シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第4部 下総台地形成に遡る その31
佐倉市根郷地区に鹿島川旧河道を発見しましたので記録しておきます。
鹿島川旧河道といっても、下流の下総下位面に連続する地形面です。正真正銘の下総下位面と考えています。この地形はこれまで報告されていないものです。
1 佐倉市根郷地区の位置
佐倉市根郷地区の位置を次の図に示します。
佐倉市根郷地区の位置
2 佐倉市根郷地区の地形
佐倉市根郷地区の地形段彩図を示します。
佐倉市根郷地区の地形段彩図
地形断面図ABとCDの位置も示してあります。
参考 佐倉市根郷地区の標準地図
2つの地形断面図を次に示します。
地形断面図AB
鹿島川旧河道の谷津地形を確認できます。谷底の標高は29m程度です。谷壁の高さは6~7m程、谷津幅は1.2㎞程です。現在の鹿島川谷津の幅は0.8㎞程です
地形断面図CD
鹿島川旧河道の谷津地形を確認できます。谷底の標高は32m程度です。谷壁の高さは4m程、谷津幅は1.2㎞程です。現在の鹿島川谷津の幅は0.8㎞程です。(断面図では斜めになっていますので、幅が見かけ上大きくなっています。)
旧河道の谷壁にあたる場所の実際の風景写真を次に示します。
旧河道の谷壁の姿
千葉県立佐倉南高校の西側
3 この地形が発見されなかった理由
次の地図は旧版2万5千分の1地形図の根郷地区付近の30m以上と35m以上に塗色したものです。
旧版2万5千分の1地形図
この等高線塗色図からわかるように、旧河道を連想させる谷壁の姿がほとんど全く表現されていません。谷壁部分は細い帯状の分布をしているため、現地測量の際に重視されず、また標高差が10m以上ないので(等高線の間隔の基本は10m)、さらに集落分布と重なったため、表現されたなかったものです。
一旦このような地図が出来ると、地形を把握しようとする人(研究者や専門家)はこの地図を基礎にしますから、どうしても台地上に旧河道地形があるという認識に至ることができません。
逆に5mメッシュによりこの旧河道地形が発見できたのであり、5mメッシュの検討ツールとしての強力性に今更ながら感嘆します。
4 鹿島川河道が移動した理由
下総下位面時代の鹿島川河道が、西側の現在の位置に移動した理由を検討することによって、この付近の地殻変動の特性を明らかにすることができると思います。今後の検討課題とします。
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