ラベル GigaMesh Software Framework の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル GigaMesh Software Framework の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年9月7日日曜日

技術メモ 3DモデルのGigaMesh Software Framework展開前に行うMeshLab変換の意義

 Technical Note: The Significance of MeshLab Conversion Before Deploying 3D Models to the GigaMesh Software Framework


3D models (Wabefront (.obj)) must be converted to MeshLab before deploying them in the GigaMesh Software Framework. After four years, I finally understand why this is necessary. ChatGPT explained it to me.


3Dモデル(Wabefront(.obj))をGigaMesh Software Framework展開する前にMeshLab変換が必要です。なぜ必要なのか、4年経ってようやく理解できました。ChatGPTに教えてもらいました。

1 3DモデルのGigaMesh Software Framework展開方法

2021.09.27記事「GigaMesh Software Frameworkの使い方 その1 6面図の作り方

2021.09.30記事「GigaMesh Software Frameworkの使い方 その2 展開図の作り方


MeshLabに3Dモデルを読み込んだ様子

2 3DモデルのGigaMesh Software Framework展開前に行うMeshLab変換の意義

【ChatGPTへの質問】

フォトグラメトリソフト(3DF Zephyr Lite)で3Dモデルを作成し、それをGigaMesh Software Frameworkで展開しています。その際、3Dモデル(Wabefront(.obj))をMeshLabで変換(MeshLabに3Dモデル読み込み→書き出し)しないとGigaMesh Software Frameworkではテクスチャが貼り付きません。従って必ずMeshLabでWabefront(.obj)を変換します。

このMeshLabによる変換とは何を変換しているのか教えてください。MeshLabによる変換の意義を教えてください。

【ChatGPT回答】

良い質問です。結論から言うと、MeshLabでの「変換」とは、OBJファイルの形式・構造を標準的な形に書き直していることです。これは単なる「形式変換」や「保存し直し」に見えますが、実は以下のような意義があります。

1. OBJファイルの仕様の違いを吸収する

OBJ(Wavefront .obj)は非常に古いフォーマットで、拡張仕様や書き方の揺れがあります。

頂点(v)、法線(vn)、テクスチャ座標(vt)の書き出し順序や有無

マテリアルファイル(.mtl)の参照方法

パス表記(相対パス/絶対パス)

エンコードや改行コードの違い

Zephyr Liteが出力するOBJは、GigaMeshが想定している書式とは一部異なり、そのままではテクスチャ情報が正しく読み込めない場合があります。MeshLabで一度読み込み→書き出しを行うと、MeshLabが内部で解釈し、標準的なOBJ/MTLの形式に整理して出力してくれます。

2. マテリアルとテクスチャのリンクを再構成する

OBJには通常、外部ファイル(.mtl)を参照してマテリアルやテクスチャを読み込みますが、以下の問題が起こりやすいです。

.mtlファイル内のテクスチャパスがZephyr独自の書き方になっている

ファイル名にスペースや特殊文字が含まれている

相対パスが不正確でGigaMeshが見つけられない

MeshLabはこれらを適切に書き直し、パスを正規化します。そのため、GigaMeshで正しくテクスチャが貼り付くようになります。

3. データの整合性を保証する

フォトグラメトリ由来のモデルには、次のような「クセ」が含まれている場合があります。

重複頂点や未使用のテクスチャ座標

異常な法線の記録

サポートされないOBJ要素(グループ指定、smoothing groupなど)

MeshLabで「インポートしてエクスポート」する過程で、余計な情報が整理され、純粋な形状+マテリアル+テクスチャのセットに変換されます。

まとめ:MeshLab変換の意義

OBJ/MTLの仕様の揺れを吸収し、標準化する

テクスチャリンクを正しく修正する

不要・不正確なデータを整理して、GigaMeshが読み込めるようにする

つまり、MeshLabは「中継フィルタ」として働き、Zephyr出力 → GigaMesh入力 の間で互換性と安定性を保証する変換をしているのです。

👉 確認ですが、ユーザーさんはMeshLabで「単に読み込み→そのままエクスポート」していますか? それともエクスポート時に何か特定のオプション(例:法線の再計算、テクスチャを埋め込む、など)を設定していますか?

