シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第4部 下総台地形成に遡る その30
印旛沼筋南岸に気になる円弧状地形模様があります。現在はその中央部はユーカリが丘団地として開発されている付近です。
付近に別の円弧状地形模様が2つあります。
いずれも戦前の地形図(旧版2万5千分の1地形図)でも確認できますから、団地開発でできた人工地形模様ではありません。
ユーカリが丘団地付近の円弧状地形模様
基図は地形段彩図
ユーカリが丘団地付近の円弧状地形模様
基図は旧版2万5千分の1地形図
ユーカリが丘団地付近の円弧状地形模様
基図は標準地図
同様の地形模様が栗山川源流(旧栗源町)にもあります。
栗山川源流の円弧状地形模様
基図は地形段彩図
栗山川源流付近の地形をよく見ると、円弧状地形模様が沢山見つかります。
栗山川源流付近の円弧状地形模様の抽出
2014.02.05記事「気になる円弧状地形模様」参照
この2箇所の地形模様がなぜできたのか考えました。
2箇所とも地形段彩図を見ると、円弧状模様と現在の台地面地形の標高分布とは一致していません。現在の台地面を変動させた運動とはかかわりがない地形模様であることは推察できます。
また、2箇所とも地形の開析が進んでいる場所です。
このような状況から現在の地形面(下総上位面)を変動させた地殻運動や現在の地形面を構成する微地形や堆積物(下末吉海進期の堆積物)の差異に起因する地形模様ではないと考えます。
現在の地形面とは直接関係ない、下位地層に起因する組織地形であると考えました。
下位地層はいずれも浅海性の堆積物であるので、例えばドーム状の砂丘などが形成されたことがあれば、それが地層に取り込まれて、砂層や泥層の円形の構造が生まれ、流水の侵食を受けたとき、円形の平面形が生まれる可能性があります。
ためしに、サウジアラビアのドーム状砂丘をグーグルアースで調べてみました。
グーグルアース画像
この事例ではドーム状砂丘の大きさは2㎞を超えるようなものは無いことがわかりました。
2カ所の円弧上地形模様は直径が5㎞を超えるものです。
どうもドーム状砂丘起因の組織地形ではないようです。
地図を見ているだけで、その成因が判る訳はないのですが、次のような仮説(というより空想)を考えておきます。
下末吉海進期の地層・地形に対して地殻変動により様々な変位・変動があります。それは小崖地形とかオタマジャクシ状凹地などとして検討しています。オタマジャクシ状凹地は円弧状の平面形をしています。
同じような地層・地形の変位・変動が下総層群の下位の各地層(および地層堆積時の地形)に対してもあったはずです。
この、いわば昔の(数十万年前の)小崖とかオタマジャクシ状凹地の跡が地層の中に保存されていて、それが流水の侵食を受けたとき、組織地形模様として表れたのではないだろうかという仮説(空想)です。
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