も曲がっていて、全体として逆S字状の渦巻文であるのか、それとも上部だけが杖のように曲がっているのか、確認してみたくなります。
2019.11.24記事「加曽利EⅢ式深鉢(墨木戸遺跡)観察記録3Dモデル

 

2020年3月10日火曜日

4単位把手のある加曽利EⅢ式キャリパー形土器の観察 その2

縄文土器学習 370

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では加曽利EⅢ式キャリパー形土器として、加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32土器を観察します。(企32はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32 観察記録3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2020.01.07 
整理番号:企32 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 54 images

展示の状況

2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32 文様浮彫展開写真 1

加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32 文様浮彫展開写真 2(参考)

加曽利EⅢ式小型深鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企32 文様浮彫展開写真 3(参考)

3 観察と感想
・4単位把手のある加曽利EⅢ式キャリパー形土器です。
・口縁部と胴部の境が波打ち、ヨコ一線区画効果が希薄となっています。
・把手部とその中間部に退化した渦巻文が配置されています。
・口縁部と胴部の縄文の方向が異なっています。

2020年3月7日土曜日

文様浮彫展開写真を楽しむ

縄文土器学習 369

縄文土器の3Dモデルからその展開写真をGigaMesh Software Frameworkにより即座に作成できるようになり、縄文土器学習が加速しています。
この活動の中で、単純な展開写真だけを利用するのではなく、展開写真をより見やすいものにする工夫をしています。その一つが展開写真(2次元)に改めて立体性を付与して文様を浮き彫りにする工夫です。それをこのブログでは文様浮彫展開写真と名付けています。
文様浮彫展開写真は文様をより理解しやすいように写真を調整しているのですが、その調整の過程で様々な色調のものができます。それらの多種色調写真をみていると、学習上の興味とは離れて、観賞対象としての価値もあるような気もしてきましたので密かに楽しんでいます。
この記事では加曽利貝塚博物館常設展に展示されている称名寺式深鉢形土器(千葉市餅ヶ崎遺跡)の文様浮彫展開写真を紹介します。

1 称名寺式深鉢形土器(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル

称名寺式深鉢形土器(千葉市餅ヶ崎遺跡) 観察記録3Dモデル
撮影場所:加曽利貝塚博物館
撮影月日:2019.12.27
許可:加曽利貝塚博物館の許可により全周多視点撮影及び3Dモデル公表
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 93 images
2 GigaMesh Software Frameworkによる展開写真作成

GigaMesh Software Frameworkによる展開写真作成の様子

GigaMesh Software Frameworkで作成した展開写真 テクスチャモデル

GigaMesh Software Frameworkで作成した展開写真 ソリッドモデル

3 文様浮彫展開写真の作成

文様浮彫展開写真の作成プロセス
ブログ「花見川流域を歩く番外編」2020.02.24記事「GigaMesh Software Frameworkで作成した縄文土器展開写真に立体性を与える方法

テクスチャモデルのハイパス処理画像

ソリッドモデルのハイパス処理画像

文様浮彫展開写真 その1

文様浮彫展開写真 その2

文様浮彫展開写真 その3

4 感想
文様浮彫展開写真その1が学習上の必要性により開発した最終画像です。
文様浮彫展開写真その2とその3は別の調整(テクスチャモデルとソリッドモデルのオーバーレイ方法調整)により作成したものです。
その2やその3はその1の補助画像として作成したものです。土器の色合いや撮影環境によってはその1ではなくその2やその3などの補助画像によって細部がよりわかりやすくなることがままあります。
縄文土器の画像を見る際に、「天然色」(現在存在するモノの色)に近い画像(その1)は大事ですが、画像解析処理感が激しい画像(その2やその3)は学習から離れて親しみや興味をもつことがあります。
いつの間にか創作物のような対象物として眺めていて、その美しさに見とれて楽しんでいるのだと思います。


2020年3月3日火曜日

文様を解読できない横位連携弧線文土器

縄文土器学習 367

現在、加曽利貝塚博物館E式土器企画展(終了)の展示土器について学習しています。この記事では横位連携弧線文土器として、加曽利EⅢ式浅鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企34土器を観察します。
残念ですが文様を解読できませんでした。
(企34はこのブログにおける整理番号です。)

1 加曽利EⅢ式浅鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企34 観察記録3Dモデル

加曽利EⅢ式浅鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企34 観察記録3Dモデル 
撮影場所:加曽利貝塚博物館 企画展「あれもE これもE ―加曽利E式土器(印旛地域編)―」 
撮影月日:2019.11.19 
整理番号:企34 
ガラス面越し撮影 
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.523 processing 45 images

展示の状況
ガラス面反射が激しく、観覧環境が劣悪な土器です。

2 3Dモデルから作成した文様浮彫展開写真
GigaMesh Software Frameworkを使って3Dモデルから文様浮彫展開写真を作成しました。

加曽利EⅢ式浅鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企34 文様浮彫展開写真 1
ガラス面に反射した説明パネルの図柄が転写されています。

加曽利EⅢ式浅鉢(酒々井町墨木戸遺跡)企34 文様浮彫展開写真 2(参考)

3 観察と感想
・4単位波状口縁の土器です。
・観覧環境が劣悪なこともさることながら、それ以上に土器胴部上部を除く全表面から沈線が消えていることから、文様解読が不可能です。
・土器表面が火熱や摩擦によりすり減っている(摩耗している)とともに風化により表面がボロボロになり剥落しているように感じます。

観察できた沈線の様子 点線は推測
・横位連携弧線文土器であると考えられます。対向系横位連携弧線文土器であるように推測します。
・復元部に対向系横位連携弧線文土器のような模様が書き込まれていますから、現物を手にすれば、沈線がさらに観察できるのかもしれません。

・この土器観察により展示土器学習の技術的限界にまでとうとう到達することができたという感想が生まれます。