【あなた:】

MeshLabで「単に読み込み→そのままエクスポート」しています。

【ChatGPT:】

なるほど、ありがとうございます 🙆‍♂️

それならまさに 「MeshLabが内部でOBJ/MTLを標準化し直している」 だけで、ユーザー側の操作は不要という状況ですね。

具体的に何が起こっているか

1. OBJの構造整理

Zephyrが出力したOBJは、OBJの「ゆるい仕様」の範囲で独自の順序や書き方をしていることがあります。

MeshLabが読み込むと、一度内部の統一的なデータ構造に変換されます。

その後、MeshLabからエクスポートすると、一般的な書式に従ったOBJ/MTLファイルとして書き直されます。

2. MTLとテクスチャ参照の修正

Zephyrが書き出したMTLファイルには、テクスチャファイルの参照に「相対パスのずれ」や「特殊な記述」が含まれていることがあります。

MeshLabは読み込み時にそれを解釈し、エクスポート時に単純で標準的な相対パスに書き換えます。

その結果、GigaMeshがテクスチャを正しく見つけて読み込めるようになります。

3. データのクリーンアップ

ZephyrのOBJには、未使用のUV座標・法線・マテリアル参照が残っている場合があります。

MeshLabは不要な情報を整理してからエクスポートするため、余分なデータが除去されたクリーンなOBJ/MTLになります。

●意義まとめ

ユーザーがMeshLabで「ただ読み込んで書き出す」だけでも、

ファイル形式のゆれを吸収

MTL/テクスチャ参照を修正

不要なデータを整理

という処理が裏で行われており、結果としてGigaMeshが問題なくテクスチャを扱えるようになっています。

🔎 ちなみに、もしMeshLabを経由せずに直接GigaMeshで使いたい場合は、ZephyrのOBJエクスポート設定(特に「テクスチャの書き出し方法」や「マテリアルパス」)を調整すれば解決できる可能性もあります。

👉 ご希望があれば、「MeshLabを経由せずZephyr→GigaMeshを直結できる設定」についても調べて整理してみますか?

【あなた:】

MeshLabを経由せずZephyr→GigaMeshを直結できる設定について教えてください。

【ChatGPT:】

お待たせしました!MeshLabを経由せずに 3DF Zephyr Lite → GigaMesh Software Framework へ直接つなげるための設定手順について、以下に整理してご案内します。

1. 3DF Zephyr Lite のエクスポート設定

OBJ/MTL 書式の選択

Zephyr Lite では、「Export Textured Mesh」機能を使い、出力形式として OBJ/MTL を選びます

3Dflow

テクスチャ形式とリスケール

テクスチャの形式としては、PNG や JPG が選択可能です。

高解像度テクスチャが必要な場合は、「Rescale Texture to Nearest Power of Two(最も近い2の冪乗サイズへのリスケール)」をONにしておくと、後工程で非対応になる可能性が減ります

3Dflow

パス指定の注意

古いバージョンでは、単一テクスチャエクスポート時に 絶対パス が出力されてしまうバグがありました。これによりスペースを含むフォルダ名でテクスチャが読み込めないことがあったため、必要に応じて .mtl ファイルを手動修正するケースもあります

Steam Community

2. Zephyr 出力ファイルの内容確認

GigaMesh では OBJ/MTL ファイルから以下が正しく読み込まれることが前提となります:

.mtl ファイルが正しくリンクされているか(mtllib と usemtl 記述)

map_Kd に正しい 相対パス or シンプルファイル名が記述されているか

テクスチャ画像ファイル(例: JPG or PNG)が .obj・.mtl と同じフォルダにあるか

これらは Blender や他のツールでも確認できる一般的なチェック項目です

Blender Stack Exchange

YouTube

SourceForge

3. GigaMesh 側の対応能力と制約

MTL の読み込み対応

GigaMesh は元来 PLY 形式を推奨している側面が強く、OBJ/MTL の取り扱いは限定的である点に注意が必要です

ウィキペディア

テクスチャ読み込みに関するバグ報告

開発側のリリースノートでは、「複数のテクスチャが欠落しているメッシュのインポートが正しく機能しないバグ」が報告されています

gigamesh.eu

これは、MTL に複数のテクスチャ指定(たとえば複数の map_Kd)がある場合、正しく読み込めない可能性を示唆しています。

4. まとめ:直結できるか?条件は?

項目 推奨設定/確認点

出力フォーマット OBJ/MTL(テクスチャ付き)

テクスチャ形式 PNG or JPG。できれば「Nearest Power of Two」にリスケール

パス指定 .mtl は相対パスかファイル名のみ

.obj 内の記述 正しく mtllib と usemtl があるかチェック

GigaMesh 読み込み 複数テクスチャがないシンプルな構成なら比較的安定

実際に直結できるか?

可能性は高いですが保証はできません

上記の通り形式を整え、シンプルな構成にすれば、多くの場合 MeshLab を挟まずに GigaMesh へとデータを渡すことが可能です

ただし、出力時のバグや GigaMesh 側の不具合のため、事前テストが推奨されます

もしよろしければ、実際にエクスポートした OBJ/MTL + テクスチャを GigaMesh に読み込む際に直面したエラーや挙動を教えていただければ、より詳しく原因を調べてアドバイスできます。お気軽にお知らせくださいね!

3 感想

なぜMeshLab変換が必要なのか、GigaMesh Software Frameworkのマニュアルでは理解できず、実務的経験的にだけ必要性がわかっていたのですが、今回ChatGPTに質問してみて、はじめてその意義を理解することができました。

ChatGPTがなければ、この状況を質問できる人やサイトはなく、永遠にわからなかったかもしれません。




2022年3月3日木曜日

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢の3Dモデル観察

 3D model observation of Kasori EIV-EV type deep bowl


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori EIV type pottery and its descendants-" Kasori EIV-EV type deep bowl (No .21) (Susukiyama site,Chiba City) was observed with a 3D model. I expanded it with GigaMesh Software Framework and confirmed the inverted S-shaped pattern.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示されている加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EⅣ・EⅤ type deep bowl

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 166 images

Kasori EⅣ・EⅤ type deep bowl (No.21) (Susukiyama site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 166 image


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開

3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで展開しました。GigaMesh Software Frameworkは自分の縄文土器学習では必須のツールとなりました。GigaMesh Software Frameworkを開発し公開しているHubert Mara博士に感謝します。


GigaMesh Software Frameworkによる展開の様子


GigaMesh Software Frameworkによる展開(矩形)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(扇形)

3 メモ

3-1 展示説明


展示説明

展示説明で「①意匠施文域下端に横位の区画文を有している」と「②縄文地の方形区画文の効果を有している」の特徴には称名寺式土器や大木10式土器の影響を認めることが出来る旨記述されています。

この説明の意味が判りませんでした。つまり、称名寺式土器や大木10式土器に「①意匠施文域下端に横位の区画文を有している」と「②縄文地の方形区画文の効果を有している」の特徴が備わっている(ものがある)ことを手持ち既存資料(小林達雄編「総覧縄文土器」)の該当部分をざっと読みましたが見つけることが出来ませんでした。

判らないままでは学習になりませんから加曽利貝塚博物館に問い合せて情報を教えていただくことにします。

3-2 反転S字状文


沈線分布

沈線分布をみると、画面中央の縄文地方形区画文の中に、沈線でカギ状模様が描かれています。これは中峠式土器や加曽利E式土器に多い反転S字状文であると考えます。


参考 中峠5次2住型深鉢(松戸市中峠遺跡)のGigaMesh Software Framework展開図

2021.01.07記事「中峠5次2住型深鉢(松戸市中峠遺跡) 観察記録3Dモデル

反転S字状文が水平に描かれています。


参考 加曽利EⅡ式土器(千葉市有吉北貝塚)

2021.05.10記事「勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初土器(千葉市加曽利貝塚北貝塚) 観察記録3Dモデル

垂直方向に端が渦巻となる反転S字状文が描かれています。

4 GigaMesh Software FrameworkのWindows11利用について

デスクトップパソコンにWindows11をインストールしたところ、GigaMesh Software Framework(Windows10用ベータ版)の挙動がおかしくなり正常に使えなくなりました。そのため、これまで代替措置としてWindows10ノートパソコンでGigaMesh Software Frameworkを作業していました。

ところが、今日試しにデスクトップパソコンでGigaMesh Software Frameworkを動かしてみると正常に作動しました。ラッキーです。しかし、なぜ使えるようになったのか不明です。

もしかしたら最近、デスクトップパソコンにWSL(Windows Subsystem for Linux)をインストールしたので、それが良い方向に影響したのかもしれません。デスクトップパソコンでGigaMesh Software Framework(Ubuntu版)を使えるようにするための最初のステップとしてWSLをインストールしたのでした。


2022年2月15日火曜日

縄文土器3Dモデルを平面展開してつくる赤色立体画像

 A red stereoscopic image created by expanding the Jomon pottery 3D model in a plane


From the Jomon pottery 3D model, I created a planar shape expansion 3D model with GigaMesh Software Framework, and then created a red stereoscopic image that expresses unevenness from the planar shape 3D model. It is a test work to confirm the operation procedure and to examine whether the red stereoscopic image is useful for Jomon pottery observation.


動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡)3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで平面形状に展開した3Dモデルを作成し、さらにその平面形状3Dモデルから凹凸を表現する赤色立体画像を作ってみました。操作手順の確認と赤色立体画像が土器観察でも役立つかどうか検討するためのテスト作業です。

1 動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡) 観察記録3Dモデル Earthenware

動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」

撮影月日:2021.11.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 78 images

https://hanamigawa2011.blogspot.com/2021/11/3d_4.html

https://youtu.be/e8tMXmefphg

Earthenware with animal design (Katusaka type III) (Yurugimatsu Ruins, Funabashi City) Observation record 3D model

Location: Yachiyo Municipal Folk Museum “Rakugaku Jomonkan-Enjoy the Jomon Pottery Manabi-“

Shooting date: 2021.11.02

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 78 images

参考記事 2021.11.04記事「動物意匠文付土器の3Dモデル観察

2 動物意匠文付土器平面形状展開3Dモデル 3D model developed into a plane shape

動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)3Dモデルの平面形状展開モデル

元3Dモデル(https://skfb.ly/osDF9)をGigaMesh Software Framework(https://gigamesh.eu/?page=home)で平面形状に展開した3Dモデル


GigaMesh Software Frameworkによる操作の様子

Earthenware with animal design (Katsusaka type III) 3D model developed into a plane shape

A 3D model developed from the original 3D model (https://skfb.ly/osDF9) into a planar shape using the GigaMesh Software Framework(https://gigamesh.eu/?page=home).


3Dモデルの動画

3 動物意匠文付土器平面形状展開3Dモデルの赤色立体画像

3-1 高さグレー濃淡図の作成

動物意匠文付土器平面形状展開3Dモデルから高さグレー濃淡図を作成しました。


高さグレー濃淡図の作成

3-2 赤色立体画像の作成

高さグレー濃淡図を基に、赤色立体原理(千葉達朗先生発明)に基づいて赤色立体画像を作成しました。


赤色立体画像

赤色立体画像をより見やすくするための工夫として、3Dモデルテクスチャ(写真)をモノトーン画像にして赤色立体画像に貼り付け(乗算)てみました。


赤色立体画像(モノトーンテクスチャ貼り付け)

4 メモ

4-1 赤色立体画像の意義

・土器表面の凹凸を赤色立体画像で表現できることを確認しました。ただし、縄文文様という凹凸は現状3Dモデル精度では表現できないので、縄文文様を赤色立体画像で表現することはできません。

・3Dモデルから赤色立体画像を作るときに情報の過半が脱落するので、3Dモデルが利用できる状況では赤色立体画像の出番は限定されたものになると考えます。

・3Dモデルが利用できない状況や場面では赤色立体画像が土器表面の凹凸を的確に表現するという点で有用であると考えます。赤色立体画像は立体性を二次元資料で表現する際の一つの選択肢になると考えます。

4-2 縄文土器の赤色立体画像をつくるステップ

ア 縄文土器の撮影

イ 縄文土器の3Dモデル作成

・(自分の場合)3DF Zephyr Liteの利用

ウ 縄文土器3Dモデルの平面形状展開3Dモデル作成

・GigaMesh Software Frameworkの利用

エ 高さグレー濃淡図の作成

・(自分の場合)3DF Zephyr Liteの利用

オ 赤色立体画像の作成

・Photoshop利用

4-3 GigaMesh Software Frameworkについて

GigaMesh Software FrameworkはLinux用メインソフトの他、Windows10用ベータ版がGigaMesh Software Frameworkサイトからダウンロードできます。

なお、Windows11ではWindows10用ベータ版は正常に作動しませんでした。



2021年11月16日火曜日

抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)の3Dモデル観察

 箕輪町郷土博物館に展示されている抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)を3DモデルとGigaMesh Software Frameworkにより観察しました。

1 抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡)Abstract painting pattern Earthenware with perforated collar

抽象絵画文有孔鍔付土器(箕輪町上の林遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期中葉

長野県宝

撮影場所:箕輪町郷土博物館常設展

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影


撮影の様子

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 218 images

Abstract painting pattern Earthenware with perforated collar (Uenohayashi site in Minowa town) Observation record 3D model

Middle Jomon middle leaf

Nagano Prefectural Treasure

Photo location: Minowa Town Folk Museum Permanent exhibition

Shooting date: 2021.11.10

Shooting through a glass showcase

Generated by 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 218 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開図

3 観察メモ

・高さ32.1㎝、口径17.3㎝、底径21.9㎝を測ります。(展示パネルによる)

・底部がひろがり、底部が上げ底になり、小窓が付いているという変則的な形態になっています。

・抽象文2セットは似ている形の生き物になっています。動物か人間かカミかこの土器だけでは判りません。八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されてる動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡)の「カエルといわれている」動物と手の位置が違うだけであとは似ているような気がします。


動物意匠文付土器(勝坂Ⅲ式)(船橋市ユルギ松遺跡)のGigaMesh Software Framework展開図

2021.11.04記事「動物意匠文付土器の3Dモデル観察

・双方土器の生き物ともに手足を広げていますから、踊りを踊っているように想像します。

・有孔鍔付土器の使用目的は醸造説や太鼓説があるようですが、この土器は一目見て太鼓みたいだという印象を持ちました。生き物が踊っている文様も太鼓説に合います。醸造具としては小さすぎるような気がします。底部小窓は音響効果を考えて設置されたと想像します。


2021年11月14日日曜日

顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)の3Dモデル観察

 箕輪町郷土博物館常設展に展示されている顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)を3DモデルとGigaMesh Software Framework展開図で観察し、その文様の意味について想像しました。

1 顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル

顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文時代中期中葉

長野県宝

撮影場所:箕輪町郷土博物館常設展

撮影月日:2021.11.10


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 184 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開図


GigaMesh Software Frameworkによる6面図


GigaMesh Software Framework作業風景

3 観察とメモ

顔面把手を正面から見た時の吊り目で吻が出ている顔面を母神と考えると、次のような祖母神-母神-子神-孫神の顔が描かれていると想像しました。


顔面把手付深鉢形土器(箕輪町丸山遺跡)文様の解釈(想像)

ア 把手顔面を正面から見た時

母神だけが具象的顔で表現されていて、母神の体が即ち土器そのものであると想像します。母神の対向位置に子神が描かれていて、子神の顔は双眼把手として抽象的に表現されています。子神は背中を土器表面に貼り付けているように表現されています。子神はその乳房、手(指4本)、胴、足が人風に描かれています。さらに子神の腹には双眼把手があり、これは子神から生まれた孫神の顔であると考えます。

なお、母神の顔の上に双眼把手があります。これは母神を今産んでいる祖母神の顔であると考えます。

つまりこの場面では祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔だけ具象的なので、母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。

イ 把手を裏から見た時

展示では視線が到達できないので把手裏面の様子が不明瞭ですが、発掘調査報告書写真で確認すると把手裏面の母神顔面に相当する場所には大きな丸い穴が存在します。この穴が母神顔の抽象表現であると想像します(注)。その上に双眼把手があり祖母神の顔と考えます。


発掘調査報告書掲載写真 

丸山遺跡発掘調査報告書から引用

子神の様子はアの子神とほとんど同じように表現されています。

つまり把手を裏から見た時も祖母神が母神を産み、母神が子神を産み、子神が孫神を産んでいる様子を一挙に表現していると考えます。しかし母神の顔は双眼把手とは異なる抽象表現となっています。この場面でも母神が子神を産んでいる様子がメインテーマになっていると考えます。

注)大きな穴は祖母神の産道を表現していて、ここから母神の顔が出てくることを想像させる趣向であると想像します。


2021年10月31日日曜日

市川市出土の勝坂Ⅰ式土器

 八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」で展示されている「深鉢(勝坂Ⅰ式)(市川市鳴神山A貝塚)」の3Dモデルを作成して観察しました。

1 深鉢(勝坂Ⅰ式)(市川市鳴神山A貝塚) 観察記録3Dモデル

深鉢(勝坂Ⅰ式)(市川市鳴神山A貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:八千代市立郷土博物館「らくがく縄文館-縄文土器のマナビを楽しむ-」

撮影月日:2021.10.19


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

模様を見やすくするためにアートフィルター(ドラマチックトーン)で撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 92 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開と文様観察


GigaMesh Software Frameworkによる展開図


GigaMesh Software Frameworkによる展開図(色調調整)

隆起線文が口縁部や口縁部から胴部に下がったり、胴部で直線状や渦巻のような文様を形成します。その隆起線文のすぐ外側に結節沈線文と沈刻文が複列に並びます。隆起線文のない空間にも結節沈線文と沈刻文が模様をつくり、器面を埋めます。この土器には縄文はありません。

この土器の文様が何を表現しているのか興味が湧きます。縄文人が意味のない模様を即興で描いたとは考えられません。この土器1つだけの情報から文様の意味を探ることは不可能だと考えられますが、今後の学習材料を増やすためにこの文様から受ける感想(妄想)をメモしておきます。

●妄想

・神話の1場面などのストーリー性のある話を表現していると想定します。

・土器内部と口縁部はカミの住む天上界と想定します。胴部は地上界の出来事を表現するカンバスであると想定します。

・上から降りてくる隆起線はカミが天上界から降臨してくる様子を、下から上る隆起線は我々(この土器を作って利用している縄文人)が生まれ出てくる様子を表現していると想定します。

・上から降りてくる隆起線と下から上る隆起線が接触して(結合して、反応して)、水平にすすんで先が膨らむ隆起線と渦を巻く隆起線が生まれます。水平にすすんで先が膨らむ隆起線は我々(縄文人)が生まれ出て育つ様子を、渦を巻く隆起線は役割を終えたカミが天上界に(渦巻の先端で土器を貫通して土器内部に出て)帰る様子を表現していると想定します。


2021年7月30日金曜日

イボキサゴ模様の平面展開

 2021.07.29記事「イボキサゴ 観察記録3Dモデル(試作)」で作成した3DモデルをGigaMesh Software Frameworkに投入して表面模様を平面に展開してみました。

1 表面模様の平面展開

1-1 GigaMesh Software Frameworkにおける軸の設定

イボキサゴ観察記録3Dモデル(試作)をGigaMesh Software Frameworkに投入して円錐体と見立てて軸を設定しまし。


GigaMesh Software Frameworkで円錐体と見立てて設定した軸

1-2 円錐体表面への投影と展開

模様を円錐体表面に投影して平面に展開しました。


GigaMesh Software Frameworkによる円錐体表面投影展開

1-3 円柱表面への投影と展開

模様を円柱表面に投影して平面に展開しました。


GigaMesh Software Frameworkによる円柱表面投影展開

1-4 上からのオルソ投影

GigaMesh Software Frameworkで上からのオルソ投影図を取得しました。


GigaMesh Software Frameworkによる上からのオルソ投影図

1-5 側面のオルソ投影

GigaMesh Software Frameworkで側面のオルソ投影図を取得しました。


GigaMesh Software Frameworkによる側面のオルソ投影図

1-6 参考 斜め撮影写真


参考 斜め撮影写真

1-7 メモ

イボキサゴの3Dモデルを円錐体と見立ててGigaMesh Software Frameworkで扱うことが可能であることが確認できました。

現時点ではイボキサゴの3Dモデルはきわめて不十分なものです。しかし今後自分の技術習得が進み完成度の高い3Dモデルができるようになれば、GigaMesh Software Frameworkによる展開図がより訴求力のつよい表現になる可能性があります。イボキサゴの模様や色は全ての個体で異なっているので、そのバリエーションを様々な展開図で示すことにより、イボキサゴに対する興味を深めることが可能になると思います。

千葉県貝塚学習、有吉北貝塚学習ではイボキサゴの意義学習がとても重要であると考えます。イボキサゴは縄文時代にそのルーツが特定できた、(日本和食の真髄である)「旨味」の原点でもあります。

イボキサゴの完成度の高い3Dモデル作成と、GigaMesh Software Framework等を使った訴求力ある表現技法の習得を急ぐことにします。

2 イボキサゴ(底面)観察記録3Dモデル

イボキサゴ(底面)観察記録3Dモデルを試作しました。


イボキサゴ(底面)観察記録3Dモデル(試作)の画面


イボキサゴ(底面)観察記録3Dモデル(試作)の画面


2020年12月2日水曜日

GigaMesh Software Frameworkによる小型土器展開図作成

 縄文土器学習 503

千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」で展示されている鉢ヶ谷遺跡土坑出土小型深鉢の3Dモデルの展開図をGigaMesh Software Frameworkで作成し、観察を重ね深めました。

1 GigaMesh Software Frameworkによる小型土器展開図


GigaMesh Software Frameworkによる小型土器展開図

底と口縁部を円とみなした円錐体(円錐台)を設定し、その表面に土器表面画像を投影した展開図をGigaMesh Software Frameworkで作成しました。

2 観察と感想

・口唇部には突起、突起状段差、注口状突起の3種の装飾が見られ、これと類似した装飾が対向部にあるようです。

・突起状段差はその非対称性から規模の小ささにも関わらずとても印象に残ります。自分はこれまでこのような段差装飾を意識して眺めたことがありませんでした。

・刺突文様と沈線の組み合わせが口縁部をめぐり、また二カ所の突起付近で胴部を垂下します。

・胴部の文様が無い部分の表面に微細な凹凸があります。意図してつけた文様ではないと思います。土器表面が風化(?)によりはがれている(表面が崩れ出している)ような印象を受けます。ミニチュア土器であり、焼成の出来が悪いということでしょうか?

3 参考 技術資料 小型深鉢の円錐体投影展開図作成のための変形3Dモデル

技術資料 小型深鉢の円錐体投影展開図作成のための変形3Dモデル

素土器の観察記録3Dモデル及び諸元:https://skfb.ly/6WQDN

GigaMesh Software Frameworkで作成

この技術資料正面のオルソグラフィック投影図が素土器表面の円錐体投影展開図である

4 参考動画 技術資料 小型深鉢の円錐体投影展開図作成のための変形3Dモデルと素土器


技術資料 小型深鉢の円錐体投影展開図作成のための変形3Dモデルと素土器

素土器の諸元:https://skfb.ly/6WQDN

変形3DモデルはGigaMesh Software Frameworkで作成

変形3Dモデル正面のオルソグラフィック投影図が素土器表面の円錐体投影展開図です

5 参考 GigaMesh Software Framework作業


投影のための円錐体設定


展開図


2020年7月27日月曜日

異形台付土器の展開写真作成と考察・学習仮説

縄文土器学習 438

2020.07.27記事「異形台付土器(君津市三直貝塚)の観察」で観察した異形台付土器1の3Dモデル展開写真をGigaMesh Software Frameworkで作成し、その結果を考察しました。

1 GigaMesh Software Frameworkによる展開写真作成風景

GigaMesh Software Frameworkの作業画面
3Dモデルの投入と展開用円錐体の中心軸の設定

GigaMesh Software Frameworkの作業画面
3Dモデルを展開して作成した展開3Dモデルの正面画像

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開写真
展開写真2種(テクスチャタイプ、ソリッドタイプ)をPhotoshopで加工して次の画像を得ました。

異形台付土器1(君津市三直貝塚)展開写真 1

異形台付土器1(君津市三直貝塚)展開写真 2

異形台付土器1(君津市三直貝塚)展開写真 3

異形台付土器1(君津市三直貝塚)展開写真 4

異形台付土器1(君津市三直貝塚)展開写真 5

3 展開写真による考察と学習仮説
異形台付土器とは、上・中・下3つのパーツから構成されているものと認識しています。
そのうち上と下の文様パターンは反転して同じになっています。

異形台付土器構成パーツ上下の文様パターンが反転して同じ様子

この上下文様が反転して同じ様子は加曽利貝塚出土異形台付土器でも同じです。

三直貝塚出土異形台付土器と加曽利貝塚出土異形台付土器の文様

上下パーツの文様が反転して同じことは、上下パーツが土器をイメージしているからであると考えます。上下パーツの形状もまさに土器そのものです。

下のパーツは土器を地面にかぶせて置いた様子、その上に柔らかいモノを束ねて置き、さらにその上に土器を置いた装置の様子をこの異形台付土器は表現していると考えます。

異形台付土器が表現している装置のイメージ

現在の学習仮説は、大麻煙発生装置のフィギュア(模型、イコン)が異形台付土器であると考えています。

異形台付土器はあくまでもイコンであり、キリスト教の十字架みたいな役割をしていたと想像しています。実際の大麻煙は祭祀で重要な役割を果たしていたのだと思いますが、毎日大麻を吸っていては生活が成り立ちません。そこでイコン(異形台付土器)の力で大麻吸引と同じような精神的・肉体的効果を得ていたのだと思います。高度祭祀文化活動における究極の発明品です。

この学習仮説が生きることになるとすれば、縄文後晩期社会は大麻中毒があまりにひどく、実際の吸引を抑制するための発明が必要であるほどの非健康社会であったということになります。


2020年7月26日日曜日

小型深鉢文様の観賞

縄文土器学習 436

2020.07.25記事「君津市三直貝塚出土の加曽利B1式小型深鉢の観察」でこの小型深鉢の文様が珍しいので興味を持ちました。
そこでGigaMesh Software Frameworkで3Dモデルの展開写真を作成して、さらにPhotoshopでいくつかの画像バージョンを作成してじっくり観賞してみました。
「考古趣味」的発想からの観察ではなく、「アート作品」的視点で観賞しようとしました。
しかし案の定、老化硬直した頭脳でいくら力んでみてもその観賞は不発になりました。
元の木阿弥ですが、「考古趣味」的連想が生まれましたので、メモしておきます。

1 GigaMesh Software Frameworkによる3Dモデル展開写真作成

GigaMesh Software Frameworkの作業風景

2 3Dモデル展開写真の画像バージョン

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 1

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 2

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 3

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 4

加曽利B1式小型深鉢(君津市三直貝塚) 5

3 画像から生まれた連想
・S字装飾の左輪に磨消が、右輪(一部欠けている)に縄文が対応している。
・磨消と縄文はペアでセットになっている。
・磨消は男を縄文は女をイメージしているように感じることができる。
・階段状に上に上昇する模様に感じることができる。(階段を下るようには感じられない。)
・実際の道路装置としての「階段」が縄文時代に発明されていて、加曽利B1式期には普通に使われていた装置であると考えます。(どこかの低地遺跡の木道部に階段が発見されているかもしれない。)
・「夫婦(磨消+縄文)が手を携えて人生のステージを上る」と連想することも、自分に対しては十分に許されるであろう。